経理のお仕事は、実務経験を積みながらスキルアップに励むことで長期的に活躍することができます。理想的な働き方を実現するためには、目標を決めてキャリアプランを立てることが大切です。

今回は、日常経理業務のすべてを習得するまでの経理のキャリアプランと、経理職からのキャリアアップ先について紹介します。これから経理を目指す方や、経理のキャリアパスに悩んで「頭打ちなのかな」と感じている方は、今後のキャリアプランの参考にしてみてください。

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目次
経理の基本的な業務内容と流れについて
経理に向いている人の特徴
経理のキャリアプランに必須なスキル・実績
必須スキル・実績を身につけた後の目標別キャリアプラン
【目的別】おススメの資格
キャリアプランのお悩みとは?
経理の経験を活かせるキャリアチェンジ先
キャリアプランを考えてスキルを磨こう!

経理の基本的な業務内容と流れについて

経理とは、企業や組織のお金の流れを管理する「会計」業務の一部を担っていて、発生した取引や経費の出入金を記録・管理する役割です。まずは、どの企業でも共通する経理の基本業務として「出納」「起票」「記帳」「集計」についておさらいしておきましょう。

※関連ページ:経理・財務で働く|パソナ

経理の基本業務

出納(すいとう)

出納とは、現金や預金の出し入れを意味します。銀行振り込みなどの入出金業務、現金、小切手、手形や預金残高の管理のほか、交通費の立て替えや備品購入などで現金の出納を行うこともあります。

起票

日々の取引の履歴を管理するため、新しく伝票に書き起こします。会計ソフトを使っている場合でも保存体制を電子記録に切り替えていない企業も多く、手書きで作成することもあります。

記帳

書き起こした伝票を、簿記のルールに従って「仕訳帳」「総勘定元帳」「現金出納帳」などの帳簿に記入します。帳簿の目的によって記載ルールは異なります。

集計

日々の取引を入力した帳簿のデータを集計します。最近ではほとんどの企業が会計ソフトを使用しているため、集計作業は自動で行うことが可能。集計したデータをもとに、試算表や決算書(財務諸表)を作成します。

経理の業務内容

経理のお仕事は、簿記のルールに基づいて取引を起票・記帳し、決算書(財務諸表)にまとめます。
また、日次・月次・年次で行う業務のサイクルが決まっていて、それに合わせて業務レベルが上がっていくのも大きな特徴のひとつです。

日次業務(日常経理業務)

現金の出納管理、伝票起票・計上、仕訳、経費精算など、経理の基本業務である入力と集計を日次で行います。これらの基本業務には、簿記の知識が必須となります。

月次業務

月次業務では、取引先への請求、給与計算と支払い、社会保険料の納付、1ヶ月分の入力データチェック、前月との比較などを行います。また、月末には1ヶ月分のデータをまとめて、試算表・損益計算書を作成します。

年次業務

年次業務では、1年間の集大成となる年次決算書(財務諸表)の作成のほか、税務申告、株主総会で発表する報告書作成などの業務を行います。日本では3月決算の企業が多いため、3~4月が繁忙期となるのが一般的です。また、本決算のほかに、9~10月の中間決算や四半期決算を行う企業もあります。

経理に向いている人の特徴

経理に向いている人の特徴

数字に強く、計算や集計が得意な人

数字を扱うことが好きで、計算やデータ集計が得意なことも、経理にとって必要な適性のひとつです。

企業では会計ソフトやExcelなどを使った自動計算を使用しているので、PCを使ったデータ入力や集計が好きな方にも向いているお仕事といえます。一昔前と比べると手計算をする場面は減ったものの、電卓を使った方が早いケースもあり、電卓の計算スキルも必要です。

几帳面で、細かいことにも気を配れる人

数字の入力ミス、項目の記載ミスなどが、大きな問題にもつながります。そのため、細かいことに気を配ることができ、几帳面かつ正確に業務に取り組める方も向いています。

また、経理は締め切りが厳格に決まっている業務が多いため、スケジュール管理をしっかりしながら、お仕事を進められる方が向いていると言えるでしょう。

地道に粘り強く、業務に取り組める人

経理のお仕事では、数字の確認や入力などの地道な定型業務も担います。一つひとつ丁寧に入力しているつもりでも、計算が合わない場面も出てくるでしょう。その際は、記入漏れや入力箇所の間違い、二重計上など、間違いの原因を探って解明していく必要があります。

コツコツした作業を積み重ね、トラブルがあったときには粘り強く取り組める力も大切な資質です。

知識を学ぶことが好きな人

基本となる簿記のほかにも、財務・税務・国際会計をはじめとする関連分野の専門知識が求められることがあります。それぞれの分野の専門知識を学び続けることで業務の幅が広がり、新たなキャリアに進むきっかけにもなります。

意欲的に学べる方は、経理のお仕事にやりがいを感じさらに成長できるでしょう。

経理のキャリアプランに必須なスキル・実績

経理のキャリアプランに必須なスキル・実績

経理の役割や基本業務を理解したら、具体的にキャリアプランを考えていきましょう。

キャリアプランを考える際に参考にしたいのが、今回紹介する、経理の「STEP UP MAP」。
経理としてのキャリアをイメージしやすいよう、一般的な経理の実務レベルを4つのステップに分けたものです。自分はどのステップにいるのか、次のステップに進むためにはどんなスキルや実績が求められるのか見ていきましょう。

