用語

2019/04/12

輸出・輸入に関する、貿易事務の実務内容を一挙ご紹介!

貿易事務は、輸出入取引に関する「モノ(商品)・カネ(代金)・カミ(書類)」の流れを把握し、取引が円滑に進むよう手続きを行うお仕事です。

業務範囲が多岐にわたる貿易事務のお仕事ですが、「輸出」を担当するのか、「輸入」を担当するのかによって、実務内容が一部異なります。

今回は、商社やメーカーにおける「輸出」側、または「輸入」側の貿易事務担当が、それぞれどのような業務をしているのか具体的にご紹介します。

目次
輸出入取引の流れ
輸出に関するお仕事
輸入に関するお仕事
「商社・メーカー」と「フォワーダー・物流系企業」では任される業務範囲が異なる
貿易事務初心者は「輸入業務」からのチャレンジがオススメ
未経験者は大企業で貿易実務の一部を担うサポート業務から始めるのがオススメ

輸出入取引の流れ

まずは、輸出入における取引の流れを簡単におさらいしておきましょう。

私たちは、普段商品を買う際に「商品(モノ)を受け取る」代わりに「代金(カネ)を支払う」という取引を日常的に行っています。しかし、国をまたぐ輸出入取引の場合は、物資(モノ)やお金(カネ)の移動に、多くの時間と手順を踏むことになります。そのため、輸出入取引では「商品の輸送」や「商品代金の支払い」の手続きに関して、独自の取引の流れが確立されているのです。

信用状(L/C)*取引の場合、輸出者と輸入者が売買契約を結んだ後、輸入者は信用状(L/C)と呼ばれる支払い保証書を銀行に発行してもらい、輸出者に通知します。

*信用状(L/C)は、貿易取引において輸送に時間がかかり、商品の受け取りと代金の支払いに時間差があるために発生する「支払いリスク」を回避するために利用される保証書のこと。輸入者の取引銀行が、輸出者への支払いを保証しています。

その後、下記の図の通り、商品(モノ)の引き渡しは輸出者から輸入者へ、商品代金(カネ)の支払いは輸入者から輸出者へ行われますが、その際、インボイス(送り状)、パッキングリスト(貨物の明細書)、船荷証券(B/L)*といった貿易独自の書類(カミ)を使ったやりとりが発生します。

貿易事務は、これらの貿易書類の役割や流れを理解し、輸出入取引に欠かせない手続きや手配を行うのが主な業務です。

今回の記事では、輸出者側と輸入者側のそれぞれの業務内容について詳しくご紹介していきますが、貿易取引でよく利用される「信用状(L/C)取引」を例に挙げてご説明します。上の2つの図を参照ながら、読み進めていってくださいね。

*船荷証券(B/L)とは、貨物の引き渡し・受け取りについて明示する有価証券。輸出者にとっては、船会社に貨物を引き渡したことを証明する“貨物受取証”であり、輸入者にとっては、その貨物の引き取るための“貨物引換証”となります。

※関連記事:『信用状(L/C)の役割を知っていますか?』『「信用状(L/C)」取引における輸出入者と銀行の関係を理解しよう』『貿易事務職の仕事内容って?「商社・メーカー系」と「物流・フォワーダー系」との違いについて

輸出に関するお仕事

先ほどご説明した図でも分かる通り、輸出者(売主)の貿易事務は、買主である「輸入者」との交渉・契約締結をはじめとして、輸出商品を製造する部署や外部の製造会社とのやり取りが中心となります。

また、輸出の際の輸送・通関手続きを代行する「フォワーダー(通関業者・海貨業者)」、商品代金の決済で関わる「銀行」、国際運送を担う「船会社・航空会社」、「税関」など公的機関との連携など業務範囲は多岐に渡るのが特徴。具体的には以下のようなお仕事があります。

・売買契約
輸入者と商品の売買に関する契約を締結(①)

・信用状(L/C)の確認
輸入者から発行された信用状(L/C)の内容を確認(④)

・商品の船積手配
船積書類(インボイス・パッキングリスト等)の作成、輸出通関手配(⑤)

・信用状(L/C)買取
輸入者の商品引取に必要な書類を銀行に提出し商品代金を回収(⑦⑧)

*信用状(L/C)は貿易特有の決済に使用される決済方法です。貿易取引では、その他の決済方法もあります。

※関連記事:『T/T送金って何?貿易取引における送金方法の種類』『輸出者の仕事の流れを把握しよう!貿易実務は先読みするとラクになる

輸入に関するお仕事

輸入者(買主)の貿易事務は、売主である「輸出者」との交渉や、商品代金の決済で関わる「銀行」との取引が中心。また、輸入の際に通関手続き・貨物受取を代行する「フォワーダー(通関業者・海貨業者)」や、「税関」など公的機関との業務も発生します。具体的には以下のような業務があります。

