経理の仕事はどう変化する?これからの時代に求められるスキルについて
今後、経理の分野ではAI(人工知能)やRPA(ロボットによる業務自動化)技術の活用や、業務のアウトソーシング化が進むことが予想されています。
こうした変化を敏感に捉え「経理としてどんな時代も求められる存在」になるためには、どのようなスキルを習得しておけば良いのでしょうか。
これからも経理として活躍するために、経理の現場で起きている変化や、将来に向けて身につけておきたいスキルについてご紹介します。
- 目次
- 経理を取り巻く環境の変化って?
- 経理業務は二極化が進む!?
- 【初心者】まずは定型業務から実務経験を増やそう
- 【経験者】管理業務も見据えたスキルを習得しよう
- 時代の変化へ柔軟に対応できる経理を目指そう!
経理を取り巻く環境の変化って?
近年、IT技術の発達やグローバル化が進むなかで、各企業は企業競争力を高めるために、時代の変化に合わせた対応を進めています。それに伴い、経理部門を取り巻く環境も変化を見せています。
では、実際に経理の現場では、どのような変化が起きているのでしょうか。
①技術革新:AI(人工知能)やRPA(ロボットによる業務自動化)などの普及
AIをはじめとした新しい技術が開発され、業務を自動化するRPAツールの導入が進んでいます。単純な入力作業や定型作業を、既に自動化している経理部門も増えているようです。
AI(Artificial Intelligence)
自ら学習し、分析や高度な処理を行うコンピューターシステムのこと。「人工知能」とも呼ばれており、反復学習によって、AI自身が高度な予測や最適な判断を行います。最近では、音声対応アプリやAIスピーカーなど、身近なところでもAI技術が活用されています。
RPA(Robotic Process Automation)
RPAとは、これまで人間が行っていた定型業務を、ソフトウェアロボットの活用により自動化する仕組みのこと。ルールや操作をプログラミングすることにより、ソフトウェアロボットが定型業務を自動で行ってくれます。
経理分野では、伝票の転記や入金消し込みといった業務での利用が既に広がっています。
※関連記事:『注目の最新技術「AI」と「RPA」の違いって?』
②体制の変化:企業体制の見直しや合理化
近年、企業体制の再編成や合理化に伴い、経理をはじめとしたバックオフィス部門の業務を、アウトソーシングやシェアードサービスを利用して、外部に委託する会社が増えています。
アウトソーシング
アウトソーシングとは、会社の業務およびそれを担う人材・サービスを、外部から調達したり、外部に委託したりすること。経理分野を専門とした受託サービスもあり、経理業務の一部または、経理部門そのものを丸ごとアウトソースしている企業も増加傾向にあります。
シェアードサービス
シェアードサービスとは、主に複数のグループ会社を持つ大手企業が、バックオフィス部門の業務を一つのグループ会社に集約すること。グループ会社それぞれにあったバックオフィス部門を一ヶ所にまとめることで、コスト削減や業務の効率化を目的としています。
バックオフィス部門のひとつである経理も、シェアードサービスで集約されることが増えてきました。
③働き方の変化:「働き方改革」の推進
労働力人口の減少による人材不足や長時間労働の是正を背景に、現在多くの企業で、人々の働き方を変えようとする取り組みが行われています。
経理部門でも、締め処理や決算業務などが一定期間に集中し、極端な繁忙期があることが以前から課題になっていました。そこで多くの企業では、業務の効率化や生産性向上のために、下記のような改革に取り組みはじめています。
- 経理の組織体制や人員配置の見直し
- 運用ルールやスケジュール、作業工程の見直し
- 経理システム、ITツールの導入
経理業務は二極化が進む!?