チャレンジ:経理アシスタント

経理の実務経験がない方は、経理のアシスタント職からキャリアをスタートさせるのがおススメです。
また、日商簿記3級の取得も目指してみましょう。日商簿記3級は、経理部門だけでなく営業や管理部門でも必要な知識として評価する企業も多く、汎用性の高い資格です。

<参考資格>日商簿記3級

STEP1:日次業務~月次補助

経理の基本的な業務である日次・日常経理業務を担当し、経理の実務経験を積みましょう。
毎日の仕訳や伝票の起票、請求書の処理、現預金管理、手形管理、売掛・買掛管理、帳簿への記入などを行います。簿記の知識と実務スキルを身につけながら、徐々に月次業務の補助にも業務の幅を広げていきましょう。

<参考資格>日商簿記3級~2級

STEP2:月次決算に関する一連処理

経理としての実務経験を1年以上積んだ方は、STEP2を目指しましょう。
日次業務にプラスして、ひとりで月次決算の処理を行えるようになることがSTEP2のゴールです。
月次業務を担当できるようになれば、企業や各部門の経営状況を読み取る力も身につくはず。ほかにも、資産表や総勘定元帳、棚卸表の作成や年次決算準備の補助などを任されるようになるでしょう。

<参考資格>日商簿記2級

STEP3:年次決算に関する一連処理

月次業務を習得して実務経験を3年以上積んだ方は、年次決算に関わる業務にチャレンジしましょう。
決算書(財務諸表)作成、連結決算、納税申告なども任されるようになると「経理のプロ」として周りから認められる存在になります。就業先によっては経営の意思決定に大きく関わる「管理会計」を担当するチャンスにも恵まれるかもしれません。

<参考資格>日商簿記2級以上

このように、経理のアシスタント業務や日次業務からスタートして、実務経験を積みながら月次決算、年次決算と業務の幅を広げていくというのが、経理の基本的なキャリアプランです。将来のキャリアプランを考える際に、「STEP UP MAP」を参考にしてみてはいかがでしょうか。

※関連ページ:経理を学ぶ|パソナ

キャリアプランを立てる際に注意したいポイント

経理は企業の業種や規模、組織体制によって、担当するお仕事内容が異なります。
そのため、どんな企業で経理として働くのか、キャリアを考える際に重要になってきます。自身の希望するキャリアを実現するためにも、目標を決めて自分のやりたい業務ができるかどうかを確認しながらお仕事探しをすることが大切です。

必須スキル・実績を身につけた後の目標別キャリアプラン

必須スキル・実績を身につけた後の目標別キャリアプラン

年次決算までの一連の経理業務を習得した後のキャリアプランを、「就業先企業でのキャリアアップ」と「専門家として独立」の2つから考えてみましょう。

就業先企業での昇進を目指す

一つ目は引き続き就業先の経理として、昇進を目指すキャリアプランです。身につくスキルや目指せるポジションは、会社の規模や組織編制によって変わります。

大企業では管理部門として部署が確立していて、経理部長・財務部長などの役職も用意されていることが多いため、部門内での昇進や昇格を目標にしやすくなります。昇進の過程で、部下の教育やマネジメントの経験を積める可能性も高いでしょう。
また、就業先が上場していればIR業務に携わることもあります。

中小企業では経理は総務や人事などを兼任する場合もあります。他分野のスキルも身につけることで、バックオフィス部門の管理職を目指すこともできるでしょう。

経理・財務の専門家を目指す

二つ目のキャリアプランは、公認会計士や税理士の資格を取得し、経理・財務のエキスパートへとキャリアチェンジするプランです。

経理・財務のエキスパートへ転向するには、会計事務所・税理士事務所・コンサルティング会社などへ転職する方法があります。また経理実務で習得した、分析力・予測力・報告力を活かして経理や財務の専門家として独立する方もいます。

【目的別】おススメの資格

【目的別】おススメの資格

経理の専門知識やスキルを磨くために、専門資格の取得をおススメします。

資格選びの重要なポイントは、「何のためにその資格を取得したいのか」という目的を明確にすることです。資格は取得することが目的ではなく、資格取得のために勉強した知識をいかに業務に役立てるかを考えることが大切です。目的意識を持つことで、資格取得に向けた学習のモチベーションもアップすることでしょう。

経理としての知識を増やし、業務の幅を広げたい方におススメの資格

日商簿記

簿記検定の中でも圧倒的な知名度で、年間約60万人が受験していると言われている資格です。
独学でも学習をスタートしやすい初級を入門編として、3級、2級、1級の4つがあり、1級は税理士試験の受験資格として認められています。まずは3級で基礎的な簿記の知識を習得した後、2級以上の取得に挑戦してみてはいかがでしょうか。

全経簿記

全国経理教育協会が主催する検定で、日商簿記よりも比較的に取りやすいといわれています。
全経簿記は、基礎、3級、2級、1級、上級の5階級があり、上級は税理士試験の受験資格として認められています。簿記初心者の方なら、日商簿記とあわせてチャレンジしても良いでしょう。

FASS(経理・財務スキル検定)

一般社団法人日本CFO協会が主催の「会計・財務分野に特化した実務スキル」を客観的に測定する検定試験です。資産、決算、税務、資金の4分野から出題され、合否ではなく獲得したスコアからA~Eの5段階で評価されます。経理・財務の専門資格であり、経理としてスキルアップを目指す方におススメの検定です。

