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2019/10/07

【保存版】貿易取引の基本的な仕組みと流れを解説します!

【保存版】貿易取引の基本的な仕組みと流れを解説します!

貿易事務の業務では、貿易取引の全体に携わるケースから、その一部業務を担当するケースまで、さまざまな関わり方がありますが、この業界でステップアップを図るなら「貿易取引全体の基本的な仕組みと流れ」は知っておきたいところ。

今回は、貿易実務者が知っておくと良い、貿易取引の仕組みと業務上のポイントについてご紹介します。

目次
貿易取引の仕組みって?貿易取引は「契約→輸送→決済」の流れで行われます
①信用できる取引相手の選定、関連法規の確認
②売買契約締結
③輸出国での輸送手続き・通関手続き
④輸入国での通関手続き・貨物の引き取り
⑤商品代金決済
貿易書類の理解が貿易取引の仕組み・流れの理解につながります!

貿易取引の仕組みって?貿易取引は「契約→輸送→決済」の流れで行われます

貿易取引の流れを大きく分けると、「売買契約の締結→貨物の輸送→商品代金の決済」という3つのステージに分類されます。

この3つのステージにおける大まかな流れは国内取引も同じですが、貿易取引における契約・輸送・決済には、貿易特有の書類や手続きが多くあります。また、輸出地・輸入地ともに各国の税関における通関の必要があることも、国内取引と貿易取引で大きく異なる点です。

貿易取引の流れに沿って、輸出者・輸入者それぞれのポイントを踏まえながら、貿易取引の仕組みについて解説していきます。

①信用できる取引相手の選定、関連法規の確認

①信用できる取引相手の選定、関連法規の確認

貿易取引は、輸出者と輸入者のそれぞれが、取引相手を選定するところから始まります。

ひと昔前は、国際展示会が主な出会いの場となっていましたが、現在は商工会議所や代理店、セールスレップ(営業)から紹介を受けたり、インターネットを介して知り合ったりと、さまざまな場でのビジネスマッチングが行われています。

その後、輸出者の商品の品質を確認したり、価格を交渉したりしながら、お互いの希望条件を調整し、取引するかどうかを決めます。なお、輸入者(買主)から輸出者(売主)への問い合わせから、交渉が始まるケースが一般的です。

(輸入者による)輸出者選びのポイント

輸入者自身の顧客や販路、市場ニーズをもとに、輸出者の商品の価格や品質、製造期間、最低注文数量などがマッチするかを考慮して、選定します。

(輸出者による)輸入者選びのポイント

輸入者の顧客や販路などの販売規模、注文数量、梱包、決済条件などを考慮して、選定します。

なお、初めての取引では、輸出者・輸入者ともに相手企業のことを知らない状態から始まります。そこで、第三者機関に相手企業の信用状態を調べてもらう「信用調査」を行ったり、競合企業のリサーチを行ったりする場合もあります。

また、取り扱う商品によっては、省庁から輸出入の許可を要するものや検査が求められるもの、輸出入商品に関する法規制の確認が必要なケースもあるため、注意が必要です。

※関連記事:『貿易取引における交渉の流れを知ろう!~勧誘・引き合い・オファー~

②売買契約締結

②売買契約締結

輸出入者がともに売買取引することを決めたら、「商品」「輸送」「決済」に関する交渉・調整を行い、売買契約を交わします。貿易実務では「①取引相手選定」の時点から、条件の交渉を始めるケースも多いのですが、売買契約時には必ず以下の内容について取り決め、契約書にもその内容を盛り込みます。

売買契約前に必ず取り決めなければならないこと

・商品価格  ・数量    ・納期(発送時期)
・決済通貨  ・決済方法  ・貿易条件(インコタームズ)

決済通貨、決済方法、貿易条件(インコタームズ)は、貿易取引ならではの内容。では、貿易取引では、なぜこれらの内容を取り決めておく必要があるのでしょうか。以下で、詳しく解説していきます。

決済通貨

貿易取引は、異なる国の企業同士における売買取引のため、それぞれの国で使われている通貨が異なるケースがあります。そのため、輸出入者は、「商品代金の支払い・受け取り(決済)では、どちらの国の通貨を使用するのか」「米ドルなど第三国の通貨を使用するのか」について、取り決めておく必要があります。

