気になる経理の将来性は?
将来のことを考え、安定した職業に就きたいと考えるのは当然のことです。しかし、どのような職業が安定しているか、判断するのはなかなか難しいかもしれません。また、希望の会社に就職したとしても、そこで順調なキャリアを積んでいけるのかという不安もあるでしょう。
そこで今回は、経理職の将来性にフォーカスを当て、経理職の現状や経理職でステップアップするために必要な能力についてご紹介していきます。
- 目次
- これからの経理にはどんな変化が起こる?
- これからの経理に求められるスキル
- 理想的な経理のステップアップとは?
- 経理で取得できる資格
- 経理から目指せるキャリアアップ・キャリアチェンジ
- 経理の将来性は自分次第
これからの経理にはどんな変化が起こる?
社会のグローバル化により、経理には以前よりも幅広いスキルが求められようになっています。グローバル化を背景として、経理に携わる人たちから注目されているのが「IFRS(国際会計基準)」です。とくに、海外進出をしている企業や、海外進出を予定している企業の経理を目指すのであれば、IFRSを意識しておく必要があります。
現在はIFRSにもとづいた業務ができる経理は貴重な存在です。しかし、将来的には「IFRSの会計基準を理解していて当然」という社会になる可能性が高く、今のうちから知識を取得しておこうとする人は少なくありません。IFRSの知識の中には「思考力」や「将来予測力」が必要となるものがあるため、習得しておけば自然と「経営戦略スキル」を身につけることができます。
また、将来的に経理の仕事には「AI(Artificial Intelligence)」や「RPA(Robotic Process Automation)」の技術が密接に関わってくると言われています。AIやRPAを導入して定型業務をすべて任せることができれば、経理はよりコアな業務を担当していくようになるでしょう。専門的な仕事を任されたり、会社経営の根幹に携わったりと、真のビジネスパーソンになれる可能性があります。
これからの経理に求められるスキル
ここまでは、経理を取り巻く状況の変化や今後予想される経理の将来像、AIやRPAなどの導入で、経理に求められるスキルがどのように変わっていくのかについてご紹介しました。
では、これからの経理職ではExcelなどの業務に欠かせないスキル以外に、どのようなスキルが求められ、転職で有利になるのでしょうか。ここでは、習得をおすすめしたい5つのスキルについてご紹介します。
言語スキル
上記でもご紹介したように、現代社会はグローバル化が進んでいます。そのため、経理にも語学力が求められるようになるのは必然です。英語はもちろん、中国語などアジア圏の言語スキルも身につけておくと、アジアで展開する企業に転職する際有利になります。
分析スキル
経理である以上、ただデータを出すだけでなく、そのデータから経営状態を分析できるスキルを持つ必要があります。分析することで「会社で今なにが起きているのか」「これから事業をどう進めていけばいいのか」といったことがわかるようになるからです。また、分析スキルを発揮することで、経営に影響力を持つ業務に携われる可能性もあります。
資料作成スキル
経理の仕事で欠かせないのが、資料の作成です。上司へはもちろん、他部署へ資料を提出する機会も多いので、いかにわかりやすい資料を作成できるかが、経理に求められる重要なスキルと言えます。ExcelやPowerPointを使いこなすのはもちろん、「誰に何を伝えるか」を明確化できるスキルも必要です。
プレゼンテーションスキル
経理の業務では、日常的に数字を集計分析したり、伝票仕訳をしたりします。しかし、時には社内外でプレゼンテーションを行う場合もあります。その際はただデータを提示するだけでなく、そのデータから何を読み取れるかを、明確に説明できるかを意識しましょう。優れたプレゼンは、事業改善つながる可能性もあるため、非常に重視されます。
コミュニケーションスキル
経理は数字だけでなく、経営陣や他部署と接する機会も多くあります。そこで求められるのがコミュニケーションスキルです。信頼関係を構築し、問題点などをしっかり伝えられる能力は、経理にとって必要不可欠と言えるでしょう。また、キャリアアップのためにもコミュニケーションスキルは欠かせません。
理想的な経理のステップアップとは?
