派遣から正社員になる方法は?ポイントとメリット・デメリットを解説

ライフステージに合わせて派遣社員から正社員へ働き方を変えようとするとき、どのような方法があるのでしょうか。また、働き方が変わることで、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。今回は、派遣社員が正社員を目指す上で行っておくと良いことや、その際の注意点、派遣社員から正社員になるための近道についてまとめました。
- 目次
- 派遣から正社員になることは難しい?
- 派遣から正社員になることが向いている人・向いていない人
- 派遣から正社員になるためのポイント4つ
- 派遣から「未経験の業界や職種の正社員」への転職は可能?
- 派遣から正社員になる3つの方法
- 派遣から正社員になることのメリット
- 派遣から正社員になることのデメリット
- 正社員登用の面接でよく聞かれる質問とは
- 派遣から正社員を目指す際の素朴な疑問
- 紹介予定派遣について詳しくご紹介
- 紹介予定派遣を賢く活用しよう
派遣から正社員になることは難しい?
これまで、派遣社員としての就業経験が多い、または経歴が長いという方のなかには、「正社員としての就職を目指すのは、難しいかもしれない…」と心配されている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実際の中途採用の現場を見てみると、「派遣での就業経験が多い人が、正社員になるのは難しい」とは言い切れないのです。
雇用形態に関わらず、経験やスキルを適切にアピールすることが大切
企業の採用担当者が重視するのは、どのような雇用形態で働いていたかよりも、「今までどんな仕事をしていたのか」「何ができるのか」ということ。
たとえば、調理師として3年間正社員で働いた経験がある方と、経理職の派遣社員として3年間就業した方が、経理の正社員募集に応募してきた場合、どちらが有利になるでしょうか?
これは極端な例ですが、雇用形態にこだわるよりも、希望の職種に合った自分の経験やスキルをアピールすることが大切だということです。
「働く中で身につけたスキルや資格」「今まで経験したことのある仕事内容」「就職後に会社にどのように貢献できるのか」などを面接で伝えることができれば、大きなプラス材料になるでしょう。
就業時間が短い場合の注意点って?
転職活動で、自分の職務経歴や経験業務を説明する際、就業期間が極端に短い場合は、理由を問われる可能性があります。
正社員採用の場合、企業は自社で長く活躍してくれる人材を求めているため、「採用してもすぐに辞めてしまうのでは」といった懸念を抱かれやすいからです。
しかし派遣の場合は有期契約がほとんどで、短期間のみのお仕事も多くあるため、しっかりと面接で説明できる理由があるならば、就業期間を気にしすぎる必要はありません。
短期間で多くの企業を経験している方は、理由をきちんと説明できるようにしておきましょう。
派遣から正社員になることが向いている人・向いていない人
派遣にも正社員にも良い点はあり、どちらが向いているかは人それぞれです。これから正社員を目指すにあたり、派遣と正社員の特徴をしっかり捉えておくことが大切です。
派遣から正社員になることが向いている人
正社員は雇用期間の定めがないため、基本的には定年まで継続して勤務できます。安定した雇用のもと、ひとつの職場でキャリアを積みたい方は正社員向きだと言えるでしょう。
また。収入や保障面にも魅力があります。月給の他に賞与や退職金、各種手当などが手厚く支給されるほか、能力に応じて昇給、昇格のチャンスもあります
派遣から正社員になることが向いていない人
正社員は残業・休日出勤、異動・転勤が求められるなど、派遣に比べると働き方に制約が多くなります。担当業務以外のことを頼まれる場面も多く、希望のお仕事に就けたとしても、ずっとそれを続けられるとは限りません。人事異動や転勤などの辞令があれば、原則従う必要があります。
安定を求めて正社員になったものの、仕事内容やワークスタイルによってお仕事を続けるのが厳しくなる可能性もあります。
勤務時間や就業場所の希望に制約がある方、家庭や趣味、地域活動といった仕事以外の生活をより重視したいという方にとっては、正社員という働き方は向いていないかもしれません。
派遣から正社員になるためのポイント4つ
では、派遣社員から正社員になるためには、具体的にどんなことをすれば良いのでしょうか。
まずは下記の4つのポイントについて考えながら、転職活動の準備を進めていきましょう。それぞれのポイントについて具体的にご紹介していきます。
自分の経験・スキルを振り返る
まずは、自分のこれまでの経歴や経験、スキルについて棚卸しをしておきましょう。
採用担当者は、応募してきた人にどんなスキルがあり、どんな経験があるのかを知りたがっています。しかし、自分の経歴や経験、スキルの整理ができていなければ、必要な情報を的確にアピールすることはできません。
場当たり的に答えるのではなく、あらかじめ自分のこれまでの経験・スキルについて振り返り、自己分析をしておきましょう。
※関連記事:『3STEPで自分の強みがわかる!自己分析のやり方について』
経験・スキルの活かし方を考える
