貿易事務ってどんなイメージ?仕事内容や現場の実情、待遇についてご紹介!
みなさんは貿易事務のお仕事にどんなイメージをお持ちですか?
「語学堪能な方が英文書類を扱い、貿易取引の手続きをテキパキと進めていく」「国際色豊かな華やかな職場が多い」「専門スキルが必要なため、一般事務より待遇が良い」といったイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。ただ、実際に働いたとき、そうしたイメージとのギャップがないかも気になりますよね。
そこで今回は、一般的な貿易事務のイメージと比較した「貿易実務の現場の実情」を詳しくご紹介します。
- 目次
- 貿易事務は語学堪能な人が多い?
- 貿易事務は超多忙?
- 貿易事務はインターナショナルで華やかなお仕事?
- 貿易事務は高待遇?
- 貿易事務についてよくあるご質問
- 「私にもできるかも!」と思ったら、ぜひチャレンジを
貿易事務は語学堪能な人が多い?
貿易事務は、海外から商品を輸入したり、国内から海外へ商品を輸出したりする際に必要な事務手続きを行うお仕事。貿易関連書類の作成、内容チェック、英語でのメールのやりとり(コレポン)などが主な業務になります。
貿易取引に関わるお仕事であるため、「貿易事務の担当者は語学堪能で、海外担当者と英会話をする機会も多い」というイメージの方もいるかもしれませんが、実はそんなことはありません。
貿易事務では読み書きのスキルが重視される
貿易事務では、英会話のコミュニケーションスキルよりも、英語の「読み書きのスキル」がより重視される傾向にあります。
それは、海外とのやりとりでは、時差が発生することと、後から履歴を確認できるよう「伝達事項をメールや書類に書き残しておく」という商慣習があるからです。
そのため、取引先とやりとりは、基本的にメールで行うのが主流。書類作成や確認の作業もあるため、話す力よりも読み書きの力が重視されるのです。
英語力の目安って?
とはいえ、国際間の輸出入取引に携わるお仕事である以上、ある程度の「英語力」は求められます。一般的にTOEIC(R)600点程度のスコアを持っていれば、未経験から貿易事務を目指す際のアピールになると言われています。
ただし、600点以下のスコアでもチェレンジ可能なお仕事もあれば、よりハイレベルな英語力を求められるお仕事もあり、会社や所属部署によって求められる英語力はさまざまです。
転職時には、求人情報の「求められるスキル」をしっかり確認して、応募すると良いでしょう。
※関連記事:『貿易事務に転職するなら、どの程度の英語レベルが必要ですか?』『英語力を仕事に活かす!貿易事務職に就くなら、TOEIC(R)は何点くらい必要?』
貿易事務は超多忙?
貿易取引では、輸送の流れや手続きの書類、専門用語など、国内取引とは異なる点が多くあります。
そんな貿易取引の全体の流れを理解し、書類作成やスケジュール調整を行う貿易事務は、業務範囲が広く、慣れるまでは業務に追われてしまうこともあるでしょう。
ただし、ひとくちに貿易事務のお仕事といっても、業界や会社によってお仕事内容や忙しさは異なるようです。
商社・メーカー
中小規模の商社やメーカーでは、少人数で貿易関連の幅広い業務を担当する傾向にあり、繁忙期や業務が重なった時期は、多忙で残業の多い会社もあるようです。
一方で、大手の総合商社やメーカーは、貿易関連の業務が細分化されていて「残業はほとんど発生しない」という会社もあります。
フォワーダー
フォワーダーの貿易事務の場合、コンテナヤードへ貨物搬入を行う締め日である「カット日」に合わせて、多くの事務処理を行うことになります。そのため、カット日前は、業務が集中する傾向にあります。
また、申請が増えるクリスマス前や長期休暇前後(年末年始、旧正月、ゴールデンウイークの前後)は、忙しくなること可能性が高いのも特徴のひとつです。
このように業界や企業規模によっても、業務範囲や忙しい時期が異なる貿易事務職ですが、共通しているのは、商品の納期や書類申請期限などの「締め切りがある」ということ。
もちろんどんなお仕事にも締め切りはありますが、貿易事務の場合、手続きの状況次第で、貨物の輸出入が滞ってしまうため、期限を守って計画的に業務を進めることが求められます。
期限に追われて忙しくなっている場合は、業務完了までの段取りを決め、しっかりとしたスケジュール管理を行うことで解決できる場合もあります。
また、貿易事務として働き始めたばかりの方は、慣れない取引の流れや専門用語の理解に時間がかかっている可能性も。そのようなときは、貿易知識や英語の読み書きの勉強といったスキルアップに励むと良いでしょう。
スキルや経験を積むことで、スムーズな事務処理や業務のスピードアップが実現できるはずです。
※関連記事:『多忙?覚えることが多い?貿易事務職が抱えるお悩みとその解決策について』
貿易事務はインターナショナルで華やかなお仕事?