「技術革新」「体制の変化」「働き方の変化」など、さまざまな変化が起こるなかで、経理業務はどのように変わっていくのでしょうか。一説には、「経理業務は二極化していく傾向にある」と言われています。どのように二極化していくと予測されているのか、詳しくご説明していきましょう。
作業(オペレーション)
経理の基本となる取引入力や仕訳、消し込みなどの定型業務。経理アシスタントや経理事務など、経理としての経験をこれから積んでいく方にとっては、最も初歩的な基本業務です。今後、定型業務はアウトソーシングや、作業の自動化がさらに進むと予測されています。
管理
経理における定型業務の工程を設計したり、管理したりする業務。専門的な経理知識や経験に基づく判断力が求められ、経理データの分析や改善提案を行う場合もあります。今後は、経理の管理担当としての人材が、さらに求められるようになることでしょう。
「作業(オペレーション)」と「管理」に二極化していくことが予想される経理業務。時代の変化に対応し、活躍し続ける経理になるためには、どのような経験やスキルが必要になるのでしょうか。
次からは、経理初心者と経理経験者に分け、それぞれが身につけておくべき経験・スキルや、経理担当として着実にステップアップしていくための方法をご紹介します。
【初心者】まずは定型業務から実務経験を増やそう
経理システムの導入やITツールを活用したオペレーション業務の自動化など、経理の現場では既に新しい技術の活用がはじまっています。今後はますます、新技術に対応して使いこなすスキルや、経理としての実務経験が重要視されるようになることでしょう。
経理としてお仕事をスタートしたばかりの方は、まず簿記の基礎知識や定型業務のスキルをしっかりと身につけ、実務経験を積むことが大切。最初は、下記のような定型業務を任されるのが一般的です。
- 起票(伝票の作成、入力)
- 預金管理
- 売掛金、買掛金管理(消し込み)
- 現金出納
- 経費精算
- 給与計算
※関連記事:『経理初心者にオススメの勉強法は?経理に必要な知識・スキルをご紹介!』
では、経理初心者の方が経理としての実務経験を重ねるためには、どのような方法があるのでしょうか。どんな就業先や業務担当からスタートすれば良いか、具体的な方法をご紹介します。
大手企業などの経理アシスタントに挑戦する
一般的に経理アシスタントを入り口として、経理としてのキャリアをスタートする方が多いようです。派遣であれば、経理の担当業務が分かれていて、初心者から経験を積みやすい、大手企業などの求人も多くあります。
また、中間決算関連の業務が始まる9月や、年次決算業務を行う2~3月は、特に未経験OKの求人が増える傾向にあります。経理アシスタントとして経験を積みながら、さらなるスキルアップのために日商簿記2級などの資格取得を目指すのもオススメです。
経理のアウトソーシング・シェアードサービス企業で働く
先程もご紹介した、経理部門のアウトソーシング事業やシェアードサービスを行う会社は、経理の基本業務を請け負っている傾向にあります。そのため、経理初心者の方を積極的に採用している企業も多くあるようです。
経理のアウトソーシング・シェアードサービスを行う企業で基本業務を身につけ、その経験を活かして管理業務へのステップアップを目指すことも十分可能でしょう。
【経験者】管理業務も見据えたスキルを習得しよう
先ほどもご紹介した通り、これからの時代に経理として長く活躍するためには、「業務を設計したり、管理したりする力」も必要になってきます。経理の定型業務をマスターし、一定の経験を積んだ方は、次のステップとして管理業務を見据えたスキルを身につけていきましょう。
では、多くの企業から必要とされる人材になるには、具体的にどんなスキルを習得すれば良いのでしょうか。
分析スキル
現在、経理の現場では、集計した数字を分析し、データを読み解く力のある人材が求められています。売上データや決算書から、問題点を見つけたり、経営状況を分析したりできるようになれば、経理としてさらなるステップアップを目指せるでしょう。
資料作成スキル
Excel・PowerPointをはじめとしたOffice系ソフトを使った資料作成スキルを高めることで、日々の業務を効率化し、スムーズにデータを集計したり、活用したりできるようになるでしょう。
経理は、他部署や経営陣へ資料を提出する機会も多くあります。見る人に合わせたわかりやすい資料を作ることができれば、経理パーソンとしての評価にもつながるはずですよ。
プレゼンテーションスキル
日々、会社のお金の動きを把握している、経理の立場からの意見をプレゼンテーションできるようになると、経理としての価値がさらに高まるでしょう。
分析した結果をまとめた資料をもとに、現在の課題点をわかりやすく伝え、どんな施策を打つべきか提案できれば、経営層からも一目置かれる存在になれるはず。
ITスキル
業務効率化に向けて、RPAや新しい経理システム、ITツールを導入する経理部門は、今後さらに増えると予想されます。
IT部門と連携しながら、そうしたシステムの導入を進め、使いこなす側になるために、ITやシステムに関する知見を増やし、最新技術の情報収集をしておくと、大きな強みになるでしょう。
英語スキル
グローバル化に伴い、今後海外進出を目指す企業もさらに増えることが予想されています。経理職においても、今後英語スキルは大きな強みになることでしょう。
また、英語スキルを活かして、英文経理にチャレンジするという道も。興味のある方は、下記の記事も参考にしてみてくださいね。
※関連記事:『英語スキルが活かせる「英文経理」!お仕事内容や求められるスキルって?』
時代の変化へ柔軟に対応できる経理を目指そう!
技術の発達や時代の変化に伴って、経理部門にも大きな転機が訪れています。
経理業務が二極化すると言われるなか、まずは基本的な定型業務のスキルをしっかりと身につけ、ゆくゆくはシステムへの代替ができない知識・スキルを身につけていきましょう。
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