経験・スキルの棚卸しができたら、次に「そのスキルや経験をどのように活かして、将来につなげられるのか」について考えてみましょう。
一般的に、派遣社員は「スペシャリスト」として、専門分野に特化したスキルを求められますが、正社員の場合は「ジェネラリスト」として、専門分野以外の対応や交渉、マネジメントなど、ビジネスにおける複合的な知識・経験も求められるケースが多くあります。
正社員を目指したいと考えているのであれば、専門分野はもちろんのこと、それ以外のビジネススキルも伸ばせるよう意識しておくことが大切です。普段からどんなお仕事でも役立つビジネスコミュニケーションやPCスキルなどを磨いておけば、正社員になったときにも、それらの経験・スキルを活かせます。
そして、自身の経験・スキルが正社員になったときにどのように活かせるか、将来のビジョンを考えておけば、転職活動でも有利になるでしょう。
業界研究を行う
正社員を目指す際は、志望する業界や企業についてより詳しく調べることも必要です。業界全体の動きや、志望企業の業界内での立ち位置、今後の見通しなどを調べておきましょう。
正社員は、一般的に雇用期間の定めがない雇用形態です。契約満了で退職ということがないため、就業後のミスマッチを防ぐためにも、面接で的確な受け答えをするためにも、業界の研究・分析は必須と言えます。
今後のキャリアプランを考える
正社員を目指す際は、今後の自分のキャリアプランについても改めて考えてみることが大切。進みたい分野や働き方への希望、そもそもどうして正社員になりたいのかなど、自分の考えをしっかり掘り下げることで、具体的なキャリアプランを導き出していきましょう。
たとえば、仕事選びで重視する条件に優先順位をつけてみるのもひとつの方法です。お仕事や働き方において何を大切にするかを明確にすることで、迷ったときの判断軸が明確になります。そして、3年後、5年後…と、長期的なプランに目を向けることも重要です。
仕事内容にこだわってスキルを活かせるお仕事を探したいのか、雇用条件や待遇を重視するのかによっても、応募すべき企業は変わってきます。大企業で大きなプロジェクトにかかわるお仕事がしたいのか、企業規模を問わずチームをサポートするようなお仕事がしたいのかなど、具体的な仕事内容の希望についても考えてみましょう。
今後の人生の中でお仕事とどう向き合っていくのか、中長期的なキャリアプランについて、改めて考えてみましょう。
※関連記事:『「どうして働くの?」を考えることでキャリアプランが見えてくる』
派遣から「未経験の業界や職種の正社員」への転職は可能?
ここまで派遣社員から正社員を目指すための方法についてご紹介してきましたが、なかには「経験はないけれど、正社員としてこのお仕事に就きたい!」という強い希望を持っている方も、いらっしゃることでしょう。
派遣社員から、未経験の業界や職種の正社員を目指すためには、どうすれば良いのでしょうか。
たしかに、未経験の業界や職種でいきなり正社員を目指すというのは、簡単なことではありません。しかし、ポイントを押さえて転職活動を行えば、実現させることも十分可能です。
これまでのスキルや経験を活かす
未経験の業界や職種であっても、これまでの経験が全く役に立たないということはありません。たとえば、接客業から事務職を目指すのであれば、接客で培った接遇応対のスキルやコミュニケーションスキルを活かすことができるでしょう。
このように、異なる業界や職種からの転職であっても、そのお仕事に活かせる自分の経験やスキルを見つけ、強みとしてアピールしてみてください。
志望理由を明確にする
未経験の業界・職種に飛び込もうと思ったきっかけは、一体何だったのでしょうか。新しいことにチャレンジしたいと思う場合、必ず何か原因やきっかけがあるはずです。
面接で志望理由を聞かれたときには、そのお仕事への熱意をしっかり伝えられるようにしておきましょう。転職先の業界や職種を志望した理由や、それまで違う業界にいた理由、その職種だった理由について、相手に納得感を持ってもらえるような回答を用意しておくことが大切です。
キャリアプランについて明確なビジョンを持つ
曖昧な気持ちでその業界や職種を目指すのではなく、自分の中でのキャリアプランをより明確にしておきましょう。その業界や職種を経験することで将来何を目指したいのか、面接用の受け答えを考えるだけでなく、自分の中での明確なビジョンを持つことで、しっかりとしたアピールができるでしょう。
派遣から正社員になる3つの方法
派遣から正社員になるには大きく3つの方法があります。それぞれ正社員として働き始めるまでの流れが異なるため、ここで整理しておきましょう。
正社員として転職する
ひとつめは、正社員の求人に応募して転職活動を行う方法です。派遣の場合と異なり、企業への連絡や面接日の調整、履歴書など応募書類の準備をすべて自分で行う必要があります。自分の強みやアピールできるスキルを整理し、希望のお仕事に就くための効果的なアピールを考えましょう。
派遣のお仕事を続けながら転職活動を行う際は、契約満了日との兼ね合いなどにも注意が必要です。一般的には、契約満了日の3ヶ月ほど前から転職準備を進めると良いと言われています。
紹介予定派遣のお仕事を見つける