決済方法

決済方法には、大きく分けて「電信送金決済」と「荷為替手形決済」の2種類があります。

電信送金決済

国内の銀行口座振込のように商品代金を支払い、受け取る決済方法です。

荷為替手形決済

取引銀行を通して輸出者が「貿易書類と為替手形(荷為替手形)」を送り、輸入者が書類と引き替えに商品代金を支払う決済方法で、以下の種類があります。

信用状付荷為替手形決済(L/C決済)

信用状付荷為替手形決済は、「輸入者の取引銀行が、輸出者に対して支払いを保証する」という点が特徴の決済方法です。

輸出入者が売買契約を交わしたあと、輸入者は売買契約書に沿った信用状(L/C)開設依頼書を銀行に提出し、銀行は信用状を発行。輸出者はその信用状に記載された内容通りに輸出を実行し、荷為替手形を銀行に提出すれば、商品代金を受け取ることができます。

信用状なし荷為替手形決済(D/P決済、D/A決済)

L/C決済とは異なり銀行の支払い保証はありませんが、輸出者が銀行を通して「貿易書類と荷為替手形」を輸入者に送り、決済を行う方法です。

D/P決済は輸入者が書類受取と同時に代金支払いを求められる決済、D/A決済は為替手形の期限内での支払いを求められる決済となります。

※関連記事:『貿易取引における商品代金の決済についてまとめてみました

貿易条件(Incoterms/インコタームズ)

貿易取引では、貨物を輸送する際、輸出入者のどちらがどの地点までの輸送費を負担するのか、また、仮に事故が起こった場合にはどちらがどの地点までのリスクを負担するのか、という問題が常につきまといます。

インコタームズ(Incoterms)とは、国際商業会議所(ICC)が貿易取引時の費用負担、危険負担について定めた国際的なルールで、通常の貿易取引はこのルールに則って行われます。最新版のIncoterms 2010には11条件あり、輸出入者はその中からどの条件にするか、取り決めを行います。

なお、2019年9月に国際商業会議所から、最新版の国際規則であるIncoterms 2020(英語版)が発表されました。貿易実務者の方は、Incoterms 2020の改定事項について、2020年1月の発効前にしっかりと確認しておいてくださいね。

国際商業会議所 日本委員会: ICC JAPAN 

 

※関連記事:『商品価格とインコタームズの関係~貿易取引の商品価格はどのように決まる? ~』『インコタームズ/費用負担と危険負担の範囲をまとめてみました

また、実際の売買契約では、先ほどご紹介した6項目以外にも、商品の規格や品質条件、輸送手段(海上輸送・航空輸送)、梱包方法など、細かい取り決めを行うケースもあります。

その場合、それぞれの内容について交渉し、売買契約書にもその取り決め内容を明記します。売買契約書は、正(Original)と副(Duplicate)をそれぞれ二部(正・副各一部)用意し、両者の署名の上、一部ずつ保管します。

※関連記事:『売買契約書の「記載事項」についてまとめてみました

③輸出者側の輸送手続きと通関

③輸出者側の輸送手続きと通関

輸出者は商品の輸出予定日が決まったら、以下の貿易書類を作成してフォワーダーに輸送の手続きおよび、輸出通関の手続き代行を依頼します。

輸出者が輸送・通関のために作成する貿易書類

インボイス(Invoice)
パッキングリスト(Packing List)
船積依頼書(Shipping Instruction)

*その他、商材の原産国証明書、商品の検査書など、取引相手や取引する商品に応じた必要書類を作成、手配することもあります。

※関連記事:『輸出者の仕事の流れを把握しよう!貿易実務は先読みするとラクになる

これらの書類を作成してフォワーダーに送ると、その書類をもとにフォワーダーは輸送手続き、税関への輸出申告など必要な手続きを行います。フォワーダーは、輸送・通関手続きに関する専門家。輸出者は、必要書類を作成したあとは基本的にフォワーダーにおまかせし、輸出貨物もフォワーダーの指示にしたがって、指定地まで輸送します。

その後、税関の輸出許可が下りたら、海上輸送の場合はB/L(Bill of Lading/船荷証券)を、航空輸送の場合はAir Waybill(エアウェイビル/航空貨物運送状)を輸出者側が受け取り、「B/LまたはAir Waybill」と「インボイス」、「パッキングリスト」の3つの書類をワンセットにして輸入者へ送ります。