得意分野を伸ばし、+αのスキルを取得したい方におススメの資格

経理の実務スキルに加えて、関連する知識やスキルを身につけたいときには、自分の得意分野を伸ばすことのできる資格の取得を目指しましょう。語学力を磨いて英文経理に転職したり、分析スキルを身につけて経営管理に転身したりと、別のキャリアへの道が拓けるかもしれません。

「税法の知識」を身につける

給与計算実務能力検定

一般社団法人実務能力開発支援協会が主催している検定試験です。
合格することで、労働基準法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法などの法律、複雑な給与計算の仕組みを理解していることを証明できます。

所得税法能力検定、法人税法能力検定、消費税法検定試験

公益社団法人全国経理教育協会が主催している検定試験です。
経理の実務レベルが上がるにつれ、源泉徴収や確定申告(所得税)、法人税、消費税などの専門知識も求められます。それぞれの税法に特化した検定を取得すれば、実務に活かすこともできるでしょう。

「グローバル・スタンダードの経理スキル」を身につける

IFRS(国際会計基準)検定

国際会計基準の知識をはかる試験です。日本では英語受験と日本語試験があり、グローバルに通用する試験を母国語で受験できるメリットは大きいと言われています。国際会計基準(IFRS)を適用する企業が増える中、専門知識を持った人材のニーズもさらに高まっていくことが予想できます。今からIFRS検定の勉強を進めておくと良いでしょう。

「分析スキル」を身につける

ビジネス会計検定試験

財務諸表から企業の経理状況を把握する「経営分析」スキルを習得する資格です。幅広い職種のビジネスパーソンを対象としており、1~3級があります。2級になると連結財務諸表が出題範囲に含まれ、よりレベルの高い財務分析力が問われます。資格取得に向けて勉強ことで、さらに実践的な会計の知識を身につけることができます。

「経営、財務管理スキル」を身につける

財務報告実務検定

財務報告実務検定は、ディスクロージャー(主に上場企業が投資家や取引先に対し、経営に関する情報を公開すること)の知識を持つ人材を育成するため、一般社団法人日本IPO実務検定協会が実施している検定試験です。日商簿記2級の取得後にステップアップとしてチャレンジする方も多く、専門性を発揮したい方にはおススメの検定です。

キャリアプランのお悩みとは?

キャリアプランのお悩みとは?

経理の実務経験を積み、スキルアップに取り組みながらも、悩みを抱えることがあるかもしれません。
例えば常に慎重さ、正確さが求められることに対してのプレッシャーや、将来への不安などではないでしょうか。経理として働き続けるなかでのお悩みや、対処法について紹介します。

プレッシャーや緊張感があり、経理のお仕事を続けていけるか不安

経理は企業のお金を管理する役割を担うため、計算ミスなどへの不安を抱える方も多いでしょう。
または、専門業務ゆえに知識不足に悩んだり、実務経験が長い方ほど自分の実績を評価されにくいことを心配したりする方もいらっしゃいます。

ただ、プレッシャーとは「精神的な負担」という意味だけでなく、「周りから自分への期待を感じている」ことの証拠でもあり、実は、自分の内から来る「期待に応えたい」「成功させたい」という想いの表れとも言えます。

そのため、適度なプレッシャーは成長のチャンスだと前向きに捉え、やる気やモチベーションへ昇華させてみてはいかがでしょうか。

経理としてどんなキャリアの方向性があるのか分からない

「自分がこれから経理としてどのように働いていくのかイメージできない」という方は、まず自分の目指すキャリアパスを考えてみましょう。一般的に経理には、大きく分けて「ジェネラリスト」「スペシャリスト」という2つの方向性があります。

日本におけるジェネラリストとは、「特定の分野に限らず、広範囲の知識や技能、経験を活かして活躍する人」を指すのが一般的です。ひとつの企業での長期的なキャリアを見据えて、経理をはじめ、幅広いポジションや業務を経験したい方や、ゆくゆくは管理職などのマネジメントや経営に携わりたいと考える方に向いている道です。

そしてスペシャリストは、専門性の高い特定分野で、経験とスキルを活かし、高いパフォーマンスを発揮できる方のことを指します。幅広い業務に携わるというよりは、経理の道を極めたいと考えている方や将来的に各分野の専門家として働いたり、税理士や会計士として独立したりすることを目指している方に向いているでしょう。

経理分野の変化についていけるか、将来に不安がある

さまざまな業界でAI(人工知能)やRPA(ロボットによる業務自動化)技術の活用が進む中、経理の現場でも、一部の定型業務はアウトソーシングや自動化が進められています。

「いつか自分のお仕事がなくなってしまうのではないか」と、時代の変化に対応できるか不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。ただ、データ入力や集計は自動化できても、データを読み解いたり、業務設計をしたりするのは、専門スキルを持つ人にしかできないことです。

新しい技術を使いこなす側になれるよう、経理スキルに加え、IT領域のスキルや、分析力のスキルなどを身につけることで、これからの時代に必要な人材として活躍し続けることができるでしょう。

経理の経験を活かせるキャリアチェンジ先

経理の経験を活かせるキャリアチェンジ先

公認会計士、税理士

公認会計士、税理士は国家資格の中でも難易度が高いことで知られていますが、お仕事を続けながら就業後や休日を使って資格取得の勉強に励む方も多いです。

資格取得後、会計事務所や税理士事務所へ転職すれば、将来的には独立や開業を目指すきっかけにもなるでしょう。

英文経理

IFRS検定など国際会計基準に関する資格を取得すれば、英語を使った経理業務を行う「英文経理」への転身にもチャレンジできます。海外に子会社を持つ企業、外資系企業などでは、英文経理のニーズが高まっているので外資系企業への転職や海外勤務も夢ではありません。

