関税にも種類があることを知っていますか?

もし、みなさんが「関税って何?」と質問されたらどう答えますか? 海外と貿易取引をする際に発生する関税ですので、貿易事務ならきちんと答えられるようにしておきたいですよね。そこで今回は、関税に関する基礎知識とさまざまな種類の関税について解説します。

目次
関税って、そもそも何?
関税にも種類と優先順位がある
上記以外の関税が適用されることもある!? 特殊関税制度について

関税って、そもそも何?

貿易事務に携わる方なら、仕事を通じて“輸入品には関税がかかる”ということを詳しく知っている方も多いでしょう。もし冒頭のような質問を受け関税について答えるとしたら、以下の3点が挙げられるのではないでしょうか。

①輸入品に課される税金
②輸入者が支払う(納税)義務がある
③国内産業を保護するために、物品ごとに税率が異なる

どの内容も言わずと知れた内容ですが、③について少し補足します。

国内産業を保護するために関税を課しているのは、日本だけでなくどの国も同じなのですが、日本において関税が高いと名高いのが「お米」です。

これは日本政府が生産者を守るために行っていることで、アメリカなどの広大な土地で育てられているお米は非常に価格が安いため、その競争力を低下させるために高い関税が課されていると言われています。

このように、関税には低価格の輸入品に関税を課すことで国産品の価格とのバランスをとるという、国の政策も大きく関わっているという側面があります。

関税にも種類と優先順位がある

ちなみに、関税の税率(関税率/Tariff Rate)にも種類があり、関税率には国が定めた「国定税率」と、WTO(世界貿易機関)やFTA、EPAなど経済連携協定を結んだ国とのあいだで定められた「協定税率」があります。

このうち国定税率には、「基本税率(General)」「暫定税率(Temporary)」「特恵税率(GSP)」「特別特恵税率(LDC)」という税率が設定されています。

また、輸入品に課せられる関税率をまとめた「輸入統計品目表/関税実行率表」には、税番(統計品目番号)/HSコードとともに、関税の税率が掲載されています。税率も各項目で○%○%と記載されています。

※参考:2020年1月の関税実行率表|税関

では、それぞれの税率を簡単にご紹介しましょう。

基本税率

日本の関税定率法に定められた基本的な税率。すべての輸入品目に定められている。

暫定税率

一定期間に輸入される特定品目を対象とした暫定的な税率。

特恵税率/特別特恵税率

開発途上国又は地域を原産地とする特定の輸入品について適用される税率で、 一般の関税率よりも低い税率が適用されます。また、後発開発途上国からの輸入に関しては、ほぼすべての品目に対して無税が適用されます(特別特恵関税と言います)。
*特恵税率は、開発途上国又は地域の輸出所得の増大、工業化の促進を図り、経済発展を支援しようとするために定められたものです

協定税率(General Tariff Rate)

WTO(世界貿易機関)の協定や、FTAやEPAなどで2国間協定を結んだ国からの輸入に適用される税率。

関税の優先順位

これら4つの関税率が定められていますが、適用される優先順位は決まっていて、

①特恵税率>②協定税率>③暫定税率>④基本税率

の順になっています。つまり、その輸入品に特恵税率が設定されている場合には、①特恵税率 が適用され、逆に①②③もなければ、④基本税率が適用されるという仕組みになっています。

上記以外の関税が適用されることもある!? 特殊関税制度について

通常の輸入品は、上記4つのいずれかの関税がかけられるのですが、不公正な貿易取引があった場合、急激な輸入増加により一般税率では国内にある同一産業を保護することができない場合など、特別な事情が発生したときには、政府が割増した税率を課すことを認めた「特殊関税制度」が課されます。

長年貿易業務の仕事をしていても、特殊関税が課された経験がある方はそういないかもしれませんが、今回はあえて関税をクローズアップしてお話しているので、特殊関税についてもご紹介しましょう。

ちなみに特殊関税制度は、日本だけでなく海外の多くの国でも国内産業を保護するための制度として採用されていて、国際協定(WTO協定)で発動の要件や手続きが定められています。

不当廉売関税(ダンピング防止税)

市場において、健全な競争を阻害するほど正常価格より著しく安い価格で販売することを不当廉売(ダンピング)と言います。政府は国内産業を保護するため、不当に安い価格で販売された輸入貨物には割増関税を課すことができます。

緊急関税

輸入が急激に増加した物品に対して、割り増しした税率を課すことを緊急関税と言います。この関税もまた、同一商品、競合商品を生産する国内事業者を保護するために、緊急措置として認められています。

相殺関税

輸出国で補助金などを受けている輸入貨物に対して、補助金額の範囲で課す割増関税。国内産業保護のために行使することが認められています。

報復関税

ある国が日本の輸出貨物などに対して、差別的、不利益な取り扱いをしている時、その国からの輸入貨物に対して課す割増関税です。

どの関税も国が国内産業を保護するために課している税金、という点は同じ

「関税ってこんなに種類があるの!?」と驚かれた方も多いかと思います。貿易実務で関税の名前を覚える必要はありませんが、関税は国が国内産業を保護するために課している税金で、関税には種類があり、輸入品によって適用率が違う、ということは覚えておいてくださいね。

 

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参考サイト

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