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2017/03/31

赤字決算になりそう……どうすればいい?

著者: パソナ キャリアコーチ(経理担当)

赤字決算になりそう……どうすればいい?

経理職に就いていれば、会社の業績が思わしくなく、赤字か黒字かの瀬戸際…という厳しい現実に直面する可能性は少なからずあるもの。当然赤字になれば、銀行や周りからの印象は良くはありません。ですが、慌てる前に何かできることがあるはずです。

そこで今回は、万が一赤字決算が濃厚になった場合、経理としてどのような対処をすれば良いかについて、ご紹介します。

赤字決算は大きく4つに分けられる

まず心得ておきたいことは、必ずしも「赤字=悪」というわけではないということ。また、ひと口に赤字と言っても様々な種類があり、大きく4つに分類することができます。

それぞれによって金融機関への説明が変わってきますので、まずは自社が4つのうちのどのパターンに該当するのかを把握しておく必要があります。

1.慢性的な赤字

赤字が常態化しているパターンで、銀行などの金融機関への印象は非常に悪くなります。経営の方針のみならず、マーケット自体の縮小や、競争の激化などの要因も考えられ、短期的に完結するのが難しいことも多いです。

2.一時的な赤字

機器設備の除却損や、役員に対する退職金などの支出があったり、地震などの災害によって一時的に営業できなくなったりするなど、本業とは直接関係のない要因によって赤字決算となるパターン。

赤字になった要因が明確で、かつ一時的なものであることが分かる場合が該当します。表面上は赤字になっていても、金融機関からの印象はさほど悪くないでしょう。

3.意図的な赤字

法人税の節税を目的に、意図的に赤字にするパターン。役員報酬を増やしたり、多くの経費を計上したりして利益を減らし、あえて決算を赤字にします。

ただし、節税したいからといって本来不要な費用まで計上していると、いざというときに現金が手元にない!といった状況に陥ってしまう可能性もあります。

4.計画的な赤字

当初から赤字になることが想定されているパターンで、代表的なものが会社の草創期。創業時に作成した事業計画を鑑みて、合理的な範囲であれば計画に基づいた「想定された赤字」とみなされるでしょう。

赤字決算になりそうな場合はどうする?

もしも赤字決算が濃厚になった場合は、2つの道があります。ひとつは「大幅な赤字にする」こと。そしてもうひとつは「どうにか黒字に持っていく」ことです。

大幅な赤字にする

もしギリギリでの巻き返しが難しい場合は、思い切って大幅な赤字にしたほうが良いこともあります。

たとえば、前期が黒字決算で、当期が赤字になることが濃厚なケース。この場合は、来期の決算を確実に黒字に持っていくために、当期決算にできるかぎりの損失や経費を盛り込みます。

マイナス要素を出せるだけ出して、来期のV字回復を狙う。“そこそこの赤字”が2年連続するより、“大きい赤字”を1年にするという考え方です。

どうにか黒字に持っていく

「赤字が濃厚だが、もしかしたら…」という場合は、最後まであきらめずに黒字を目指す方法もあります。当然、金融機関からは黒字のほうが印象は良いでしょう。

その際に検討したいのが、費用を資産として計上することです。費用を増やして利益を減らす「節税対策」の反対を行って、利益を増やすのです。方法としては以下の5つが挙げられます。

①前払費用の計上

損害保険料や生命保険料、また従業員のセミナー料金など、長期にわたって効果がおよぶものは、来期にかかる期間の分を「前払費用」という資産として計上することができます。

②消耗品の計上

消耗品を購入した際は、消耗品費という費用で計上しますが、未使用のものについては資産にすることができます。決算日時点の在庫を確認して、使っていない分を資産にすることで費用を少なくすることができます。

③買掛金の整理

長期間にわたって、未払いになったままの買掛金がないか調べてみましょう。支払い義務がなくなっているものがあるかもしれません。

④債務免除益の計上

役員からの借入金がある場合、その債務を免除とすることで、特別利益として振り替えることができます。

⑤減価償却費を計上しない

償却限度額の範囲内で償却したお金は、費用として計上できることになっていますが、そもそも減価償却費の計上は会社の任意。あえて減価償却費の計上を見送ることで、利益を増やすことができます。

※関連記事:『決算書作成に必要な「減価償却」の考え方

 

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参考サイト:

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