国際配送の手段「クーリエ便」「EMS」とは?違いや最適な選び方をご紹介!
「クーリエ」とは、海外へ書類やサンプルなどを送る際によく利用される国際宅配便のことです。また「EMS(国際スピード郵便)」も、クーリエ同様に利用できる便利な海外配送サービスのひとつです。
しかし「クーリエのことをよく知らない」「クーリエとEMSの違いが分からない」という方も多いのではないでしょうか?
国内の配送サービスでも、郵便局の「ゆうパック」と輸送業者の「宅配便」が違うように、利用者があまり意識していなくても、「クーリエ」と「EMS」は、それぞれサービスや貨物の流れが異なります。
そこで今回は、海外配送の際に利用される「クーリエ」について分かりやすく紹介します。また「クーリエ」と「EMS」の違いや、それぞれの使い分けのヒントについても解説していきますので参考にしてみてください。
※ご紹介した情報は、2023年4月時点での情報です。掲載した時点以降に変更される場合もあります。
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- 目次
- クーリエ(国際宅配便)は民間配送会社が行うサービス
- EMS(国際スピード郵便)は公的配送会社が行うサービス
- クーリエとEMSにはどんな違いがあるの?
- クーリエとEMSどちらを選ぶのが良い?
- クーリエとEMSの違いを知って、最適なサービスを選ぼう!
クーリエ(国際宅配便)は民間配送会社が行うサービス」
一般的に「クーリエ(国際宅配便)」とは、航空便で海外に書類や小口荷物を届ける民間の配達サービスのことをいいます。
海外へ送る荷物は、国内輸送とは異なり、出入国の税関で海外へ送る荷物の通関手続きを行う必要があるのですが、クーリエ業者は通関業務を担当する通関士がいるため、発送人・受取人の通関手続きを代行してくれる(国内輸送の感覚で送れる)のが特徴です。
*クーリエ業者によって、配送料金や内容、配送対象のエリアなどは異なります。
クーリエ業者とは
有名なクーリエ業者には、FedEx(フェデックス)、DHL(ディーエイチエル)、UPS(ユーピーエス)などがあります。オフィス街で走っているクーリエ業者のトラックを目にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
輸送の流れ
1.荷物の内容確認
まずは、クーリエで送付できる商品かどうかを確認します。目的地までの料金や配達日数についても、この時点でしっかり確認しておきましょう。詳細はクーリエ業者のホームページなどにも記載があります。
2.運送状(Air Waybill)やインボイスを用意
運送状は各社でフォーマットが異なるため、利用するクーリエ業者の運送状に記入、またはWeb上で入力を行います。(Web入力する場合は、アカウントの開設・登録が必要となる場合もあります)また、書類以外のものを送るときには、インボイスを3部用意します。
3.集荷
電話またはWeb入力時に日程・時間帯を指定して、集荷依頼をしましょう。
4.通関手続き
一般的な航空輸送の流れとは異なり、クーリエ業者には社内に通関士がいるため、配送サービスのなかに通関手続きも含まれています。そのため、発送人や受取人自身が輸出入の通関手続きを行ったり、フォワーダーに依頼したりする必要はありません。
5.配達
EMS(国際スピード郵便)は公的配送会社が行うサービス
一方、EMS(Express Mail Service)は、万国郵便連合に加盟している世界各国の郵政省や郵政庁、郵政公社などの公的配送会社が行っている国際配送サービスです。日本では「日本郵政」が取り扱っているため、郵便局の窓口から送ることができます。
EMSで荷物を海外に送るときは、クーリエと同様、インボイスの提出が求められますが、クーリエとは異なり、内容物が国際郵便の取り扱いで輸送されるのが特徴です。そのため、税関に輸出入申告するのではなく、郵便交換局と呼ばれる機関で“税関検査”が行われます。
ただ、海外に送る内容物が高額の場合(日本では20万円を越える場合)は申告の必要があると判断されますので、利用者(通常は受取人側)に連絡が入り、受取人自身、またはその代理人(通関業者)が通関手続きを行う必要があります。
*書類のみを送る場合は、インボイスの添付は不要です。
輸送の流れ
1.荷物の内容確認
EMSで送付できる商品かどうかを確認します。航空危険物等国際郵便として送れないものや、配達先の国で輸入を禁止しているものがあるので注意が必要です。また、目的地までの料金や配達日数についても、この時点で確認しておきましょう。
2.運送状(EMSラベル)とインボイスを用意
専用の運送状に記入、またはWeb上で入力してラベルをプリントアウトします。(ゆうびんIDの登録が必要です)書類以外のものを送るときは、インボイスを3部用意しましょう。
3.集荷/郵便局への持込
電話またはオンライン上で集荷依頼をかけるか、ご自身で郵便局へ荷物を持ち込みましょう。
4.税関検査
EMSの場合、通関(輸出入申告)ではなく、郵便交換局で直接税関検査が行われます。ただし、高額商品など荷物の内容によっては、例外的に通関が必要になる場合もあります。
5.配達
クーリエとEMSにはどんな違いがあるの?
