貿易事務職は女性にとって働きやすい?将来性やキャリアアップについて

専門事務職として人気のある貿易事務。英語を使ったお仕事に興味がある方や、専門性を高めてキャリアアップしたい方にオススメの職種です。しかし、今後のキャリアを考えたとき、働く女性にとって「貿易事務が働きやすいのか」という点は気になるところではないでしょうか。
今回は、貿易事務というお仕事が女性にとって働きやすいのかについて、待遇面、転職・キャリアアップの可能性、キャリアチェンジの方向性など詳しくご紹介していきます。
- 目次
- 貿易取引に関する書類作成や、海外企業とのやりとりをするお仕事
- 貿易事務の「働き方」って?
- 引っ越し・産休産後のお仕事復帰にも強い!
- 貿易事務の待遇、身につくスキル、キャリアチェンジについて
- 派遣のお仕事なら「未経験可」の募集も!
- 貿易事務職は、女性にとって働きやすいお仕事です!
貿易取引に関する書類作成や、海外企業とのやりとりをするお仕事
貿易事務は一言でいうと、商品の輸出入(海外との取引)の際に必要な事務手続きを行うお仕事。具体的な業務としては、貿易取引で交わされる書類作成やその確認作業、英語によるメールでのやりとり(コレポン*)、輸送・通関手配などがあり、貿易取引に関するさまざまな知識が身につきます。
*コレポンとは、英語の「correspondence(コレスポンデンス)」の略で、貿易実務では「外国語(主に英語)を使って、海外の取引先と文書でやりとりすること」を指します。
貿易事務というと、商社やメーカーなど、取引における売主・買主側のお仕事を、思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
しかしそれ以外にも、国際物流のコーディネーターとして国際運送手配・通関業務を行うフォワーダー(通関業者・海貨業者)や、船会社、航空会社(または専門代理店)など、貿易取引に携わる会社にも貿易事務のお仕事があります。
そのため、一口に貿易事務のお仕事といっても、業界や会社、部署、担当するクライアントによって、仕事内容や業務量、求められる業務レベルは異なることがあります。
とはいえ、貿易特有の専門用語や取引の基本的な流れを把握する必要があるのは、どのお仕事でも同じ。その貿易知識や実務スキルこそが、貿易事務が「専門性の高いお仕事」といわれる理由なのです。
実際、貿易取引における「モノ(商品)・カネ(代金)・カミ(書類)」の流れは、国内取引と大きく異なる部分があり、未経験の方がその全体像を理解するのには相応の時間がかかります。
そのため、貿易事務は専門職種としてお給料も高めに設定されており、一般事務職の方がキャリアチェンジをはかる際、オススメの職種にも挙げられることも多いのです。
※関連記事:『貿易事務って未経験からでも転職可能?』
貿易事務の「働き方」って?
貿易事務のお仕事は、就業する企業や部署によってさまざまですが、平日の日中(7~8時間)勤務、土日祝日がお休みという勤務形態が一般的。
また、貿易取引は基本的な流れ(売買契約から商品の引渡し・引取りまでの流れ)が決まっているため、その事務手続きを行う貿易事務は、自身の業務スケジュールを把握しやすいという特徴があります。
自身のポジションによっては、自分で業務やスケジュール調整をしながら働くということも可能ですし、部署内に同じ業務をしている人が複数人いる会社では、お互いに助け合って業務を調整したり、休暇を取得したりしていることが多いようです。
もちろん、会社の規模や風土によって職場環境は異なるため、「貿易事務はこのような働き方をするもの」と一概にはいえませんが、会社が求めている業務を滞りなく行い、周りと協力しながらお仕事を進めれば、働きやすい環境づくりも可能になるでしょう。
※関連記事:『輸入者の仕事の流れを把握しよう!貿易実務は先読みするとラクになる』『輸出者の仕事の流れを把握しよう!貿易実務は先読みするとラクになる』
転居による転職や、産休産後のお仕事復帰にも強い!