海外企業とのやりとりを行うことが多い貿易事務は「インターナショナルで華やかな職種」というイメージがあるようです。
実際に貿易事務職は、英語が得意な方や海外の文化に興味がある方が多い傾向にありますが、実態はどうなのでしょうか。
海外とのやりとりの頻度は、会社や部署によってまちまち
海外企業との取引を行うことが多い貿易事務ですが、間接的に関わることはあっても、直接やりとりを行うかどうかは会社や部署によっても異なるようです。
実務では、英語を使った海外とのやりとりよりも、書類の作成・確認・申請、各社のスケジュール調整・管理などが、業務の大半を占めることも。
大手商社など、業務が細分化されている会社では、「書類に関わる事務業務がほとんど」というケースもあるようです。
語学力以外のコミュニケーション能力や調整力も重要
海外企業と自社の取引を円滑に進める「仲介役」を担う貿易事務ですが、重要なのは海外とのやりとりだけではありません。
営業や物流担当、フォワーダーなど、貿易取引に携わる社内外の関係者とのやりとりも多いため、日本語でのコミュニケーションや調整力も重要になってきます。
業務のなかで商習慣の違いや異文化への理解が深まる
海外とのやりとりの頻度は現場によってさまざまですが、国際ビジネスに携わるなかで、各国の商習慣の違いがわかってくるはず。
各国の違いを知ることで、国際的な視野が広がり、異文化についての理解も深まるでしょう。
貿易事務は高待遇?
ここまでご紹介してきた通り、貿易取引に関する専門知識や一定の英語力が求められる貿易事務職ですが、他の職業にはない知識・スキルが必要なお仕事だからこそ、一般的な事務職よりも待遇が良いという特徴もあります。
ここでは、業務レベル別に貿易事務の時給例を見ていきましょう。
首都圏(東京・埼玉・千葉・神奈川)勤務、パソナの派遣先企業の時給例 | |
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レベル | 平均時給 |
【STEP1】貿易書類の作成業務レベル | 1,700円~ |
【STEP2】一連の貿易手続きを担当するレベル | 1,760円~ |
【STEP3】非定型的な業務も行うレベル | 1,890円~ |
※2018年6月時点・参考時給
【STEP1】貿易書類の作成業務レベル
貿易の書類作成のルール、用語を理解して正確に書類を作成します。
【STEP2】一連の貿易手続きを担当するレベル
貿易取引に関する一連の手続きや関連業務を担当します。コレポンをはじめとした関係者とのやりとりも、主体的に行います。
【STEP3】非定型的な業務も行うレベル
STEP2の貿易取引に関する一連業務に加え、イレギュラー対応など判断を要する業務も担当します。
※参考元:株式会社パソナ『貿易を学ぶ』
上記の時給例の通り、専門職種である貿易事務は、経験を積んで業務レベルを高めていくことにより、着実な給料アップが実現できるお仕事。
まずは、貿易事務のアシスタント業務や定型の書類作成業務からスタートして、段階的なステップアップを目指してみてくださいね。
※関連記事:『貿易事務職の給料・待遇について、実際のところが知りたい!』
貿易事務についてよくあるご質問
ここでは、まとめとして、貿易事務のお仕事についてよくあるご質問をQ&A形式でご紹介します。
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Q. 貿易事務はどのような仕事内容ですか?