輸出者が輸入者に渡さなければならない貿易書類

・海上輸送の場合はB/L、航空輸送の場合はAir Waybill
インボイス(Invoice)
パッキングリスト(Packing List)
為替手形(Bill of Exchange) *信用状決済(L/C決済)、D/A決済、D/P決済の場合

*その他、商材の原産国証明書、商品の検査書など、輸入者に提出が求められている書類を作成、または手配して送ることもあります。

※関連記事:『パッキングリストに記載しておくべきことは? 』『貿易事務が船積み・通関手続き依頼の前にしていること』『フォワーダーが船積み手続きでしていることとは?

④輸入国での通関手続き・貨物の引き取り

輸入者は、貿易書類(B/LまたはAir Waybill、インボイス、パッキングリスト)を輸出者から受け取ったら、書類の記載内容を確認し、フォワーダーに輸入通関、貨物引取りの代行を依頼します。そして、輸入許可が下りた後に貨物を引き取ります。

なお、海上輸送の場合は、船会社から貨物到着案内(アライバルノーティス/Arrival Notice)を受け取ったら、その書類もフォワーダーに渡します。

輸入者が通関・貨物引き取りのためにフォワーダーに渡す書類

・海上輸送の場合はB/L、航空輸送の場合はAir Waybill
インボイス(Invoice)
パッキングリスト(Packing List)
貨物到着案内(Arrival Notice) *海上輸送の場合
*関税を免税または減免するために、原産地証明書が必要な場合は併せて提出します。

※関連記事:『輸入者の仕事の流れを把握しよう!貿易実務は先読みするとラクになる』『FCL貨物の流れを理解しよう』『LCL貨物の流れを理解しよう』『在来船貨物の流れを理解しよう

⑤商品代金決済

商品代金決済のタイミングは、決済方法・条件によって異なります。ただし、「貨物が出荷されていないのに支払いを行う」というケースはほぼなく、「④輸入国での通関手続き・貨物の引き取り」と同時期(または貨物到着前)に行われることが一般的です。

というのも、「信用状決済(L/C決済)」の場合は、銀行を通して(貨物の引き取りに必要な)貿易書類と(商品代金請求の)為替手形が届くため、商品代金を支払わずに書類を受け取ることができないという仕組みになっています。

また、直接口座に金額を振り込む「電信送金決済」でも、通常は“B/L発行日から15日後払い”“輸入者がB/L受取後、1週間以内に支払い”など、船荷証券(B/L)の発行や受取を起点に、支払日が設定されるケースがほとんどです。B/Lが起点なのは、B/Lが「貨物の受取証」となるため。輸入者にB/Lが渡った時点で、貨物の所有権が輸出者から輸入者に移行します。

よく利用される商品代金決済の種類と支払時期

信用状決済(L/C決済)

輸入地銀行に届いた輸出者の貿易書類と引き換えに支払う。

電信送金決済

輸出入者とのあいだで支払い時期を取り決める。
*通常はB/Lの発行日または受取日を基準にして、支払い期間が決められる。一般的に輸入者が荷物を受け取る時期と重なることが多い

D/P決済

輸入地銀行に届いた輸出者の貿易書類と引き換えに支払う。

D/A決済

輸入地銀行に届いた輸出者の貿易書類を受け取り後○日以内に支払う。
*○日以内に支払うかは、売買契約する前に輸出者と輸入者のあいだで取り決める

※関連記事:『貿易取引における商品代金の決済についてまとめてみました』『信用状(L/C)取引における輸出入者と銀行の関係を理解しよう』『D/P、D/A決済の仕組みを理解しよう

貿易書類の理解が貿易取引の流れ・仕組みの理解につながります!

貿易の流れに沿って輸出入者の業務のポイントをご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?

貿易取引の仕組みや流れを理解するためには、貿易書類の役割を理解することが不可欠ですし、理解が深まれば、「なぜ、ここでこの書類を作成し、提出しなければならないのか?」ということがよくわかってきます。

貿易実務の基本的な知識として、ぜひ覚えておきましょう。また、貿易事務初心者の方は、今回ご紹介した関連記事も併せてチェックしてみてくださいね。

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参考サイト

貿易の情報を網羅する、新サービス 貨物追跡から本船動静まで
貿易実務のプラットフォーム
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