【資格】改定版簿記2級のワンポイントレッスン~有価証券の分類と評価~
改定版簿記検定2級で、2016年度(平成28年度)に簿記1級の範囲から2級の範囲に変わった「有価証券(子会社株式・関連会社株式・その他)」について、証券処理など、ぜひ押さえておきたいポイントをご紹介します。
改定によって試験範囲が広くなったことで、特に2級は難易度が上がったとも言われていますので、しっかり頭に入れておきましょう。
改訂版簿記2級のキーパート、有価証券の基礎知識
有価証券とは、文字通り「価値がある証として認められる券(紙)」のこと。
一定の商法上の権利(財産権)を示す証明書はすべて有価証券に該当し、為替手形や国債証券、株券、投資証券、社債券といったものから商品券や図書券といったものまで、全て有価証券ということになります。
ちなみに、収入印紙や郵便切手などの金券は権利を示すものではなく、有価証券とは区別されるので要注意です。
有価証券の仕訳は保有目的で変わる
有価証券は保有目的ごとに以下5つに分けられ、この保有目的によって仕訳は異なります。なぜなら、有価証券を保有する目的によって投資活動の成果(=評価)が異なってくるからです。
種類 | 定義 |
---|---|
売買目的有価証券 | 時価の変動による差額で利益を得ることを目的とした株式や債券 |
満期保有目的債券 | 満期まで保有する目的で購入した債券 |
子会社株式 | 発行済株式の50%超を保有している会社(子会社)の株式 |
関連会社株式 | 発行済株式の20~50%を保有している会社(関連会社)の株式 |
その他有価証券 | 上記4つに該当しない株式や債券 |
簿記の試験などで有価証券を正しく仕訳するには、保有目的を明らかにすることが重要になります。
例えば、問題文に「売買目的で取得した」といった記載があれば、売買目的有価証券にあたります。保有目的が不明でも、「株式には満期がないから満期保有目的債券ではない」や、「株式の保有割合が計算できないから子会社株式や関連会社株式ではない」といった形で、その他有価証券だと特定することも可能です。
試験本番では、まるで国語の試験を受けるように、問題文を細かく丁寧に読み進めることがポイントです。
保有目的で見る貸借対照表上の表示
有価証券は、保有目的によって貸借対照表(B/S)における各表示科目と表示区分も変わります。上記とセットで覚えておくようにしましょう。
表示区分 | 勘定科目 | 保有目的 |
---|---|---|
流動資産 | 有価証券 | 売買目的有価証券 |
満期日まで1年以内の満期保有目的債券 | ||
満期日まで1年以内のその他有価証券 | ||
固定資産 | 投資有価証券 | 満期日まで1年超の満期保有目的債券 |
満期日まで1年超のその他有価証券 | ||
その他有価証券 | ||
関係会社株式 | 子会社株式 | |
関連会社株式 |
扱いで注意しておきたいのは、「満期保有目的債券」と「その他有価証券」です。
これらに該当する債権には、一年基準(固定資産か流動資産かをどう区分するか判断する基準)が適用されます。
決算日の翌日から一年以内に満期が来るものは「有価証券」として流動資産に、それより先に満期が来るものは「投資有価証券」として、固定資産の区分に表示することになっていることをお忘れなく。
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