A. 貿易事務は、海外との貿易(輸出・輸入)に関わる商社やメーカーなどの企業で事務職を担います。仕事内容は就業先によっても異なりますが、具体的には、商品の受発注や納期・スケジュールの確認、船便などの輸送手段の予約や手配、通関書類の作成・チェック、代金支払いの諸手続や利益計算などがあります。
一般的に、書類を作成する輸出業務の方が、書類を確認する輸入業務よりも難易度が高いと言われています。
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Q. 貿易事務が未経験の場合、どのくらいの英語力が求められますか?
A. 英語を使った実務経験がない場合は、一般的にTOEIC(R)600点程度のスコアを持っていれば、未経験から貿易事務を目指す際のアピールになると言われています。
ただし、600点以下のスコアでもチェレンジ可能なお仕事もあれば、よりハイレベルな英語力を求められるお仕事もあり、就業先によって求められる英語力はさまざまです。なお、貿易事務では、英会話のコミュニケーションスキルよりも、英語の「読み書きのスキル」がより重視される傾向にあります。
それは、海外とのやりとりでは、「伝達事項をメールや書類に書き残しておく」という商慣習があるからです。
そのため、取引先とのやりとりは、基本的にメールで行うのが主流。書類作成や確認の作業もあるため、英語の読み書きのスキルを磨きましょう。 -
Q. 貿易事務で必要な資格はありますか?
A. 貿易事務になるために資格は必須ではありませんが、以下のような貿易関連の資格を取得すれば、貿易実務に関する知識を証明することができます。また、就職・転職活動の際には、企業へのアピールポイントとしても活用できるでしょう。貿易実務検定(R)
日本貿易実務検定協会が実施する検定試験で、貿易の現場でも広く認知されている検定です。試験問題は、貿易で使われる専門用語、輸出入取引の流れ、書類の役割についての内容が中心で、これらは現場でも必須の知識となります。A~C級の3つの級に分かれており、未経験の場合は、まずはC級取得を目指しましょう。通関士試験
貿易関連では唯一の国家資格で、難易度も高い資格です。試験は「通関業法」、「関税法等」、「通関実務」の3科目で構成されており、通関業務に特化した資格試験です。フォワーダーで通関士として働くためには必須の資格ですが、商社や貿易会社の貿易事務を目指す方にとっては、必須ではありません。 -
Q. 貿易事務で身につくスキルはどのようなものですか?
A. 貿易事務は書類作成や取引先との手続きといった定型業務を行いながら、各所とコミュニケーションや調整業務を行うため、高い事務処理能力を身につけることができるでしょう。
また、業務を通して、英語力や貿易関連の知識なども身につけることができます。 -
Q. 貿易事務と一般事務の違いはなんですか?
A. 一番の違いは、貿易事務は海外との輸出入に関する事務業務を行うということです。商社やメーカーなど海外と取引きがある企業などで就業し、英語力や貿易関連知識が求められるお仕事です。
一般事務は業界を問わず、PCを使ったデータ入力、資料作成、来客や電話・メール対応などを行います。 -
Q. 貿易事務の残業はどのくらいですか?
A. 貿易事務の残業時間は就業先や担当業務、時期によっても異なります。
一般的に、日本では年末年始に向けて輸入が増え、それに伴い貿易事務も忙しくなる傾向があります。中国との取引きでは旧正月前の1月終わりから2月の半ば、アメリカやヨーロッパとの取引きではクリスマスも繁忙期になる傾向があります。取引先に関わらず、月末や期末、年度末といった決算時期に残業が発生することもあります。もしあまり残業をしたくないという場合には、残業時間の条件でお仕事を選びやすい、派遣で働くという選択肢もあります。
「私にもできるかも!」と思ったら、ぜひチャレンジを
「英会話が苦手…」「あまりにも毎日忙しいのはちょっと…」と、今まで貿易事務への転職をためらっていた方も、今回ご紹介した貿易事務職の実情を知って、だんだんと興味が湧いてきたのではないでしょうか。「私にもできるかも!」と思ったなら、改めて検討してみてくださいね。
派遣のお仕事なら、担当する業務範囲や仕事内容、残業時間の目安があらかじめ決まっているので、自分のスキルや状況に合わせたお仕事を選ぶことも可能です。
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