経理の勉強方法って?独学する際の学習方法やおすすめの資格をご紹介!

一般事務職からのステップアップ先として人気の「経理」のお仕事。新たに経理職へチャレンジしたいという経理初心者の方や、お仕事の幅を広げて給与アップを目指したいという経理中級者の方も少なくありません。
しかし、キャリアアップを叶えるためには、どのような勉強や資格取得をすると良いのでしょうか。キャリアアップのためには、まず今の自分のレベルを知り、必要な勉強を始めることが大切です。
そこで今回は、経理パーソンとしてのキャリアアップに役立つ勉強のポイント、取得しておくと良い資格やその学習方法についてご紹介します。
- 目次
- 経理のキャリアアップで、日商簿記の上位資格は取得必須?
- 【未経験者・初心者】日商簿記3級レベル(日常経理・月次補助)から
- 日商簿記3級のレベル・勉強のポイントって?
- 【中級者】実務経験を積み、日商簿記2級レベル(月次・年次決算)へステップアップ
- 日商簿記2級のレベル・勉強のポイントって?
- 日商簿記の学習方法
- 日商簿記以外のオススメの経理の勉強内容・資格
- 経理関連資格の勉強を通して知識を身につけ、着実にキャリアアップしよう
経理のキャリアアップで、日商簿記の上位資格は取得必須?
経理のお仕事をするうえで、基本となる簿記の知識は欠かすことのできないもの。簿記の勉強をする際に、最もメジャーな方法は「日商簿記検定」の受検です。
しかし、経理として「必ず日商簿記の上位資格を取得しないといけない」ということはありません。
もちろん、日商簿記の上位資格を持っていれば、キャリアアップや転職の際、大いに役立ちます。とはいえ、日商簿記の最上級となる「日商簿記1級」は公認会計士・税理士などの国家資格への登竜門とも言われ、学習時間の目安は約500時間、合格率は10%前後という難易度の高い試験。
そのため、簿記初心者の方はまず「日商簿記3級」または「日商簿記2級」を目指しましょう。
「日商簿記2級」は、一般的な株式会社の商業簿記・工業簿記の内容に相当するため、実務に役立つ資格です。さらに、「日商簿記3級」は、簿記の基本原理や商業簿記の基礎知識の問題が出題されるため、簿記初心者でも比較的取得しやすい資格と言えるでしょう。
※関連記事:『経理とは|経理の仕事内容について詳しく解説!』
将来的に会計士や税理士を目指す方は、日商簿記1級にチャレンジ!
一方、「日商簿記1級」は、より専門的な商業簿記・工業簿記(原価計算)に加え、会計基準や企業会計、経営分析に関する問題も、多く出題されます。
合格すれば税理士試験の受験資格が与えられることから、「日商簿記1級」は将来公認会計士や税理士として活躍したい場合に目指すものと考えると良いでしょう。
経理関連分野の知識を身につければ、キャリアの幅が広がる
経理としてさらにキャリアの幅を広げたいという方は、経理に関わる周辺分野の知識を身につけることが大切です。
将来のキャリアプランを見据えたうえで、キャリアアップに役立つ分野を考えてみましょう。たとえば、自社が属する業界の知識や、給与計算や労務、財務、英文経理など「+α」の知識を身につけることで、業務の幅も広がっていきます。
【未経験者・初心者】日商簿記3級レベル(日常経理・月次補助)から
経理未経験者でこれから簿記の勉強を始めるという方は、いきなり2級に挑戦するよりも、まずは「日商簿記3級」の取得を目指しましょう。
経理のアシスタント職であれば、資格不要や未経験OKのお仕事もあるので、日商簿記3級の勉強中の段階で経理デビューすることも十分可能。その場合は、ぜひ「日商簿記3級取得を目指して勉強中です」と経理職への意欲を伝えましょう。
経理アシスタントのお仕事は、仕訳や伝票起票・計上、現預金の管理、手形管理、売掛・買掛管理、帳簿の作成といった日常的に発生する業務がメインとなります。日々のお金の流れをつかみ、段階的に月次決算の補助業務にもチャレンジしていきましょう。
日商簿記3級のレベル・勉強のポイントって?