財務担当、CFO(最高財務責任者)

財務とは、企業経営に必要な資金計画や資金運用、資金面の管理、銀行との折衝など担当するお仕事。財務諸表を元にお仕事を進めることが多いため、経理の経験が大いに役立ちます。

財務としてキャリアを重ねることで、将来的には企業経営に携わったり、CFO(最高財務責任者)を目指したりすることもできるでしょう。

経営企画、コンサルタント

会計知識を極めて経営的視点を養えば、より上流から企業の経営をサポートする経営企画に転身することも可能です。MBA(経営学修士)、中小企業診断士などの難関資格を取得すれば、さらに可能性は広がるでしょう。

経営に関する知識を活かし、経営コンサルタントとしてコンサルティングファームで働いたり、独立したりする道も拓けます。

IR

IR(Investor Relations)とは、株主や投資家に向けて決算短信の作成や株主総会の運営など、投資のために必要な情報を提供するお仕事です。「投資家向けの広報」という役割から、経理または広報として配属されることもあります。会計知識に加えて、高いコミュニケーション能力や語学力が求められることも多いでしょう。

IRのお仕事を通して社内外の多くの人と係りをもつことで、新しい情報や刺激を受けたりします。人と接するのが得意な方や情報感度が高い方におススメです。

キャリアプランを考えてスキルを磨こう!

年次決算までの一連の経理業務を習得した後のキャリアプランや、目標別のスキルアップ方法、おススメ資格などを紹介しました。自分の目指したい将来のイメージは掴めたでしょうか?

「まだ漠然としている…」という方は、まずはご自身の経験を振り返って現状を把握し、理想の働き方を考え、それに近づくための目標を立ててみてください。実務経験を積んだり、資格取得を目指したりと、今の自分に合わせた「すべきこと」を考えて、具体的な行動計画に落とし込んでいきましょう。

派遣会社では、派遣登録をすると気軽にプロのキャリアコーチに相談できる窓口を用意しています。また、専門知識が学べる研修や講座、資格取得に向けたサポートも充実している派遣会社もありますので、気軽に相談してみてはいかがでしょうか。

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※関連ページ:経理事務の派遣|パソナ

参考サイト

貿易実務では、「モノ」「カネ」「カミ(書類)」の流れを正しく理解することが重要だと言われています。今回紹介する「船荷証券(B/L)」は「カミ」に分類される書類ですが、貿易取引においては「モノ」と「カネ」にも大きく関わる重要な書類です。トラブルを未然に防ぐためにも正しく理解しておきましょう。

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船荷証券(B/L)とはどんな書類?

船荷証券(Bill of Lading:B/L)は、貿易における船積書類のひとつで、船会社が輸出者の貨物を受け取ったときに発行される書類です。貿易業務の担当者は、「B/L(ビーエル)」と呼んでいます。

船荷証券(B/L)は、簡単にいうと “貨物の引換券”のことですが、さまざまな役割を持つ書類です。

万が一、船荷証券(B/L)を紛失するようなことがあれば、その貿易取引ができなくなってしまう程の重要な書類です。船荷証券(B/L)が持つ4つの役割について、図とともに説明します。

※関連ページ:貿易を学ぶ|パソナ
※関連ページ:貿易事務の派遣|パソナ

船荷証券(B/L)の役割とその流れ

船荷証券(B/L)の役割とその流れ

  1. 貨物受取証:船会社が貨物を受け取ったことを示す
    船荷証券(B/L)を発行するのは、輸出地の船会社です。船荷証券(B/L)は、輸出者が船会社に貨物を引き渡したことを証明する貨物受取証になります。
  2. 運送契約書:船会社と荷主の間での運送契約を示す
    船荷証券(B/L)の裏面には船会社が輸送を引き受ける際の契約条件が記載されています。
  3. 有価証券:裏書きによって転売が可能になる
    有価証券の代表的なものに、株式・手形・小切手があります。有価証券はそれ自体に財産的価値がありますが、譲渡することにより、その有価証券の持っている財産的権利を簡単に移転させることができるのが特徴です。船荷証券(B/L)も有価証券で、貨物の所有権を、輸出者から輸入者へ(時には、輸入者から他社へ)移転させ、書類を通して貿易取引を成立させます。
  4. 貨物引取証:貨物の荷揚港で貨物を引き取るときに必要
    船荷証券(B/L)は、輸入者が貨物の引き取るための「貨物引換証」の役割も兼ねています。

貿易事務未経験の方には少し難しいかもしれませんが、上の図を参考に、貿易取引では「貨物(モノ)の流れと書類(カミ)の流れが異なる」ということを覚えてください。

船荷証券(B/L)記載の内容はしっかり確認!