晴れて経理の仕事に就いたら、次に考えるのはステップアップです。経理にとって理想的なステップアップとは、どのようなものなのでしょうか。ここでは、経理のキャリアステップについてご紹介します。
参考リンク:「経理のキャリアステップ」
STEP1
日常経理~月次補助レベル:時給1,680円~ ※首都圏(1都3県)のパソナ平均時給・2018年9月時点
経理の仕事に就いたとき、まず目指すべきは「日常経理」や「月次補助」を行えるようになること。経理にとっては基本中の基本である「仕訳」の種類や内容について、早いうちに理解を深めていく必要があります。そのほかにも、現預金や手形、売掛・買掛の管理、帳簿の作成などを学び、経理の基礎を習得していけば、次のステップへ進んでいけるでしょう。
STEP2
月次決算レベル:時給1,730円~ ※首都圏(1都3県)のパソナ平均時給・2018年9月時点
「STEP1」で経理の基礎を身につけたら、次は経理にとって非常に重要な月次決算を担当することが求められます。そのほかにも試算表、棚卸表の作成、年次決算準備の補助など、任される仕事はどんどん増えていきます。月次決算処理を一人で担えるようになれば、会社の経営状況などを把握できるため、自身のスキルアップにもつながるはずです。
STEP3
年次決算レベル:時給1,880円~ ※首都圏(1都3県)のパソナ平均時給・2018年9月時点
月次決算を問題なく対応できるようになれば、いよいよ年次決算を任されるようになります。経理にとって一大イベントである年次決算をしっかり進めていけるようになると、一人前の経理として周囲からも認められるようになるでしょう。また、年次決算と並行して、決算書、キャッシュフロー計算書、有価証券報告書の作成や、納税申告なども任されるようになるはずです。この段階になると、会社経営と密接に関わるようになります。場合によっては、管理会計を任される可能性も。
以上が一般的な経理のステップアップです。順調にスキルアップしていけば、それに比例してお給料が上がっていくのは間違いありません。くわえて、前の段落でご紹介したスキルを身につけておけば、さらなるお給料アップも期待できます。
経理で取得できる資格
経理職に就いたあと、順調なキャリアアップやスキルアップを望んでいるのであれば、資格の取得をおすすめします。経理の仕事にプラスとなる資格は複数存在するため、今回はその中からとくにおすすめの資格をご紹介していきます。
日商簿記
経理の仕事に就く人間が取得するべき資格として、もっとも一般的なのが「日商簿記」です。知名度、ブランド力ともにそのほかの資格より高いため、取得しておいて損はないでしょう。日商簿記には1~4級までがあり、3級までであれば取得はそこまで困難ではありません。ただ、一流の経理を目指すのであれば、難易度が高くなる2級以上を取得しておきたいところです。
全経簿記
企業で経理事務の仕事に就いているのであれば、「全経簿記」は取得しておきたい資格のひとつです。日商簿記に比べて取得しやすく、上級に合格すると税理士試験を受験する資格が得られるという大きなメリットがあります。
公認会計士・税理士
「公認会計士」や「税理士」の資格は、会計系の資格の中でもっとも取得難易度の高い資格と言われています。しかし、それゆえに取得をすれば大きなステップアップが果たせるのは間違いありません。ただし、どちらも合格率は10%前後と非常に低いため、並々ならぬ努力が必要です。
IFRS検定・BATIC
IFRSについては、上記でも少し触れましたが「IFRS検定」と「BATIC」は、国際的な経理として活躍するために必須の資格です。この資格を取得しておけば、外資系の会社に転職する際などに非常に有利となるでしょう。試験言語が英語しかないBATICに比べると、日本語で受験が可能なIFRS検定のほうが、やや難易度は下がります。
ご紹介した資格をどれかひとつでも取得しておけば、経理としてのキャリアプランをより幅広く考えることができます。少しでも経理として高みを目指すのであれば、資格取得に向け努力してみてはいかがでしょうか?
経理から目指せるキャリアアップ・キャリアチェンジ
経理の仕事に就けば、そのまま安定したキャリアを送ることもできます。しかし、経験をもとにキャリアアップを目指したり、キャリアチェンジをしたりすることも可能です。ここでは、経理から目指せるキャリアアップやキャリアチェンジには、どのようなものがあるか見ていきます。
公認会計士・税理士
「取得できる資格」でもご紹介しましたが、公認会計士や税理士の資格を取れば、当然そちらへキャリアチェンジして、独立することも可能です。独立して成功すれば、大幅なお給料アップは間違いありません。もちろん、資格の取得は非常に困難なため、簡単になれる職業ではないという点は覚えておく必要があります。
財務・CFOなどの経営層
経理として順調にキャリアを積んでいけば、財務担当にキャリアアップできる可能性があります。財務担当とは、銀行折衝や資金計画、資金運用などを行い、資金面を管理できる仕事のことです。こうした仕事をこなしていれば、今以上に会社の運営に深く携わることができるのは確実です。また、財務として経験を積んでいけばCFO(最高財務責任者)として、会社幹部になるのも夢ではありません。
外資系企業への転職
上記でご紹介したIFRS検定などの資格を取得しており、なおかつ語学力も身についているのであれば、外資系企業への転職も可能になるでしょう。外資系企業では、英文経理や英文会計のスキルを、存分に実践することができます。海外勤務の可能性もあるため、外国で働くことを夢見ているのであれば、目指してみて損はありません。
コンサルタント
経理・会計の知識を生かし、人の役に立ちたいと考えるのであれば、コンサルタントへのキャリアチェンジもおすすめです。最近では「社内コンサルタント」「社内アドバイザー」といった役職が増えてきています。もちろん、コンサルティング・ファームで働くという選択肢もあるので、キャリアプランの幅を広げたい方は、コンサルタントという選択を検討してもいいのではないでしょうか。
経理の将来性は自分次第
ご紹介したように、経理はその道を極めるのもよし、経理の経験を生かして他職種へ転職するもよしと、非常に幅広いキャリアプランが描ける職種です。ただ、経理としてどのようなキャリアを選択するにしても、当然多くの努力と経験が必要になります。
もし、「未経験だけど経理の仕事に挑戦したい」と思っている方は、まずは派遣で経理の経験を積み、自分のキャリアプランを構築していくという方法もおすすめです。パソナに登録して、憧れの自分になる第一歩を踏み出してみませんか?
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