紹介予定派遣とは、就業先企業での正社員や契約社員などの直接雇用を前提とし、一定期間派遣社員として働く制度です。派遣期間は最長6ヶ月で、派遣契約が終了するタイミングで就業先企業と派遣社双方の合意のもとに直接雇用に切り替わります。なお、紹介予定派遣については、後ほど詳しくご紹介いたします。
今の就業先で正社員に登用される
就業先企業が正社員登用制度を設けている場合、派遣から正社員に登用される可能性があります。紹介予定派遣と違うのは、派遣契約開始時点では直接雇用を前提としていないということ。派遣期間中の働きぶりやスキルを評価されて正社員登用に至ります。大企業より中小企業のほうが正社員登用されやすい傾向にあり、就業先企業から打診される場合が多いようです。
派遣から正社員になることのメリット
これまでご紹介してきた通り、派遣社員として働いてきた経験やスキルを活かし、適切にアピールすることで正社員を目指すことは十分可能です。
では、派遣社員から正社員になった場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。いくつかご紹介していきます。
基本的に無期雇用である
基本的に、正社員は雇用期間に定めがない無期雇用であるため、解雇や自己都合による退職をしない限り、その企業で働き続けることができます。同じ企業で長く働きたいという方は、正社員に向いていると言えるでしょう。
業務上の裁量が大きい
正社員は、自ら考えて判断したり、自身の裁量で進めたりしていく業務が多い傾向にあります。裁量が大きいということは、「自身の判断で業務を進めなければならない」という責任も伴いますが、考えながらお仕事をすることで自身の成長へとつながるでしょう。
昇格や昇進のチャンスがある
直接雇用の正社員の場合、企業ごとに人事評価制度があり、それに準じて昇格・昇進・昇給が行われます。自身の成果が評価されることで、企業内でのキャリアを築き、着実にステップアップすることができるでしょう。なかには、スキルアップ研修や昇進試験などの制度がある企業も。
産休や育休が取りやすくなる
正社員のほうが産休(産前・産後休業)や育休(育児休業)などの取得条件に適用しやすいケースが多くなります。しかし、派遣社員や契約社員など雇用形態にかかわらず一定の条件を満たしていると、これらの制度の利用が可能に。将来的に妊娠・出産を考えている方は、派遣元に確認しておきましょう。
派遣から正社員になることのデメリット
派遣社員から正社員になるメリットをご紹介してきましたが、人によってはデメリットになりえるポイントもあります。正社員を目指す際は、このようなポイントにも注意しながら、今後について考えてみてくださいね。
転勤で勤務地が変わる可能性がある
複数の拠点を持つ企業であれば、転勤によって勤務地が変わる可能性があります。場合によっては、転居を伴う転勤の可能性も。
転勤の有無については、採用時の確認や雇用契約書への明記があるため、契約の際はしっかり確認しておくようにしましょう。
異動(配置転換)で職種や仕事内容が変わる可能性がある
一般的な総合職採用の場合、異動や配置転換によって、それまでと異なる部門の所属になったり、職種や仕事内容が大きく変わったりする可能性もあります。なかには、一定期間で複数の部署への配置転換を行う「ジョブローテーション」という人事制度を設けている企業も。
異動することで自身のキャリアの幅を広げられる可能性もありますが、会社組織の一員になることで、こうした可能性があることも覚えておきましょう。
賞与や退職金がない企業もある
正社員だからといって、すべての企業で賞与や退職金が支給されるわけではありません。また、業績によって支給額に変動が生じたり、支給の可否が決まったりする企業もあります。その点を考慮しておきましょう。
正社員登用の面接でよく聞かれる質問とは
派遣では採用面接がないため、何を聞かれるのかイメージしにくい方も多いかもしれません。正社員登用の面接でよく聞かれる質問についてご紹介します。
今まで派遣で働いていた理由
この質問は、お仕事に対する価値観や目的意識を確認するためのものです。もし派遣を選んだ理由が、家庭との両立や時間的な制約によるものだったとしても、ぜひポジティブな言い回しを心がけてください。「子どもが小さかったので時間の融通が利きやすい派遣を選んでいたが、将来的には正社員として働けるよう実務スキルを磨き続けた」など、積極的な姿勢を伝えましょう。
これから正社員として働きたい理由
正社員として働く魅力のひとつは雇用の安定や収入面、充実した保障などですが、面接の場においてはお仕事に対して消極的な印象を与えかねません。
派遣ではなく正社員だからこそお仕事で実現できること、正社員としてその会社で実現したいキャリアプランなどを答えましょう。「これまでの経験を活かして、より責任のある仕事をしてやりがいを得たい」「じっくり腰を据えて仕事に取り組みたい」など、熱意を持って長く活躍したいという意思を伝えてください。
派遣から正社員を目指す際の素朴な疑問
年齢が高いと正社員になるのか難しいのか、正社員になれば本当に給料が上がるのかなど、正社員を目指す際の疑問にお答えします。
派遣から正社員になる際に年齢は関係ある?