発行する船会社によって書式は異なりますが、以下の主要項目は、ほぼ共通の記載内容となっています。

「船荷証券(B/L)」の主要項目

「信用状(L/C)」を使用しない貿易取引の「船荷証券(B/L)」例

輸出者も輸入者も、記載内容のスペルミスなどの間違いに気付かないと「貨物は到着しているのに引き取ることができない…」という事態にもなりかねません。(3、4、5、11は特に注意が必要です)
また、船荷証券(B/L)の修正は、発行元である輸出地の船会社だけが行えるため、輸入者サイドで間違いを見つけたときは、少し時間がかかってしまいます。

スムーズな貿易取引のためにも、船荷証券(B/L)を取り扱う際には、正確に内容を確認するようにしましょう。

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インコタームズ(貿易条件)の中には「DAT」「DAP」「DDP」という3つの規則があります。
それぞれ輸入国側の指定場所(ターミナル)に引き渡した時点で費用、危険の負担が移転する、輸出者の負担範囲が条件ですので、しっかり覚えておきましょう。

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目次
インコタームズとは?
「DAT」「DAP」「DDP」ってどんな貿易条件?
DAT(ターミナル持込渡し)/Delivery at Terminalとは?
DAP(仕向地持込渡し)/Delivery at Placeとは?
DDP(関税込み持込渡し)/Delivery Duty Paidとは?
「DAT」「DAP」「DDP」で契約する際のポイント
まとめ

インコタームズとは?

「DAT」「DAP」「DDP」の解説の前に、まずはこれら3つが含まれるインコタームズ(貿易条件)を理解する必要があります。インコタームズ(International Commercial Terms)とは、世界で最も利用されている貿易取引の国際規則 のこと。国際商業会議所(ICC)によって定義されています。

2019年には10年ぶりの改定となる「インコタームズ2020」が発表され、2020年1月1日より発効されました。

インコタームズは貿易取引に関する国際規則

インコタームズでは、3つの条件を売主(輸出者)と買主(輸入者)の間でどのように取り決めるか定義しています。

1.費用負担の範囲

貿易取引では、商品代金だけでなく運送料や保険慮料、関税などのさまざまな費用が発生します。それを売主(輸出者)と買主(輸入者)のどちらが負担するのかを取り決めます。

2.貨物の引き渡し時期の分岐点

貨物をどこで引き渡すのか取り決めます。

3.危険負担の範囲

貨物の危険負担がいつ売主(輸出者)から買主(輸入者)へ移行するのか取り決めます。

インコタームズの分類条件

インコタームズ2020では、次に紹介する4つの大分類 と、それに基づく11の規則 があります。4つの大分類は次の通りです。

・E型
売主(輸出者)が指定した自社の工場・倉庫などで、商品を受け渡す条件

・F型
売主(輸出者)が輸出地のターミナルなど、買主(輸入者)が指定する運送人までの費用・リスクを負担する条件

・C型
売主(輸出者)が輸出地の港までの費用・リスクを負担。それ以降は買主(輸入者)が負担する条件

・D型
売主(輸出者)が引き渡し場所までの費用・リスクを負担する条件

「DAT」「DAP」「DDP」ってどんな貿易条件?

それでは、売主(輸出者)が引き渡し場所までの費用・リスクを負担するD型における3つの規則「DAT」「DAP」「DDP」について、規定する「危険負担」と「費用負担」の分岐点を見ていきましょう。

DAT(ターミナル持込渡し)/Delivery at Terminalとは?

DATは、輸入港、または輸入国におけるターミナル(埠頭、港湾地区の倉庫、コンテナヤード、鉄道の駅など)において、到着した輸送手段(船や飛行機など)から荷下ろしした商品を買主(輸入者)に引き渡した時点で危険、費用負担が移転する規則です。

*荷下ろしの危険、費用負担は、売主(輸出者)にあります。

DAP(仕向地持込渡し)/Delivery at Placeとは?

DAPは、輸入港、または輸入国におけるターミナル(埠頭、港湾地区の倉庫、コンテナヤード、鉄道の駅など)において、輸入通関前の輸送手段(船や飛行機、トラックなど)の上で荷下ろしの準備ができた状態で買主(輸入者)に引き渡し、その時点で危険、費用負担が移転する規則です。

*荷下ろしの危険、費用負担は、買主(輸入者)にあります。

DAPは、港や空港のターミナルに荷下ろしした商品を、さらにほかの場所へ輸送して、仕分けするような場合に適しています。「指定仕向地」には配送センターなどが使われます。

DDP(関税込み持込渡し)/Delivery Duty Paidとは?

DDPは輸入国側の「指定仕向地」で、輸入通関後に危険と費用負担が移転する規則です。輸入通関手続きに必要な費用や関税、その他税金、輸送中の商品ダメージなども売主(輸出者)負担になります。

インコタームズの11規則の中で、DDPは売主の負担が最大で、買主(輸入者)の負担が最小の規則。売主が輸入国内での通関費用、輸送費用を負担する規則は、この条件だけです。ただ、もし売主(輸出者)がフォワーダーを通しても、輸入国で許認可取得や通関許可を取得できないような場合は、DDPを避けてDAPを使用する方がいいでしょう。

DDPとよく比較されるDDU (Delivered Duty Unpaid)は、仕向地持ち込み渡し(関税抜き)条件と呼ばれ、買主(輸入者)が関税を支払います。インコタームズ2000の条件でしたが2010年版に更新されて、DAPへ統合 されています。

余談ですが、DDPは、FedEx、DHL、UPSなど、ドアツードアの配達を行うクーリエを利用して、少量の商品やサンプルを発送するときにも使用されています。
*関税は買主(輸入者)が払う場合はDAPを使用。

「DAT」「DAP」「DDP」の契約する際のポイント

DAT、DAP、DDPで契約する際のポイントを紹介します。それぞれの違いを整理しておきましょう。

関税の負担

ひとつめのポイントは「買主(輸入者)の国での関税を誰が負担するのか」ということです。買主(輸入者)が関税を負担するならDAT、またはDAPでの契約になります。この場合、輸入地での通関業務や関税の支払いは、すべて買主(輸入者)負担となります。

