派遣社員が再就職手当を受給する条件や必要書類とは?申請方法を詳しく解説
「派遣社員も再就職手当は出るのかな?」と疑問に感じたことがある方もいると思います。
そこで今回は、再就職手当の受給に必要な条件や、ハローワークでの受給申請方法、必要書類について詳しく解説します。早期の再就職を目指す方法も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
※ご紹介した情報は、2023年3月時点での情報です。掲載した時点以降に変更される場合もあります。
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- 目次
- 失業給付・再就職手当とは
- 派遣社員が再就職手当を受給するための8つの要件
- 再就職手当で受け取れる金額はどのくらい?
- 再就職手当の申請方法
- 再就職手当が支給されない場合
- 早期の再就職を目指すには派遣登録がおススメ
- 再就職手当に関するQ&A
- 早期の再就職をサポートしてくれる「再就職手当」を活用しよう
失業給付・再就職手当とは
失業給付の目的・仕組み
一般的に失業給付の目的は、「労働者の生活及び雇用の安定を図ること」と「再就職の援助を行うこと」。つまり失業しても生活の心配をすることなく安心して求職活動ができるよう必要な給付を行う、という仕組みです。
雇用保険における失業給付(基本手当)受給の条件は大きく2つあり、すぐに働ける状態であること、離職の日より遡って2年間に雇用保険に1年以上加入していることです。
再就職手当とは
雇用保険制度のなかにはさまざまな給付がありますが、そのうち「就職促進給付」のひとつに「再就職手当」があります。
再就職手当とは、「基本手当を受ける資格のある人が、給付日数を3分の1以上残して安定した職業に付いた場合に受け取れる手当」のこと。再就職手当を受給するための一定の条件を満たしている場合、基本手当支給額の一部を受け取ることができます。
1. 求職者給付 | 基本手当 | |
---|---|---|
技能習得手当 | 受講手当 | |
通所手当 | ||
寄宿手当 | ||
疾病手当 | ||
2. 就職促進給付 | 就業促進手当 | 再就職手当 |
就業促進定着手当 | ||
就業手当 | ||
常用就職支援手当 | ||
移転費 | ||
求職活動支援費 | 広域求職活動費 | |
短期訓練受講費 | ||
求職活動関係役務利用費 | ||
3. 教育訓練給付 | 教育訓練給付金 | |
4. 雇用継続給付 | 育児休業給付 | |
介護休業給付 | ||
高年齢雇用継続給付 |
※参考資料:就職促進給付|ハローワークインターネットサービス
派遣社員が再就職手当を受給するための8つの要件
再就職手当の支給を受けるためには、「基本手当の給付日数が3分の1以上あること」以外にどのような要件があるのでしょうか。下記、支給の要件について確認していきましょう。
なお、派遣社員の最初の雇用契約は1年未満になっていることがほとんどですが、「更新の可能性あり」と記載があれば、再就職手当の受給資格となります。
<支給の要件について>
- 受給手続き後、7日間の待期期間(*)満了後に就職、または事業を開始している。
- 就職日の前日までの失業の認定を受けた上で、基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上であること。
- 離職した前の事業所に再び就職したものでないこと。また、離職した前の事業所と資本・資金・人事・取引面で密接な関わり合いがない事業所に就職したこと。
- 受給資格に係る離職理由により給付制限(基本手当が支給されない期間)がある方は、求職申し込みをしてから、待期期間満了後1ヶ月の期間内は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したものであること。
- 1年を超えて勤務することが確実であること。
(生命保険会社の外交員や損害保険会社の代理店研修生のように、1年以下の雇用期間を定め雇用契約の更新にあたって一定の目標達成が条件付けられている場合、又は派遣就業で雇用期間が定められ、雇用契約の更新が見込まれない場合にはこの要件に該当しません。)- 原則として、雇用保険の被保険者になっていること。
- 過去3年以上の就職について、再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと。(事業開始に係る再就職手当も含みます)。
- 受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと。
※引用資料:雇用保険資格者のみなさまへ 再就職手当のご案内|ハローワーク
*待期期間とは、基本手当の受給資格決定日から通算した7日間のことを指します。待期期間中に仕事をした日や、失業の状態でなかった日、失業の認定を受けていない日については、待期期間に含まれません。
再就職手当で受け取れる金額はどのくらい?
