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2016/10/03

売買契約書の「記載事項」についてまとめてみました

著者: パソナ キャリアコンサルタント(貿易担当)

売買契約書の「記載事項」についてまとめてみました

貿易取引において、売買契約書は非常に重要なもので、記載された内容も全て大切な内容ばかりです。今回は、記載事項に書かれている内容について詳しく解説します。

目次
売買契約は“書面”で交わされる
売買契約書に表面に記載される「タイプ条項」
売買契約書の裏面に記載される「印刷条項」

売買契約は“書面”で交わされる

貿易取引における売買契約は、通常“取引条件を記載した書面”によって輸出者(売主)と輸入者(買主)の間で交わされます。

契約書は双方の合意内容をもとに作成されますが、書式には決まりがありません。例えば、輸入者の注文書(Purchase Order)、輸出者の注文請書(Order Acknowledgement)や販売契約書(Sales Contract)などの契約書で交わされるケースがあれば、基本契約書と注文書(または販売契約書)の2つの契約書*を用意するケースもあるなど、さまざまなケースが見られます。
* 代理店契約、販売店契約などの継続的取引では、取り決め事項をすべて文書にした基本的な売買取引契約書を交わし、さらに受発注については、基本契約書にもとづいた簡易な契約書(注文書/注文請書)で行うのが一般的です。

ただ、いずれの場合も、双方が署名しなければ売買契約書にはなりません。もしどちらか一方の署名しかなければ、注文書は注文書のままですし、注文請書なら注文請書のままになりますので、その点はご注意ください。

貿易実務の現場では、双方ともに安心感があるなどの理由で継続的な取引を行っている際、一方だけのサインで取引が行われることがあります。

しかし万一のために、自分たちが作成した書類には相手に署名(サインバック)してもらい、相手の書類で進める場合には、書類の内容を確認し、署名をしたあと返送するようにしましょう。

※関連記事:「貿易取引における『代理店契約』『販売店契約』のこと

売買契約書に表面に記載される「タイプ条項」

では、売買契約書(注文書/注文請書/販売契約書)の表面に記載される内容、取引条件について見ていきましょう。

一般的な売買契約書の記載事項
① 契約書番号(No.)
② 日付(Date)
③ 商品名および品質(Commodity & Quality)
④ 数量(Quantity)
⑤ 単価(Unit Price)
⑥ 総額(Amount)
インコタームズ(Incoterms)
⑧ 船積港(Port of Shipment)
⑨ 揚港(Port of Destination) *必要に応じて最終仕向地(Final Destination)
⑩ 船積時期、または納期(Time of Shipment または Delivery Time)
⑪ 梱包、荷印(Packing、Shipping Mark)
⑫ 支払条件(Payment Terms)
⑬ 保険(Insurance)
⑭ その他特別条件(Special Terms and Conditions)

記載事項はすべて大切な内容ですが、取引条件で決めなければいけないのは、「インコタームズ」と「支払条件(どのようなやり方、どのタイミングで支払うのか)」です。

また、インコタームズをCIPやDATなど(海上貨物)保険込みの契約を交わすときには、保険の種類も記載しておく必要があります。

さらに、商品の種類によっては、品質条件、数量条件、貨物の受渡し条件などの条件を、⑭や備考欄に記載する必要があります。

ちなみに、ここで挙げた記載条項は売買契約の主要項目であり、「タイプ条項」と言われます(正確な語源はわかりませんが、取引ごとに取り決めた取引条件や内容を“タイプ打ち”することから、タイプ条項と呼ぶのでしょう)。

売買契約書の裏面に記載される「印刷条項」

ここまでご紹介した記載事項だけでも売買契約は成立するのですが、売買契約書の裏面(もしくは2枚目)に記載事項についての注意事項や、取引条件の解釈など、どの取引でも共通して適用される条件が印刷されているケースがあります。

その内容は、どの取引でも共通する条件であることから「一般取引条件(General Terms and Condition)」と言われ、「印刷条項」とも呼ばれます。

「印刷条項(一般取引条件)」の主要記載事項
① 追加費用(政府などによる税金や輸送料アップの費用ついて)
② 支払条件(輸入者の支払不履行の対処について)
③ 船積条件(輸出者の船積時期の厳守や船積遅延の対処など)
④ 保険(保険金額「原則CIF110%」やPL保険について)
⑤ 保証(輸出者の責任、輸入者の権利など)
⑥ クレーム(免責事項について)
⑦ 特許、商標等(輸出者の商標や特許について)
⑧ 不可抗力(予測や制御のできない外的事由による契約不履行の免責)
⑨ 契約不履行(輸出者の契約不履行に対する輸入者の対抗手段)
⑩ 譲渡禁止(同意なき契約の権利、義務の譲渡禁止)
⑪ 権利不放棄(クレームや権利は文書承認がない限り放棄なし)
⑫ 仲裁(紛争が起こった場合の仲裁について)
⑬ 準拠法(インコタームズなど準拠する法律や規則について)

上記の「印刷条項」は、本来売買契約を結ぶ前に合意されるべきなのですが、実際にひとつひとつを取り上げていると契約交渉が長引いてしまうため、貿易取引の現場において話し合われることは多くありません。

そのため、先にご紹介した「タイプ条項」と矛盾がある場合には、「タイプ条項」が優先されます。

ただ「印刷条項」については、一般的に作成した側にとって有利に作成されているものなので、受け取る側は注意が必要です。しっかりと確認しておきましょう。

 

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参考サイト

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