「信用状(L/C)」の役割とは?分かりやすく解説!
貿易取引に欠かせない「信用状」は、英語で「Letter of Credit」と言い、「L/C(エルシー)」と略されます。貿易実務のお仕事をしている方にはお馴染みの用語ですが、「これから貿易に関わるお仕事をしたい」と思っている方の中には、初めて知ったという方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、「信用状(L/C)」の役割について分かりやすくご紹介します。
貿易取引のリスクを回避するために利用される「信用状(L/C)」
まず、前提となる「貿易取引の支払いに関するリスク」について説明します。
貿易取引は、言葉も商習慣も異なる国同士で行われる売買ですから、国内取引とは違ったさまざまなリスクが存在します。
たとえば、輸送に時間がかかるので、商品の受け取りと代金の支払いを同時に行うことが難しい(時間差がある)、というのもリスクのひとつです。
前払いの場合は、輸入者が商品入手前に代金を支払うため、「商品を入手できないリスク」を負うことになり、後払いの場合は、輸出者が代金回収前に商品を出荷することになるため、「代金を回収できないリスク」を負うことになります。つまり、どちらにしても一方が、資金面で負担を負うことになるのです。
さらに、はじめての取引の場合は、相手との信頼関係を築けていないので、この不安(リスク)はもっと大きなものになります。
このようなリスクを回避するために利用されるのが「信用状(L/C)」です。
「信用状(L/C)」は、輸入者の取引銀行が発行するものなのですが、正確に説明すると、
①輸入者の取引銀行(信用状発行銀行)が、
②商品代金の受取人である輸出者に対して、
③輸出者が信用状条件通りの書類を呈示することを条件に、
④輸入者に代わって、
⑤代金の支払いを確約した保証状。
つまり、銀行が輸入者の代わりに商品代金の支払いを保証することで、輸入者の「商品入手のリスク」や輸出者の「代金回収のリスク」を回避することができるため、輸出者・輸入者どちらにもメリットがあります。「信用状(L/C)」は、商品の売買取引が円滑に進められるよう工夫された仕組みなのです。
※「商品入手のリスク」は、輸出者の信用状条件通りの書類(具体的には、船積みしたことを証明する船荷証券)の提出(③)で回避し、「代金回収のリスク」は、銀行が輸入者の支払いを確約すること(⑤)で回避します。
「輸出者が商品を輸入者に送り、その輸入者がその輸出者にその代金を払う」という、当たり前の取引を確実に行う、大きな役割を「信用状(L/C)」は担っているのです。