日商簿記とは?級ごとの難易度や試験日、資格取得のメリットまで紹介
日商簿記ってどんな資格?このような疑問の声は多いと思います。本コラムでは日商簿記とは何か、試験内容や合格率、資格取得で得られるメリット、試験日や転職が有利になる職種まで詳しく解説しています。ぜひ、ご覧ください。
日商簿記とは?
日本商工会議所主催および各地の商工会議所が主催する検定試験で、正式名称は「日商簿記検定試験」です。そもそも簿記とは、あらゆる企業活動を記録し、通常1年ごとに行う決算、そしてその報告書をまとめる技能のこと。簿記の基礎知識を問う初級に始まり、3級、2級、1級と進むにつれて工業簿記や財務諸表の分析など出題範囲や難易度が上がっていきます。
日商簿記の取得を通じて簿記の知識や実践的なビジネススキルが身につくことから、学生から社会人まで幅広い層が受験しているのが特徴です。ほかにも簿記の資格には全商簿記、全経簿記などがあります。
日商簿記の試験内容と合格率
日商簿記は初級、3級、2級、1級の4階級があります。社会人が取得を目指す場合、独学でもチャレンジしやすい3級からスタートするのがおススメです。級ごとの試験内容や合格率などは以下の通りです。
3級
経理や会計に限らず、幅広いビジネスパーソンが身につけておくべき簿記の基礎知識を問うものです。試験科目は「商業簿記」のみで、100点満点中70点以上で合格となります。合格率はおよそ40~50%で、日商簿記3級を取得するまでの学習期間は1~2ヶ月が一般的です。
2級
2級の試験科目には「商業簿記」に加えて「工業簿記」が登場します。100点満点で2科目合計70点以上取れば合格です。合格率は実施回によってばらつきがあり、15~45%程度で、転職に有利とされているのは2級以上です。合格レベルの知識習得には、最低でも3~4ヶ月が目安となります。
1級
日商簿記1級は極めて難易度が高く、合格率は6~13%ほど。公認会計士などの登竜門とも言われ、取得すれば「会計のスペシャリスト」として企業から高い評価を得られます。なお1級に合格すると税理士試験の受験資格が得られるのも特徴です。
試験科目は「商業簿記」「会計学」「工業簿記」「原価計算」の4科目。各科目25点満点で、合計70点以上で合格ですが、1科目でも10点に満たなければ不合格となります。合格レベルに到達するための学習期間は、少なくとも半年以上は必要です。
関連記事:『全商・日商・全経簿記の違いって?3つの簿記検定の種類の違いを解説』
日商簿記の資格を取得するメリット
日商簿記を取得するメリットは多くありますが、ここでは代表的なものをご紹介します。
就職や転職に活かせる
簿記の知識が必要なのは、経理や会計担当者だけにとどまりません。簿記の知識があれば決算書類を読み解け、企業の経営状況を分析できます。これは幅広いビジネスパーソンに役立つスキルと言えるでしょう。
日商簿記の取得を条件にする求人も多く、新人研修の一環として簿記の学習を導入する企業も珍しくありません。幅広い業界で簿記の知識が重要視されていることがわかります。
仕事に役立つことが多い
簿記は企業のあらゆるお金の動きを記録するもの。そのため、実はどんなお仕事にも簿記は関係しています。例えば経理なら日々の伝票記帳や入出金管理、決算期には財務諸表の作成など。財務なら資金調達や予算編成に簿記の知識が欠かせません。
また営業職にとっても、損益計算書や貸借対照表などの見方が分かる簿記の知識は役に立ちます。自社や取引先の経営状況を把握・分析できるスキルはアドバンテージになります。
お金に関する資格取得に活かせる
日商簿記を足掛かりに、他の資格取得を目指す人も多くいます。例えば会計のスペシャリスト、税理士は日商簿記1級取得が受験資格のひとつとなります。日商簿記2級、3級を取得後に、中小企業診断士や、ファイナンシャルプランナーなど資格取得をするケースもみられます。日商簿記の取得を通じて、簿記と相性の良い経営やお金に関する資格取得につなげられるのもメリットと言えるでしょう。
日商簿記の資格取得で転職が有利になる職種
日商簿記は多くの企業で評価される資格ですが、その中でも特に転職が有利になる職種があります。日商簿記取得後のキャリアプランをイメージしてみましょう。
経理・総務・事務職
企業のお金を扱う経理などの会計職種では、日商簿記の取得が特に高く評価されます。実務未経験であっても、日商簿記2級の資格を取得していれば転職を有利に進められることも珍しくありません。総務や一般事務など経理以外の事務職でも同様です。一般的に事務職は仕事での成果を数値化しにくい職種ですが、日商簿記2級を取得していることで高い評価が得られるでしょう。
関連記事:『経理とは|経理の仕事内容について詳しく解説!』『一般事務とは?仕事内容や働くメリット、給料、志望動機の書き方まで紹介!』
営業職
簿記の知識があれば、財務諸表を読み解いて取引先の財務や経営状況を分析できます。「この企業とは安全に取引できるか」といった与信管理の精度が高まり、与信リスクの回避につなげることもできるでしょう。
日商簿記の試験日を紹介
日商簿記の試験は各都道府県で実施する統一試験と、ネット試験の2種類があります。出題範囲は同じですが、開催時期などが違うのでチェックしてください。
統一試験
会場で行われるペーパーテストです。2、3級は2月・6月・11月の年3回。1級の統一試験は6月・11月に行われます。受験の申込書や受付期間は試験を実施する商工会議所によって異なります。試験日の2ヶ月前を目安に、受験を希望する商工会議所のホームページなどで確認しましょう。
試験終了後、合否が分かるまでには2週間から3週間程度かかります。なお、1級のみネット試験は実施しておらず、統一試験のみです。
ネット試験
2級・3級はネット試験会場にて受験が可能です。定期的に試験を実施するところと、受験生の希望に応じて随時実施する2種類の試験会場があります。各試験センターが定める日時で随時試験を開催しているので、統一試験に比べて受験機会が多く、試験日の間際でも専用ページからネット申し込みが可能、申し込めばすぐ受けられます。
ネット試験は、終了後すぐに自動採点されて、PCの画面に合否が表示されるのも特徴のひとつ。合格者にはデジタル合格証が取得できるQRコードが発行され、合格証をPDFで保存します。
日商簿記はさまざまな職種で活かすことができる
日商簿記は経理を始めとする事務職、営業職など多くの職種で活かすことができます。日商簿記の取得をきっかけに別の資格取得やキャリアチェンジを目指す人も多く、何か資格を取りたいと考えている人にもおススメの資格と言えるでしょう。
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