どちらも簡単な手続きで、荷物を国際輸送できる「クーリエ」と「EMS」ですが、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
荷物を発送する際に、あまり大きな違いを感じることは少ないかもしれませんが、通関手続きをはじめとして、サービス内容や輸送方法はそれぞれ少しずつ違っています。項目別に「クーリエ」と「EMS」の違いについてご紹介しましょう。
運営・サービス内容
【クーリエ】通関業務と輸送業務がセットになった民間の国際輸送サービス
【EMS】万国郵便連合に加盟している国の郵便事業体が行っている公的な国際輸送サービス(日本では、日本郵政がサービス提供)
通関
【クーリエ】通関業務もクーリエ業者が請け負うため、利用者が通関手続きをすることはない
【EMS】一般の輸出入貨物とは異なる国際郵便の取り扱いで配送されるため、通関手続きがない。ただし、内容物が高額(20万円以上)の場合、国際郵便交換局内にある税関の出張所で税関職員による検査があり、利用者(受取人またはその代理人)が通関手続きを行う必要がある
送料・関税支払い
【クーリエ】発送人と受取人の「どちらが輸送費や関税を支払うか」を選ぶことができる
【EMS】輸送費は発送人が支払い、関税がかかる場合は、受取人が支払う決まりになっている
料金・配達スピード
【クーリエ】配送スピードは早いが、料金は割高(一般的な航空輸送よりも高いことが多い)
【EMS】配送スピードはクーリエよりは若干時間がかかるが、料金はクーリエよりも割安
*上記は一般的な内容で、いずれも国や業者によって、料金や発送までの日数は異なります。事前に各業者へご確認ください。
重量制限
【クーリエ】一般的に貨物の重量制限なし *業者によってサービス内容は異なる
【EMS】貨物の重量制限あり(30キロまで)
*その他、重量に関わらず法律・条約などにより輸送が禁止されているものは、クーリエ・EMSともに国際郵便として送ることができない
運送保険
【クーリエ】オプションとして運送保険制度を用意しているクーリエ業者もある
【EMS】「損害賠償制度」と呼ばれる保障制度があり、送る商品の価格が2万円を超える場合、最高200万円まで補償される
クーリエとEMSどちらを選ぶのが良い?
ここまで、クーリエとEMSの違いについてご紹介してきましたが、どのような基準でクーリエとEMSを使い分けると良いのでしょうか?配達する荷物や状況により、ケースバイケースですが、どちらで送った方が良いかを判断するポイントについて、いくつかご紹介しましょう。
送料・配送日数
送り先によってどちらで送っても差がないケースもありますが、一般的に送料を抑えたいならEMS、スピードを重視するならクーリエに軍配が上がります。
送る荷物(商品)にかかる関税の有無
一般的に、商品や有償サンプルなど関税がかかる可能性が高い場合はクーリエ、書類や無償サンプルの場合はEMSがおススメです。
クーリエは業者が通関業務を請け負うため、関税がかかる場合でも対応が早く、スピーディに荷物が相手先に届きますが、EMSの場合、関税がかかると受取人が対応しなければならないため、受け取りに時間がかかってしまう恐れがあります。
送料や関税の支払いの選択
EMSは、送料を支払うのは発送人、配送先の国でかかった関税を支払うのは受取人と決まっていますが、クーリエは送る荷物ごとに送料や関税の支払いを発送人・受取人のどちらにするかを選択できます。支払いに柔軟性を求めるなら、クーリエがおススメです。
運送保険の有無
保険をつけたい場合はEMSがおススメです。EMSには「損害賠償制度」と呼ばれる保障制度があり、送る商品の価格が2万円を超える場合、最高200万円まで補償されます。
*クーリエも、オプションとして運送保険をかけられる業者もありますが、発送人が独自に保険会社に保険をかけなければないケースがほとんどです。
社内規定
会社によっては、「小口貨物はクーリエ、書類・無償サンプルはEMS」あるいは「書類や無償サンプルもクーリエで送る(EMSは利用しない)」というように、社内規定が存在することもあります。貿易事務のお仕事に就いたばかりのときには、社内の方に送付ルールを確認するようにしましょう。
クーリエとEMSの違いを知って、最適なサービスを選ぼう!
通関の有無、料金、配送スピード、支払いの選択など、クーリエとEMSの違いについて、それぞれの違いは理解できたでしょうか。
クーリエやEMSを利用する際は、状況に合わせてメリット・デメリットを総合的に判断したうえで、適切なサービスを選んでください。
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