「日商簿記3級」は、経理志望者だけでなく、営業職や管理部門の職種の方も多く受検している検定試験。
出題範囲は、簿記の基本原理や各種取引の処理方法、決算書類の作成など。商業簿記・会計学の基礎を習得できるため、幅広いビジネスパーソンに役立つ汎用性の高い知識が身につく資格です。
学習時間の目安と出題範囲
日商簿記3級の学習時間目安は、約70~100時間と言われています。合格率は40%~50%程度と、初心者でも比較的取得しやすい資格と言えるでしょう。
範囲は、商業簿記の原理(仕訳・帳簿記入など)、各種取引の処理、決算(試算表の作成など)から出題され、70点以上で合格となります。
勉強のポイント
日商簿記3級は、独学でも取得しやすい内容のため、市販のテキストでの学習がオススメ。
まずはテキストをしっかりと読み込んで、簿記の基本となる考え方や仕訳の仕組みを頭に入れましょう。あとは電卓を片手に、過去問を繰り返し解いてみてくださいね。
電卓選びのポイント
簿記の勉強を始めるにあたって、ぜひ使いやすい電卓を準備しましょう。タッチタイピング(ブラインドタッチ)でキーを押せるサイズ感、効率的な計算を助けるメモリーキーなど、オススメしたい電卓選びのポイントは次の4つです。
- 自分の手になじむサイズ感のもの
- 12桁以上表示できるもの
- 数字が大きく見やすいもの
- GT(グランドトータル)キーとメモリーキーがあるもの
なお、簿記の試験会場には以下の機能がついた電卓を持ち込むことができません。電卓選びの際は、注意しましょう。
- 印刷(出力)機能があるもの
- メロディー(音の出る)機能があるもの
- プログラム機能があるもの(例:関数入力などの機能がある電卓、売価計算・原価計算の公式記憶機能がある電卓)
- 辞書や文字入力の機能があるもの
ぜひ、自分が使いやすく簿記試験に向いている電卓を選び、手になじむまで使い込んでみてくださいね。
※関連記事:『覚えておきたい電卓スキル!業務効率をアップさせるための電卓計算術!』
【中級者】実務経験を積み、日商簿記2級レベル(月次・年次決算)へステップアップ
日々のお金の流れに関わる日常経理業務をマスターしたら、次は“一人で月次決算処理ができる”レベルの「日商簿記2級」を目指しましょう。
経理のアシスタント職からステップアップしたい方や、経理として次のレベルに挑戦したい方は、ぜひ「日商簿記2級」を目標にしたいところ。
日商簿記2級以上の資格を、経理職求人の応募条件としている企業も多いため、取得すれば挑戦できるお仕事の幅がさらに広がります。
日商簿記2級の学習範囲には、試算表作成や総勘定元帳作成、棚卸表作成が含まれます。この演習を繰り返し行うことで、実務でも年次決算に向けた準備・補助業務にもチャレンジできるようになるはず。
簿記の基礎や実務の知識がきちんと身についているか、業務と並行して確認しながら、日商簿記2級の学習を進めると良いでしょう。
日商簿記2級のレベル・勉強のポイントって?
日商簿記2級では、3級で学んだ商業簿記に加えて、新たに工業簿記が加わります。原価計算や財務諸表作成、連結会計など、企業会計の知識をより深めることで、会社の経営状況を把握できるようになるでしょう。
学習時間の目安と出題範囲
中規模の株式会社を想定した商業簿記および工業簿記(原価計算)の内容が出題範囲。商業簿記が60点満点、工業簿記が40点満点で、2科目の合計が70点以上で合格となります。
日商簿記2級では、3級の出題範囲をベースにしながら、工業簿記におけるコスト管理についての知識が問われます。
実施回によって異なりますが、日商簿記3級と比べて合格率はグンと下がり、15%~20%程度に。合格に要する標準学習時間は、独学で約200時間とも言われています。
勉強のポイント
まずは2級のテキストや過去問に一通り目を通してみて、独学が大変そうだと感じる方は、資格取得のための専門スクールや社会人向け講座、eラーニングなどの受講を検討してみるのもひとつ。
試験の出題範囲の傾向などを知れたり、共に励まし合う仲間に出会えたりする可能性も。日商簿記検定の試験は年3回行われるので、それに合わせてスケジュールを組むと良いでしょう。
日商簿記の学習方法
資格取得のためには、自分に合った学習方法を選ぶことが大切です。「どんな環境が勉強しやすいのか」「勉強にかけられる時間はどれくらいなのか」を考えながら、ベストな学習方法を選びましょう。
テキスト・参考書
日商簿記はポピュラーな資格なので、書店でさまざまなテキストや解説本が販売されています。気になるテキストをいくつか比較して、自分が読みやすいものを選べば勉強がはかどるはずですよ。
テキスト選びに迷ったときは、レビューサイトや書店スタッフがオススメしている人気のテキストを選ぶのが無難。テキストをフル活用して、自分のペースで学習を進めていきましょう。
スクール・講座