対して、関税を含めた商品の輸送に関するすべての費用を売主(輸入者)が負担するならDDPの契約に。DDPは、インコタームズの中で売主(輸出者)の費用負担や責任範囲が最も広いのが特徴です。

製品の積み込みと積み下ろし

商品をどこで買主(輸入者)に引き渡すか、すなわち輸送リスクが移転する場所も重要なポイントです。なぜなら輸送で事故が起きやすいのは、荷下ろし時だからです。
DAP、DDPの場合は、指定地における荷下ろし作業時のリスクは買主(輸入者)が負担します。DATだけは、荷下ろし作業時のリスクは売主(輸出者)が責任を負います。

まとめ

インコタームズには4つの分類があり、D型にはDAP、DAT、DDPという3つの規則があります。それぞれ危険負担と費用負担の分岐点が異なるため、違いをきちんと理解することが必要です。貿易事務のお仕事をする上でも欠かせない基礎知識のひとつなので、しっかり覚えておきましょう。

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企業には消費税を納める義務がありますが、経理の方にとっては、課税まわりの処理が複雑で混乱することもありますよね。

その中でも、消費税がかからない取引である「不課税」「非課税」「免税」の違いがよくわからないという方は多いようです。

そこで今回は、消費税がかからない3種類の取引について、それぞれ比較しながら分かりやすくご紹介します。

目次
そもそも消費税とは
「不課税」と決められたものには、消費税がかからない
課税対象でも「非課税」と決められたものは、例外的に消費税が発生しない
「免税」と決められたものにも、消費税はかからない
違いを理解して、正しい経理処理を心がけよう

そもそも消費税とは

令和元年(2019年)10月1日より消費税率が10%へ引き上げられたことから、消費税に関する対応を進めている現場も多いのではないでしょうか。この機会に、ぜひ消費税に関する知識を増やしておきましょう。

そもそも消費税とは、国内で取引される商品やサービスなどに対して課される税金のこと。商品やサービスを消費した人(消費者)が負担し、納税義務者である事業者が納める「間接税(税金を支払う人と納税する人が異なる税金)」のひとつです。納税の流れとしては、以下の通りです。

消費税の納税の流れ

  1. 商品を仕入れる際に、事業者が消費税分を支払う。
  2. 販売時、事業者は代金に消費税を上乗せして回収する。
  3. 売上にかかる消費税額から、仕入れにかかる消費税額を控除したものを税務署へ納付する。これを「仕入税額控除」と呼ぶ。

しかし、すべての取引に消費税がかかるわけではありません。それが、今回のテーマである「不課税」「非課税」「免税」の3種類の取引です。

「不課税」と決められたものには、消費税がかからない

すべての国内取引は、「課税取引」「非課税取引」「不課税取引」「免税取引」の4種類に分けられます。以下の図を参照しながら、それぞれの特徴を押さえていきましょう。

 

取引は、大きく「課税」と「不課税」の2つに分かれる

上の図を見てわかるように、まず取引は消費税がかかる「課税取引」と、かからない「不課税取引」に分けられます。

「不課税」とは、そもそも消費税の課税対象にならない取引。まずは、課税取引と不課税取引がどのように分けられるか、整理していきましょう。

課税(消費税あり)

消費税は、「国内で事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡」や「輸入取引」に対して課税されます。詳しくは、国税庁サイト『課税の対象』も併せてチェックしてください。

不課税(消費税なし)

上記の課税対象に当たらない国外取引や、「事業として行われていない」「対価を得て行わない寄附や譲渡や贈与」は不課税取引となり、消費税はかかりません。

<消費税の課税対象とならないものの例>
・給与・賃金:労働の対価であり、「事業」として行う資産の譲渡等の対価に当たらない
・無償による試供品や見本品の提供:対価の支払いがない
・株式の配当金や出資分配金:株主や出資者の地位に基づいて支払われる

課税対象でも「非課税」と決められたものは、例外的に消費税が発生しない

不課税と非課税は、税がかからない取引という点は共通していますが、その背景に大きな違いがあります。両者の違いをきちんと理解し、意味を混同しないようにしましょう。

先ほどもご紹介したように、消費税とは国内での消費にかかる税金です。課税対象となる取引の中でも、①消費税の性格になじまないもの(ex.消費が予定されていないなど)や、②政策上、課税が適当でないとされるものは、例外的に消費税を課さない「非課税取引」に分類されます。

では、どのような取引が非課税にあたるのかを、それぞれの理由別に見ていきましょう。

① 消費税の性格になじまない取引

② 政策上、課税することが適当ではない取引

非課税取引の例について、さらに詳しく知りたい方は、国税庁サイト『非課税となる取引』を参照してください。

なお、さきほど「仕入税額控除」についてご紹介しましたが、非課税の場合はそもそも「消費税が発生しない」ことから、原則として仕入税額の控除をすることはできません。ここも間違えやすいポイントですので、処理を間違えないように気を付けてくださいね。

「免税」と決められたものにも、消費税はかからない

消費税とは、国内で「消費」されるものに対して発生する税金ですが、国内で提供された商品やサービスであっても免税対象となる輸出取引に、次の2種類があります。

輸出(または輸出に類似する)取引における輸出免税

国際輸送や国際郵便など、外国にある事業者に対してサービス提供を行う場合。

輸出物品販売場(免税店)における輸出免税

日本に居住していない外国人旅行客などに対して、免税対象となる物品を一定の方法で販売する場合。免税店などはこちらに該当します。

不課税や非課税との違いは、「発生した消費税が免除される」というところ。免税の免は「免除」を意味すると覚えておきましょう。なお、理論上は「免税とは、税率が0%の状態を意味し、仕入れにかかった消費税を控除できます。

