貿易取引で大切な「品質条件」のこと

貿易取引において(特に輸入者にとって)商品の品質はとても重要ですが、品質についての考え方や意識は、国民性や会社によって大きく異なります。今回は、貿易取引において「商品の品質をどのように決めているのか?」などのポイントについてご紹介します。

品質は「何を基準に」決めるのか?

冒頭でも少しお話したように、品質についての考え方や意識は、国や会社によって異なります。その違いによるリスクをなるべく小さくするため、売主(輸出者)と買主(輸入者)の双方が合意できる「品質の基準」を決め、契約書にも記載する必要があります。

つまり、契約書に記載することでお互いに確認し合うことになり、後々のトラブルを防ぐことにつながるのです。

ちなみに、商品の品質についての条件を「品質条件」と言います。では貿易で用いられる品質条件について、代表的なものをご紹介しましょう。

見本売買(Sale by Sample)

もっとも一般的な品質条件で「サンプル通りの品質で製品を納める」というものです。繊維製品やインテリア用品、雑貨類など、さまざまな商品の条件として使用されています。

ちなみに、買主(輸入者)は、契約書に「As per the samples submitted (提出されたサンプル通り)」などと記載することで、売主(輸出者)は見本と同じ品質の製品を提供する義務を負い、サンプル通りでなかった場合は契約違反になります。

標準品売買(Sale by Standard)

農作物や水産物、鉱業品、木製品のように、品質が自然に左右される商品などでは、「標準的な品質」を当事者双方で条件を取り決めて取引を行います。

仕様書売買(Sale by Specification)

機械類などの取引に使われる条件で、「設計図や仕様書」によって品質を決める方法です。

規格売買(Sale by Grade or Type)

ISOなどの国際規格によって品質を決める方法。国際規格が確立されている工業製品などで用いられています。時には日本のJIS規格のように、国ごとで作成されている規格を用いて取引する場合もあります。

銘柄売買(Sale by Trade Mark or Brand)

商標や銘柄(ブランド)を品質の基準とするもので、世界的によく知られた有名ブランド名などの取引などで可能な条件です。

品質は「いつ」決定する?

品質条件を決めたら、次はその品質を「いつの時点で設定するか」を決める必要があります。というのも農作物や水産物のように、出荷時に十分な品質を保っていても、輸送中に品質に変化が起こる商品もあるからです。

そこで、「契約した品質を満たしている」と判断するのはどの時点のことなのか、を条件に盛り込む必要があります。品質の決定時点には2種類挙げられます。

船積品質条件(Shipped Quality Terms)

品質の決定時点を、輸出国の船積み時点とする取引条件。貿易条件(インコタームズ)がFCA/FOBやCPT/CFR、CIP/CIFの際にも、船積品質条件が適用されます。というのも、これらの貿易条件では、輸出者の責任が本船渡しの時点で終了するためです。

※関連記事:『【貿易】インコタームズとは?費用負担と危険負担の範囲を一覧で解説

揚地品質条件(Landed Quality Terms)

品質の決定時点を、輸入国での荷揚(荷卸し)時点とする取引条件です。貿易条件がDDPやDAT、DAPは、輸出者が輸入地までの輸送費込みで責任を持つため、揚地品質条件が適用されます。

品質の決定時点は貿易条件(インコタームズ)と関連しているため、貿易取引でよく使用されるFCA/FOBやCIF/CIPでは船積品質条件になってしまいます。そこで、輸入者として契約を交わす際で、商品の品質劣化に不安があれば、たとえFOB/FCAやCIF/CIPでも、揚地品質条件にできないか交渉する姿勢も大切です。

 

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参考サイト

 

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