再就職手当で受け取れる金額の目安や、再就職先の賃金が離職前に比べて低い場合に支給される就業促進定着手当について解説します。
再就職手当で受け取れる金額は支給残日数によって変わる
再就職手当は、早期の再就職を支援・促進するための制度です。そのため、基本手当の受給資格の決定を受けた後に、より早く安定した職業に就いた場合は、下記の通り給付率が高くなります。
<ハローワーク「再就職手当のご案内(抜粋)」>
再就職手当の額は次のとおりです。
就職等をする前日までの失業の認定を受けた後の基本手当の支給残日数により給付率が異なります。支給日数を所定給付日数の3分の2以上残して早期に再就職した場合
…基本手当の支給残日数の70%の額3分の1以上残して早期に再就職した場合
…基本手当の支給残日数の60%の額※引用資料:雇用保険資格者のみなさまへ 再就職手当のご案内|ハローワーク
就業促進定着手当について
再就職手当を受給した人で再就職先の賃金が離職前の賃金よりも低い場合、「就業促進定着手当」が支給されます。再就職先で6ヶ月以上雇用され、その期間の賃金が離職前よりも低い場合、基本手当の支給残日数の40%(*)を上限に、低下した賃金6ヶ月分が支給されます。
*再就職手当の給付率が70%の場合は30%
※引用資料:再就職手当を受給した皆さんへ|ハローワーク
退職後に支給される再就職手当に対して、休職期間中に支給される手当もあります。詳しくはこちらの記事で解説していますので、ご覧ください。
再就職手当の申請方法
再就職手当の申請に必要な書類や、申請するまでの流れは次の通りです。
再就職手当の申請に必要な書類
再就職手当の申請に必要な書類は、以下の5点です。
- 採用証明書
- 再就職手当支給申請書
- タイムカードや出勤簿のコピー
- 失業認定申告書
- 雇用保険受給資格者証
このうち「再就職手当支給申請書」は、ハローワークで直接入手するかハローワークインターネットサービスからダウンロードが可能で、自分で記入する項目があります。
※「再就職手当支給申請書」がダウンロードできるWebサイト「ハローワークインターネットサービス」を記事文末の参考サイトでご紹介しています。
再就職手当支給申請書の書き方
再就職手当支給申請書の中で、個人が記入する項目は下記の通りです。
- 氏名
- 住所
- 電話番号
- 過去3年間の再就職手当・常用就職支度手当の受給歴(「受給したことがある」「いずれも受給したことがない」のどちらかを選択)
- 日付と署名
必要事項を記入したうえで、再就職先(派遣社員として働く場合は派遣会社)に「事業主の証明」の欄を記入してもらい、ハローワークに提出しましょう。
再就職手当を申請するまでの流れ
- 「採用証明書」を再就職先(派遣会社)に記入してもらい、ハローワークに提出します。
- 就職日の前日にハローワークで最後の失業認定を受け、「失業認定申告書」に就職が決まった旨を記入して提出します。その際に、「再就職手当支給申請書」を受け取ります。
- 「再就職手当支給申請書」を再就職先(派遣会社)に提出し、事業主欄を記入してもらいます。
また、タイムカードや出勤簿のコピー作成を依頼します。 - 「3」の「再就職手当支給申請書」の申請者欄にご自身で必要事項を記入し、「雇用保険受給資格者証」「タイムカードや出勤簿のコピー」と一緒にハローワークへ提出します。郵送も可能です。書類提出後に審査があり、支給または不支給が決定します。
- 後日、ハローワークから「支給決定通知書」が送られてきます。支給決定の場合、通知書には支給決定額と支給決定日が記載されており、支給決定日の翌日~1週間程度で、記載された金額が指定口座に振り込まれます。
※給付金の申請期限は1ヶ月ですが、再就職した日の翌日から2年以内まで猶予があります。
再就職手当が支給されない場合
以下に該当する場合は再就職手当が支給されないので注意が必要です。
転職先を雇用3ヶ月以内に退職した場合
転職先で雇用されてから3ヶ月以内に退職した場合は、再就職手当の支給が受けられません。ハローワークは、再就職手当の申請から3ヶ月後に、再就職先に雇用の有無を確認し、そこで在席が確認できた場合に支給が決定します。
そのため、いかなる理由があっても3ヶ月以内に退職すると支給が受けられません。
前回の就職先と同じである場合
離職前と再就職先が同じ企業の場合は、再就職手当が支給されません。また離職した会社と提携のある会社に就職した場合も、再就職手当が支給されないケースがあります。
その他、支給条件を満たしていない場合
そもそも雇用保険に入っていなかった、失業保険の支給残日数が1/3未満であるなど、雇用期間・形態の決められた支給条件を満たしていない場合、再雇用手当は支給されません。