原則仕入税額を控除できない非課税取引との違いも再度、確認しておきましょう。

違いを理解して、正しい経理処理を心がけよう

消費税の概要や、0%課税の取引、課税対象とならない取引の違いについて、ご理解いただけたでしょうか。複雑に感じるかもしれませんが、「この場合はどう処理するのが正しかったかな?」と判断に迷ったときには、本記事や国税庁のサイトで確認し、正しい処理を心がけてくださいね。

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「もう何年も手帳を使っているけれど、しっくり来る一冊に出会えない」「手帳を使っていても予定管理が上手にできない」など、手帳に関する悩みを持つビジネスパーソンは少なくないようです。
自分に合った手帳やスケジュール管理アプリの使い方を知っておくと、もっと上手にスケジュール管理ができるようになりますよ。

実は、スケジュール管理だけじゃない!手帳の役割をおさらい

最初にご説明したいのは、スケジュール帳には2つの機能があるということ。まずは、予定を書き込んで確実に実行する「スケジュール管理機能」です。これはみなさんご存知の通りですよね。しかしながら、2つめの「タイムマネジメント機能」は案外見落とされがち。タイムマネジメントとは、計画にしたがって動くことで生産性を上げる時間管理を意味します。この2つの機能をフル活用すれば、手帳はスケジュール管理だけでなく、生産性やモチベーションのアップにも繋がるツールになるのです。

「手帳を使いこなせない!」お悩み別・処方箋

毎年新しく手帳を買ってはみるけれど、なんだかしっくりこない。それどころか、いつのまにか手帳の存在すら忘れてしまう…そのような状態では、手帳を活用するまでには程遠いですよね。自分に合った手帳の選び方や使い方を、見直してみましょう。

お悩み「いつのまにか空白のページが増えてしまう」⇒ライフスタイルに合った手帳を選んで

使い始めのうちは念入りに予定を書き込むものの、次第にフェードアウトしてしまう原因は、そもそも手帳がライフスタイルに合っていないのかもしれません。近頃では、使う人のニーズに合わせた手帳がたくさん登場しています。手帳の種類が豊富に揃っているお店に行ってみたり、店員さんにアドバイスをもらったりして、自分にぴったりの手帳を探してみましょう。

お悩み「後から見返してもよくわからない」⇒手帳のテーマや記入ルールを決めて

手帳は誰に見せるものでもなく、自分ひとりに向けて書くもの。せっかく自分のために書き残した内容を役立てられないのは、残念なことです。まずは手帳で管理したいことを決めて、どんな書き方がよいかを考えてみましょう。たとえば日記やフィットネス、レシピなどのライフログや、タスク管理、アイディアノート、家計簿など、手帳の用途は人によってさまざまです。最初にテーマに合わせた書き方のルールを決めておけば習慣化しやすく、あとから見返したときもわかりやすくなります。

タイプ別におすすめ手帳タイプをご紹介

手帳には、大きく分けて3つの種類があります。自分にとっての「書きやすさ」「見やすさ」「管理しやすさ」という点を吟味して、相性のよい手帳を選びましょう。

カレンダー式(マンスリー)

見開きのページに日付ごとのマスが表示された、月間のカレンダータイプの手帳です。旅行や仕事などの長期間に及ぶ予定や、曜日ごとの予定を書き込むのに適しています。また、手帳のページ数が少ないため薄くて軽いのも特徴。ただし、1日あたりのスペースが小さいため、1日の予定件数が多い人や、細かい情報をたくさん書き込みたい人には不向きと言えます。

<こんな人におすすめ>
・1日に書き込む予定数が2~3件の人
・しばらく先の予定までを把握しておきたい人
・曜日ごとの予定が入りやすい人
・重たい手帳を持ち歩きたくない人

レフト式(ウィークリー)

レフト式は、見開きで左のページに1週間のスケジュールを書き込むタイプです。このタイプでは、右のページすべてをメモ帳として使えるので、工夫次第でさまざまな使い方が可能です。週ごとの予定と一緒にメモも管理できるため、タスク管理にも向いていると言えるでしょう。

<こんな人におすすめ>
・1週間分の予定を大まかに管理したい人
・マンスリーよりも細かく補足情報を書きたい人
・メモを書くスペースがたくさんほしい人
・企画やデザイン制作など、アイディアを書き留めるスペースがほしい人

バーチカル式(デイリー)

バーチカル(Vertical)とは「縦の」「垂直の」という意味の単語で、デイリー表記のバーチカル式は、3つのタイプの中で一番細かくスケジュール管理ができるレイアウトです。見開きページの横軸に日付、縦軸に時間軸が配置されており、1日ごとの予定を一目で把握できるのが特徴です。予定の開始時刻や終了時刻が一目でわかるので、スキマ時間を確保したい方にも使いやすいレイアウトです。
<こんな人におすすめ>
・アポイントや会議が多い人
・1日で完了するタスクが多い人

アプリを使ってみるのもひとつの方法

最近は、写真投稿SNSを日記代わりに使っている人も多いですよね。スケジュール管理のために手帳とアプリを併用している人や、アプリだけで予定を管理する人など、デジタルツールを上手に取り入れる人も増えています。手書きで予定を入力できる機能や他のアプリとの連動など、スケジュール管理アプリの機能も日々進化しているので、試しに使ってみてもよいでしょう。アナログ手帳とアプリ、それぞれの良い点を比較して最適なツールを選びましょう。