労働人口の減少や中堅層の人材不足などの理由から、業界を問わず40代を超えても正社員として採用される可能性は十分にあります。実務経験に加えて、これまでの社会人経験で培ったコミュニケーションスキルや臨機応変な対応力などがアドバンテージとなるでしょう。
派遣から正社員になることで給料は上がる?
これは時と場合によるため、正社員になれば必ず給料が上がるとは言い切れません。時給換算すると、正社員と派遣社員の収入の差はそこまで開かず、スキルによっては派遣社員のほうが正社員より高時給になるケースもあります。ただ、賞与などを含めた年収ベースで見ると、やはり正社員のほうが高い傾向にあります。
紹介予定派遣について詳しくご紹介
紹介予定派遣は、正社員などでの直接雇用を前提として、一定期間(最長で6ヶ月間)就業先企業で派遣社員として働く雇用形態です。派遣社員としての就業期間満了後に、双方の合意のもとで直接雇用となります。
派遣社員から正社員を目指す方にとって、紹介予定派遣は多くのメリットがある制度。なぜ紹介予定派遣がおススメなのか、ご紹介していきます。
直接雇用後のミスマッチを防げる!
紹介予定派遣は、直接雇用前に一定期間派遣社員として就業先企業で働く制度。実際の仕事内容や働く環境を体験したうえで、その企業の正社員として長期的に働けるかどうか判断できるため、直接雇用後のミスマッチを軽減することができます。
派遣会社のサポートを受けられる
転職活動では、希望にあう求人情報を探したり、書類作成や面接対策の準備をしたりすることが負担になりがちです。しかし、紹介予定派遣の場合は、派遣会社を介して就業先企業の選定や選考が行われます。
派遣会社からのお仕事案内や、書類作成・面接対策のサポートも受けられるため、効率的に転職活動を行うことができるでしょう。また、派遣就業中も派遣会社が就業先企業との間に立ってフォローしてくれるため、安心して働くことができます。
経験が浅い場合でも就業のチャンスがある
未経験から正社員のお仕事に挑戦したいという方にとっても、紹介予定派遣はおススメの働き方。
紹介予定派遣では、最長6ヶ月間という派遣就業期間があるため、その期間に働きながらスキルアップしたり、働きぶりをアピールしたりすることができます。経験・スキルよりもポテンシャルや人柄重視の採用を行っている企業もあり、紹介予定派遣は正社員登用のチャンスが多い働き方と言えるでしょう。
なかには、紹介予定派遣のみ募集している企業の非公開求人に出会える可能性もあるでしょう。
※関連記事:『「紹介予定派遣」って何?メリットや特徴、派遣社員・正社員との違いを解説!』
紹介予定派遣を賢く活用しよう
派遣から正社員になるメリット・デメリットを理解した上で、今後のキャリアビジョンを明確にして、自身の経験・スキルをしっかりアピールすることができれば、派遣から正社員を目指すことは十分可能です。今回ご紹介したポイントを参考に、転職活動の準備を進めてみましょう。
上記でもご紹介した派遣会社のサポートを受けながら正社員を目指せる「紹介予定派遣」は、派遣社員から正社員を目指す方におススメの働き方。正社員を目指すためのステップとして、紹介予定派遣を賢く利用してみてはいかがでしょうか。
参考サイト:
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