お仕事をしながら資格取得を目指す場合、効率を重視して学習を進めたいという方も多いはず。そんな方は、資格取得のためのスクールや社会人向け講座がオススメです。試験直前の短期集中講座や、じっくり学べる長期講座など、希望に応じて選びましょう。
通学のメリットは、指導経験が豊富な講師から直接、学習ポイントの指導を受けられるほか、分からないことがあればすぐに質問できること。最新の試験傾向を踏まえたテキストを元に勉強できるので、試験対策にも有効です。
また、同じ講座に通い、ともに資格取得を目指す仲間の存在は、学習意欲の支えになるはずですよ。
eラーニング
「テキスト学習をコツコツ続けるのは苦手だけれど、スクールに通う時間の余裕がない」という方にはインターネットを利用したeラーニングがオススメ。
オンラインの学習プログラムや動画、アプリなどを使えば、24時間好きなときに、どんな場所にいても学ぶことができます。通学のスクール・講座に比べて低価格という点も魅力です。
※関連記事:『経理初心者にオススメの勉強法は?経理に必要な知識・スキルをご紹介!』
日商簿記以外のオススメの経理の勉強内容・資格
経理のキャリアアップに繋がる資格は、簿記関連の資格だけではありません。ここからは、日商簿記以外の経理実務に役立つ資格をいくつかご紹介します。
今後チャレンジしたい業務に関連する資格や、今のレベルに合わせた資格を見極めて、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
PASS(経理事務パスポート検定)
PASSは、一般社団法人日本CFO協会が主催する「事務スタッフに求められる実践的な経理知識」を測る検定試験です。
レベルは、3~1級までがあり、3級は「経理の役割や基本的な事務処理」、2級は「請求や支払、経費処理など経理の基本的な取引業務」、1級は「売掛金管理や固定資産管理、月次決算関連業務」などの学習範囲から出題されます。
未経験から経理職を目指す方は、まずはPASSからチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
※関連記事:『【資格】経理や財務に役立つ資格「PASS」とは?』
給与計算実務能力検定
給与計算実務能力検定は、一般社団法人実務能力開発支援協会が主催する給与計算のスキルレベルを測る検定試験です。
給与計算は、労働基準法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法などの法律に精通し、複雑な給与計算の仕組みを理解しておかなければならない専門性の高い業務。
レベルは2級と1級があり、検定の勉強を通して、法律の知識や実際の給与計算を演習形式で学べます。給与計算のスキルは、経理職のキャリアアップや転職活動でもプラスになるはずですよ。
※関連記事:『【資格】給与計算実務能力検定とは?資格取得のメリットや難易度を解説!』
ビジネス会計検定試験
ビジネス会計検定は、大阪商工会議所が主催する「財務諸表を分析し、企業の財務状況を把握するスキル」を測る検定試験です。
3~1級までの等級があり、3級は「財務諸表の読み方や分析の基本」、2級は「財務諸表の応用分析や関連する法令の知識」、1級は「ディスクロージャー(企業の情報公開)や会計基準、内部統制」などが出題範囲に含まれます。
企業の財務状況を読み解くスキルが身につくため、財務に強くなりたい経理の方や、ゆくゆくは経営分析の道に進みたい方にオススメです。
※関連記事:『ビジネス会計検定試験とは?特徴や難易度を分かりやすく解説!』
FASS(経理・財務スキル検定)
FASS検定は、経理・財務の実務スキルを客観的に測ることができる、日本CFO協会主催の検定試験です。
合否ではなく、800点満点の総合点からE~Aの5段階でレベルが判定され、「資産分野」「決算分野」「税務分野」「資金分野」4分野の達成度合いも確認することができます。
経理・財務部門の日常業務で使う実務に則した内容が多く出題されるため、スキルアップを目指す現役の経理・財務担当者が多く受検しています。
※関連記事:『【資格】「FASS」でグローバル時代の経理・財務スキルを測る』『経理のキャリアアップにオススメの検定・資格は?経験・レベル別にご紹介!』
経理関連資格の勉強を通して知識を身につけ、着実にキャリアアップしよう
今回は、経理初心者・中級者の方に向けて、キャリアアップを叶えるために必要な勉強や資格についてご紹介してきました。
経理の業務範囲は幅広いため、まずは現在の経験値やスキルのレベルを知り、キャリアアップのために必要な勉強や資格を見極めましょう。そして、自分に合った学習方法や学習計画を立てて、着実に実行していくことが大切です。
今回ご紹介した、日商簿記などの経理関連資格や学習方法のポイントを参考に、今の自分に必要な知識・スキルを考えてみてくださいね。
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