まとめ

今回は代表的な手帳のタイプをご紹介しましたが、他にも年・月・週の予定が同時に見られるレイアウト、ガントチャート形式など、個性的な手帳もたくさん登場しています。目的やライフスタイルに合わせて適切なアイテムを選び、自分に合ったスケジュール管理を実現しましょう。

仕事をスムーズに進めるためには、関わる人との円滑なコミュニケーションが欠かせません。そのために、普段から好印象を持たれるよう心がけることが大切ですよね。

好印象と聞くと、身だしなみや笑顔などの見た目を一番にイメージしがちですが、実は「声」も重要な要素。今回は、ビジネスに効く声の出し方について解説します。

「声」を意識すれば、もっと印象アップ!

一説によると、人の印象は出会って3~5秒で決まると言われています。「メラビアンの法則」によると、印象の判断材料になるのは、言葉:7%、声:38%、見た目:55%なのだとか。さらに、相手の顔が見えない電話の場合、ほぼ声のトーンや言葉づかいだけで印象が決まるといっても過言ではありません。見た目を変えることに比べれば、好印象を持たれるために意識して「いい声」を作るのは比較的カンタンです。ぜひ、トレーニングしてみましょう!

呼吸と姿勢を意識すれば、いい声が作れる!

では、好印象を与える声とは、いったいどんな声なのでしょうか。一般的にビジネスシーンで好まれるのは、ゆったりと落ち着いたトーンの聞き取りやすい声です。

しっかり声を出すためのポイントは「呼吸」と「姿勢」の2つ。ボイストレーニングの基礎も、吐く息の量を増やして腹式呼吸をすることから始まります。吐く息の量を増やすと、お腹周りの筋肉がゆるんで横隔膜が下がり、たくさん息が体に入ってくるのでクリアな声が出せるという仕組みです。このときに背中が丸まっていると、深い呼吸ができません。背骨をまっすぐにし、正しい呼吸ができるように姿勢を整えましょう。

相手に波長を合わせて心の距離を縮める「ペーシング」

心理学の世界では、呼吸や話し方を相手にペースを合わせる「ペーシング」というコミュニケーション手法があります。これは、話すボリュームやトーン、スピードを相手に合わせることで心地よさを与え、心理的な距離を縮めるというもの。相手に好印象を持たれる声を出すために参考にしたい手法です。

ただし、相手が極端に早口な人や声の大きな人の場合は、無理して同じようにマネしなくても大丈夫。あくまで波長を合わせることを意識して、ほどよく調子を合わせてみましょう。

抑揚をつければ、表情豊かなメリハリのある声になる

抑揚とは、声に強弱をつけること。英語では「イントネーション」と訳します。抑揚をつけることで声に表情が生まれ、相手の興味を引き、好印象を与えることができます。抑揚をつけるコツは、単語ひとつひとつを意識して話すこと。「本日はお日柄もよく」という言葉を例に、「ホンジツハオヒガラモヨク」と「ホンジツハ オヒガラモ ヨク」の2つを読み比べてみると、後者の方が抑揚をつけやすいことを実感できるかと思います。

また、実際に表情をつけながら話すことも大切です。コールセンターなどのお仕事では、自分の顔が見える位置に鏡を置き、表情をチェックしながら電話をするよう指導されることも。顔の表情は声にしっかりと表れますから、意識して表情を作りながら話してみましょう。

シーン別・適した声の選び方を知っておこう

最後にご紹介するのは、TPOに合わせた声の出し方。相手にどんな印象を与えたいかを考え、効果的な声を意識してみましょう。

挨拶は、深呼吸をして高いトーンで発声する

冒頭で述べた通り、人の印象は出会って数秒で決まります。だからこそ、第一声の挨拶がとても肝心!声を出す前に深呼吸して姿勢を整え、少し高いトーンで明るい声を出しましょう。電話口で挨拶をする場合も同様です。

会議やプレゼンの場では、遠くまで声を届けるように意識する

プレゼンや会議など、緊張しがちな場面では肩に力が入って、ボソボソとした低い声になりやすいもの。意識して背筋を伸ばし、声を遠くまで届けるように発声しましょう。まっすぐ通る声は自信を感じさせます。

電話ではファ・ソの音階をイメージして声を出す

電話を通した声は、実際よりも低めに聞こえるという特徴があります。低いトーンの声は、相手に威圧感やマイナスのイメージを与えてしまうことがあるので、電話では意識して高めの声を出しましょう。「ファ」「ソ」の音階をイメージすると、ちょうどいい高さになると言われています。

信頼感を与えたいときは、声を体の中に響かせてゆっくり話す

顧客からの電話やクレーム対応をするときには、声を体の中に響かせるようなイメージで、丸みのある声を意識しましょう。そして、一語ずつゆっくりと落ち着いて話すことも大切。ゆったりとしたあたたかな声は、相手に安心感を与えます。対面の場合は、やや低めのトーンで話すのも効果的です。

まとめ

「自分の言いたいことがしっかり伝わる」「コミュニケーションが円滑に進む」など、“いい声効果”はさまざまなところに波及します。また、いい声を意識すると自然と表情も豊かになります。職場でのコミュニケーションを深めるためにも、ぜひ実践してみてくださいね。

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