貿易事務のお仕事は、実務経験が大きな強みになるため、専門性を高めながら、中長期的なキャリア形成ができる職種です。
例えば、貿易事務として取り扱う輸出入商品が変わったとしても、貿易取引の流れ*や求められる実務スキルは、さほど変わりありません。貿易実務の知識を身につけている方は、同じ職種に転職する際もアドバンテージになると言えるでしょう。
*ただし、取り扱う商品が食品や化学品など国内外の法律に規制が設けられているものは、貿易取引の流れの知識以外に専門知識を必要とされることがあります。
そのため、結婚・出産・子育てといったライフステージの節目で、女性が働き方を変えようとしたときにも、「貿易実務の経験者」というキャリアは役立ちます。
貿易事務の経験者は、特に即戦力として優遇される傾向にあるので、たとえ一度現場から離れたとしても、お仕事復帰しやすいのが特徴。
例えば、子どもが小さいうちは、派遣で「残業が少ないお仕事」「通勤時間が短いお仕事」などの条件を重視して働き、時間に余裕ができたら、就業時間を延ばし、よりキャリアアップを目指せる環境で働くという方法もあります。
※関連記事:『子育てをしながら貿易事務のお仕事に就くことは可能?』
貿易事務の待遇、身につくスキル、キャリアチェンジについて
ここまで、貿易事務のお仕事内容や働きやすさについてご説明してきましたが、ここからは貿易事務職の待遇や身につくスキル、キャリアパスについても具体的にご紹介していきましょう。貿易事務のお仕事に興味のある方は、ぜひお仕事選びの参考にしてみてくださいね。
待遇
貿易取引に関する専門知識や英語力を求められるため、一般的な事務職に比べると採用のハードルは高めですが、他の事務職と比べてお給料が高く、好待遇が期待できます。
なお、待遇は業務レベルにも左右されるのが特徴です。以下で、業務レベルごとの貿易事務の時給例(東京・埼玉・千葉・神奈川勤務のパソナの派遣時給*)をご紹介しますので、参考にしてみてくださいね。
パソナの貿易事務の時給例
・貿易書類作成業務レベル:時給1,700円~
・貿易取引全体を担当するレベル:時給1,760円~
・非定型的な業務も行うレベル:時給1,890円~
*2018年6月時点、首都圏(東京・埼玉・千葉・神奈川)勤務の場合の参考時給
※関連記事:『貿易事務職の給料・待遇について、実際のところが知りたい!』
身につくスキル
コミュニケーションスキル
貿易事務は、社内や取引先などとの間に立って、業務を進めるお仕事。そのため、相手の状況を把握しながら、適切なやりとりを行うコミュニケーション能力が磨かれるでしょう。
英語力
貿易事務では、ある程度の英語スキルも必要となりますが、基本的に「英語の読み書き」がメイン。取引先と英文メールを交わしたり、(売買契約書など)英語で書かれた書類を作成・確認したりすることが多いため、英文の読解やライティングスキルが身につきます。
タイムマネジメントスキル
タイムマネジメントスキルとは、「時間管理」や「段取り」に関するスキルのこと。時間厳守が鉄則である貿易取引の現場に身を置くことで、常に期限を意識しながら段取りよく業務を進めるスキルがしっかりと身につくでしょう。
調整力
貿易事務は、社内外の担当者と連絡を取りあい、「誰が」「誰に」「何を」「いつ」「どこから」「どこに」という全体の流れを把握しつつ、業務を進行させるお仕事。そのため、異なる商習慣や時差のある海外の担当者をはじめ、あらゆる立場の人にとって無理のないスケジュールを組み立て、時間内に業務を執行させるスキルが磨かれます。
※関連記事:『貿易事務の経験を積むことで、どのようなキャリアパスが描ける?』
キャリアパス
分野に特化した貿易実務のエキスパート
特定の商品の知識を深めれば「〇〇系の商材に強い貿易事務」というエキスパートになることもできます。取り扱う商品によっては、食品衛生法や植物防疫法、薬事法、国内外の規制といった法律の知識の必要となるため、知識を深めることで、より専門性の高い貿易事務として活躍することができるでしょう。
通関士
通関や輸出入手続きの知識を極めて、その道のプロフェッショナルである国家資格「通関士」の資格をとり、通関士として働くことも可能です。また、「通関士」の資格を持っていると、海外の工場から直接製品を仕入れている「通関部署」のある企業や流通業などへの転職も有利になります。
バイヤーや営業など他職種へ転身
貿易事務の専門性を活かして、海外の商品を現地で仕入れるバイヤー職や営業職へキャリアチェンジなど、新たなキャリアを築くことも可能です。
※関連記事:『貿易事務を極めたい!実務スキルを伸ばしてキャリアアップするための3STEP』
派遣のお仕事なら「未経験可」の募集も!
ご紹介してきた通り、貿易事務は専門知識が必要なため、実務経験が重視されるお仕事でもあります。しかし、派遣の貿易事務募集のなかには、アシスタントからスタートできる「未経験可」のお仕事や、検定・資格取得を目指して勉強している方、ある程度の貿易知識のある方を歓迎しているお仕事もあります。
貿易事務未経験から、アシスタント業務で経験を積み、ゆくゆくは幅広い業務を任せてもらえる派遣先へ、そして将来的に正社員を目指すというキャリアの築き方もあります。
※関連記事:『貿易事務って未経験からでも転職可能?』『未経験から貿易事務へ転職するときに有利な資格って?』
貿易事務職は、女性にとって働きやすいお仕事です!
貿易事務のお仕事は、多様な働き方やキャリアアップ方法があるため、女性にとって働きやすい職種といえるでしょう。実際に、現場では多くの女性が働いていらっしゃいます。
未経験から貿易事務に就きたいと考えている方は、派遣という働き方も選択肢のひとつとして考え、アシスタント業務からのチャレンジを検討してみてくださいね。
そして、経験者の方は、「自分が貿易事務でどのようなキャリアパスを描きたいか」を整理し、その目標にたどり着けるためには何をすればいいか考え、そのスキルを積める現場へのチャレンジを目指すと良いでしょう。
日本はもともと貿易の盛んな国ですが、グローバル化に伴い、今後さらに多くの企業が貿易取引に関わるようになると予想されています。そのため、貿易事務のスキルは今後もさらに求められることでしょう。
貿易事務への転職を考えている方、長期的にキャリアを積みたいと考えている方は、今回ご紹介した内容を参考にしながら、自分に合った働き方を選んでみてくださいね。
参考サイト: