派遣社員は社会保険に入れる?社会保険加入条件と扶養内範囲について紹介
社会保険は、手厚い保障が受けられる公的な保険制度です。派遣社員は条件を満たすことで、社会保険への加入が可能です。社会保険に加入することで、年金の受給額が増えたり、健康保険や介護保険に加入できるなどのメリットがあります。
一方で、扶養内で働きたい方にとっては、配偶者控除の範囲外になってしまう可能性もあるでしょう。
そこで今回は、社会保険の加入に際して、派遣社員が知っておきたいことを詳しく紹介します。
※ご紹介した情報は、掲載した時点での情報です。掲載した時点以降に変更される場合もあります。
※関連ページ:社会保険・雇用保険 | パソナ
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- 目次
- 社会保険ってどんな制度?
- 派遣社員も条件を満たせば社会保険に加入できる
- 派遣社員の社会保険加入要件
- 派遣社員が社会保険に加入するメリットとは?
- 派遣社員が社会保険に加入する際の注意点
- 派遣会社を変える際に必要な社会保険の書類と手続き
- 派遣の社会保険に関するQ&A
- まずは派遣会社の担当者に相談してみよう
社会保険ってどんな制度?
社会保険とは、失業・労働災害・介護といったさまざまな人生のリスクに備えて、あらかじめ国民が公平に保険料を出し合って生活を保障するための公的な保険制度です。
日本の場合、狭義では「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」の3つを指し、広義では「労災保険」「雇用保険」を加えた5種類の社会保険制度のことを指します。
健康保険
病気やけがなどの事態に備えて保険料を出し合い、医療費に充てる公的な医療保険制度。
厚生年金保険
公務員、会社などで働いている人が対象となり、安心・自立した老後を過ごすための制度。
厚生年金は国民年金にプラスして払うものであり、将来は厚生年金と国民年金を両方受け取れます。
介護保険
今後増加が見込まれる介護費用を、国民全体でまかなうための保険制度。
40歳以上の国民が、「介護保険料」の納付義務を負う対象となります。
雇用保険
雇用の安定を目的として、働く人の生活を保証する制度。
労働者の能力開発・向上を目的とした職業訓練の実施や、何らかの理由で失業した場合に、再就職を促進するための失業等給付も雇用保険の対応範囲です。
労働者災害補償保険(労災保険)
業務上または通勤途中でのけが・病気・事故に遭った場合、本人や遺族に対しての給付が行われる補償制度。正社員や契約社員は基本的に就業先の企業が加入しますが、派遣社員は雇用主である派遣会社が加入します。
派遣社員も条件を満たせば社会保険に加入できる
社会保険は、正社員や派遣社員、パートなどの雇用形態を問わず加入資格を得られます。
派遣社員の場合、次の2つに当てはまれば社会保険に加入可能です。
- 登録している派遣会社に厚生年金保険の適用対象者数が101人以上いること
- 所定労働時間や契約期間、賃金など、一定の条件を満たしていること
2022年10月1日より短期派遣や時短勤務も社会保険の加入対象に
2022年10月1日の法改正によって社会保険の加入範囲が広がり、より多くの方が社会保険の加入対象になりました。変更点は、加入対象となる方の雇用期間です。
以前は雇用期間の見込みが1年以上なければ、社会保険の加入対象になりませんでした。
2022年10月1日以降は、雇用期間の見込みが2ヶ月以上であれば加入対象となります。
そのため、契約期間が3ヶ月以内の「短期派遣」も社会保険の加入が可能になりました。
また、時短勤務の方も週20時間以上の勤務で社会保険に加入できます。
※関連ページ:社会保険の加入要件 | パソナ
派遣社員の社会保険加入要件
派遣社員も、要件を満たす場合は社会保険の加入対象になります。健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険について、それぞれの加入要件を見ていきましょう。(2024年1月現在)
健康保険・厚生年金保険・介護保険の加入要件
- 週の所定労働時間:「契約時間が1週間で30時間以上」もしくは「契約時間が1週間で20時間以上30時間未満かつ、賃金月額88,000円以上(年収106万円以上)」
- 雇用契約期間:2か月と1日を超える(またはその見込みがある)
- 年齢による加入要件
・健康保険…75歳未満(誕生日の前日まで)
・厚生年金保険…70歳未満(誕生日前日まで)
・介護保険…満40歳以上65歳未満(誕生日前日から加入) - 学生ではない
雇用保険の加入要件
- 週の所定労働時間:20時間以上(1ヶ月で87時間以上)
- 雇用契約期間:31日以上の雇用見込みがあること
- 学生ではない
労働者災害補償保険(労災保険)の加入要件
契約期間に関わらず、派遣先での就業開始時点から自動的に適用
派遣社員が社会保険に加入するメリットとは?
社会保険に加入するメリットは、主に3つあります。
1. 年金受給額が増える
社会保険に加入すると、「国民年金」に加えて「厚生年金」の保険料をプラスして支払うことになるため、より多くの年金を受け取ることができます。
2. 保障範囲が広がる
社会保険に加入すると、健康保険の傷病手当金や出産手当金などの保障が受けられるようになります。
また条件を満たせば、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになったときに、「障害厚生年金」を請求することができます。
3. 保険料の半分を会社が負担してくれる
厚生年金の保険料は、会社が半額負担します。これは企業に所属して働く人の特権と言えるでしょう。
厚生年金の保険料には国民年金部分も含まれているので、少ない額の自己負担で将来受け取れる年金額が大きく引き上げられることになります。
派遣社員が社会保険に加入する際の注意点
所得税の配偶者控除を利用している場合は、社会保険の加入にあたって以下の注意が必要です。
- 社会保険に加入できるのは年収106万円以上
- 所得税が加算されるのは年収103万円以上
- 社会保険の扶養に入れるのは年収130万円まで
年収106万円を超えて社会保険に加入することで、所得税だけでなく保険料も控除されるようになります。そのため、扶養内のときよりも手取り額が減ってしまうかもしれません。
なお、社会保険の中でも健康保険は条件を満たした場合加入を義務づけられています。
自分の意思だけで扶養内のままでいることはできないので、ご注意ください。
派遣社員が扶養内で働くためには?
派遣社員のお仕事内容や勤務時間は雇用契約で決められていて、就業中は契約の範囲内で働きます。
派遣登録時の面談で、派遣会社の担当者に相談すると、扶養内で働けるお仕事を案内してもらえます。
希望する条件で働くために、ぜひ活用してみてください。
※関連ページ:扶養内で働きたい | パソナ
派遣会社を変える際に必要な社会保険の書類と手続き
社会保険は雇用元である派遣会社が加入しています。よって、派遣会社を変更する際の社会保険の変更手続きは、契約が終了した派遣会社と次の派遣会社で行います。
スムーズに手続きを進められるよう、必要書類をチェックしておきましょう。
- 契約終了した派遣会社に返却するもの:健康保険証
- 次の派遣会社に提出するもの:基礎年金番号、雇用保険番号
お仕事を休むときには
契約満了後、続けてお仕事をせずにお休みされる場合は、健康保険や厚生年金などが一時的に解約されます。国民健康保険への切り替えや、国民年金の支払いは自身で行う必要がありますので、住民票を置いている市町村の役所へ問い合わせてみてください。
派遣の社会保険に関するQ&A
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Q.派遣社員はいつから社会保険に加入できる?
A.就業先との契約で一定の要件を満たしていれば、雇用契約を結んだ日から加入できます。はじめに契約した時点で要件を満たす見込みがたっていない場合は、契約条件が変更されて加入要件を満たすことが見込まれた時点で加入することになります。 -
Q.派遣の待機期間中の社会保険はどうなる?
A.社会保険は雇用主である派遣会社が手続きを行うため、一定の空白期間であれば継続できるケースもあるようです。パソナの場合、契約終了後1ヶ月以内に次のお仕事がスタートすれば、社会保険の継続可能となります。派遣会社によってそれぞれの規定があるため、詳しくは各派遣会社に確認しましょう。
まずは派遣会社の担当者に相談してみよう
「派遣のお仕事を探しているけれど、希望の働き方が社会保険の加入要件を満たしているかがわからない」という方は、まずは派遣会社に登録して担当者に相談してみましょう。
一人ひとりに合った働き方の提案や、キャリアコンサルティングなどを行っている派遣会社もありますので、ホームページなどを見て自身に合った派遣会社を探してみてはいかがでしょうか。
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※関連ページ:福利厚生 | パソナ