早期の再就職を目指すには派遣登録がおススメ
早めの就職を目指すためには、派遣会社を活用したお仕事探しがおススメです。その理由について解説します。
担当者に相談しながら自分のペースで就業できる
派遣会社では、自身の希望条件に近いお仕事を案内してもらえます。担当者には希望する勤務日数や場所、職種などと一緒に、再就職手当を受給したい旨もあらかじめ伝えておくと良いでしょう。再就職手当の受給対象である長期派遣のお仕事を紹介してもらえます。
お仕事の希望条件を自分で整理しきれない場合は、派遣会社の担当者からアドバイスをもらえます。
自分では気づかなかった強みを見つけられるため、スキルやキャリアを評価してくれるお仕事にエントリー(応募)しやすくなるでしょう。
派遣会社から案内されたお仕事へのエントリーは必須ではありません。好きなタイミングで自分に合ったお仕事にエントリーすることも可能です。都合により就業できる時期が分からない場合も、自分のペースでお仕事探しを進められます。
福利厚生が充実している
派遣社員は、就業先の企業ではなく派遣会社に雇用される働き方です。そのため、待遇や福利厚生は派遣会社のものが適用されます。多くの派遣会社では社会保険、交通費支給、有給休暇などの基本的な待遇は整っているため、アルバイトなどに比べて安心して働き続けられるでしょう。
特徴のある福利厚生を用意している派遣会社も多く、ヘルスケアやスタッフ優待などのサービスを受けることも可能です。パソナでは、年1回の健康診断や育児・介護補助金、心身の相談窓口など、健やかに働くためのサポートが充実しています。派遣会社を選ぶ際には、ホームページで待遇や福利厚生をチェックするのもおススメです。
※関連ページ:福利厚生|パソナ
キャリアアップを目指せる
研修やeラーニングを用意している派遣会社も多く、登録後にビジネスマナーやPCスキルを身につけることができます。簿記やTOEIC、プログラミング言語など、職種に合わせた専門スキルを学ぶことも可能です。希望するお仕事に必要なスキルを身につけられるので、早期の再就職だけでなく、キャリアアップも目指せます。
再就職時に気を付けること
派遣社員として働くと、複数の就業先を経験することもあります。離職前後で同じ派遣会社からお仕事を紹介された場合は再就職手当を受給することはできないため、注意が必要です。
再就職手当に関するQ&A
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Q.再就職手当とは?
A.失業手当は失業期間中(失業~再就職まで)にもらえる手当のことで、再就職手当は失業手当の給付日数を3分の1以上残して安定した職に再就職した際に受け取れる手当のことです。 -
Q.派遣社員でも再就職手当はもらえるの?
A.「再就職手当」は雇用形態にかかわらず派遣社員も必要な条件を満たしていれば受給できます。 -
Q.再就職手当を受給するために必要な書類は?
A.再就職手当を受給するために必要な書類は、「採用証明書」「再就職手当支給申請書」「タイムカードや出勤簿のコピー」「失業認定申告書」「雇用保険受給資格者証」の5点です。書類に勤務先の社名や住所の記入を求められた場合は、派遣会社の情報を記入しましょう。
早期の再就職をサポートしてくれる「再就職手当」を活用しよう
再就職手当は、離職者が一日も早く再就職できるように設けられた制度です。
必要な書類が多く手続きが煩雑だと感じるかもしれませんが、受給資格のある方がきちんと申請すれば、所定の手当を受け取れます。自分が支給対象となるかどうか条件をチェックして、早期の就業を目指しましょう。
再就職手当の申請に関する不明点はハローワークの窓口に、再就職後の「採用証明書」の記入などについては派遣会社の営業担当に、それぞれ相談してみてくださいね。
パソナでは、ご就業後から専任のキャリアコーチがこれから先を見据えたキャリアサポートをいたします。今のお仕事の悩みはもちろん、プライベートとお仕事との両立など、お気軽にご相談ください。毎日が充実する働き方を、一緒に探していきましょう。
参考サイト:
- 再就職手当のご案内 (令和4年8月)|ハローワーク(PDF)
- 再就職手当を受給した皆さんへ (令和4年8月)|ハローワーク(PDF)
- 再就職手当支給申請書|帳票一覧|ハローワークインターネットサービス
- 就職促進給付|ハローワークインターネットサービス
- 基本手当について|ハローワークインターネットサービス
- 申請期限が過ぎたことにより給付を受けられなかった方へ (令和4年10月)|厚生労働省(PDF)