・輸出者と売買契約
輸入者と商品の売買に関する契約を締結(①)

・信用状(L/C)の開設
輸出者の商品発送を引き換えに銀行が代金支払いを確約する信用状を開設(②)

・船積書類の確認(インボイス・パッキングリスト・B/L)
輸出者が作成した書類の確認(⑩)

・商品代金支払い
信用状取引の場合、⑩書類の確認と同時に銀行に支払い(⑪)*

・貨物の引取
船積書類をフォワーダーに渡し、輸入通関手配(⑫⑬)

・納入管理
輸入許可の下りた貨物を国内の倉庫に納入する、顧客へ配送するなどの手配・管理

*信用状(L/C)は貿易特有の決済に使用される決済方法です。その他にも決済方法があります。

※関連記事:『輸入者の仕事の流れを把握しよう!貿易実務は先読みするとラクになる

「商社・メーカー」と「フォワーダー・物流系企業」では任される業務範囲が異なる

貿易事務とひとくちにいっても、ここまでご紹介したような商社やメーカーの貿易事務だけでなく、フォワーダー(通関業者・海貨業者)や船会社、倉庫会社など、貿易に特化した企業の貿易事務もあります。業界や業種によって、お仕事内容や業務範囲は異なりますので、貿易事務のお仕事に興味のある方は、その違いについても知っておきましょう。

商社・メーカー

商社やメーカーは、通常、輸出者または輸入者のどちらかの立場に立って貿易取引を行います。

輸出者(売主)または、輸入者(買主)という立場であるため、貿易事務が関わる範囲も多岐に渡ります。海外企業との交渉、商品の受発注、船積書類作成・確認、貨物海上保険の付保、貨物の船積み・荷下し手配、輸出入通関手配、貨物の引取、商品代金決済など、貿易取引の最初から最後まで携わります。(ただし、会社の規模などによって個人が任されるお仕事の範囲はさまざまです)

フォワーダー(通関業者・海貨業者など)、物流系企業(船会社、倉庫会社など)

フォワーダー(通関業者・海貨業者)

国際物流のコーディネーターであるフォワーダーは、商社やメーカーの依頼を受けて、輸出入に関する一連の業務を代行する会社です。輸出者や輸入者の代理人なので、商品の売買を行うわけではなく、主に国際運送の手配、輸出入通関の手続きなどを担当します。

船会社

船会社は自社が持っている運搬手段を用いて、輸出入者の貨物を運送します。そのために必要な手続きを輸出入者・フォワーダーなどと行います。国際運送に関わる業務がメインなので、貿易取引全体の流れからいえば限定的ですが、船会社にも貿易事務職があります。

倉庫会社

輸出入貨物は、通関手続きが完了するまでの間、一時的に保税地域内の「倉庫会社」の倉庫などで蔵置されます。保税地域にある倉庫会社は、単に貨物を管理するだけではなく、仕分けや再梱包、加工業を行う施設を兼ねている場合もあります。倉庫会社における貿易事務職は、貿易取引に大きく関わるわけではありませんが、貨物の入出庫の手配や管理など外部と現場をつなぐ役割を担い、貿易取引のルールや通関までのフローを理解できる現場です。

貿易事務初心者は「輸入業務」からのチャレンジがオススメ

今回、同じ貿易事務職でも「輸出者」側と「輸入者」側では、業務内容・範囲が若干異なるとお伝えしましたが、一般的に業務の難易度は「輸出業務 > 輸入業務」という傾向があります。

というのも、貿易取引においては、輸出業務の方が書類を作成する機会が多いため。一方、輸入業務の方は、書類を作成するよりも、輸出側から届いた書類を確認する業務の方が多いのです。また、輸出業務は自ら作成した書類とともに船積手配や輸出通関手配を行うなど、進行役としての比重が重めです。

貿易事務未経験や初心者の方が貿易事務職にチャレンジするなら、輸入業務から始めるのがオススメ。輸出業務と輸入業務は売買取引において対(つい)を成す部分があるため、まずは輸入業務に就いて貿易取引全体の流れを把握し、輸出業務の内容も徐々に理解していけると良いでしょう。

未経験者は大企業で貿易実務の一部を担うサポート業務から始めるのがオススメ

一般的に、規模が大きい会社では、細分化された業務の一部分を任されるケースが多く、中小企業の場合は幅広い業務を担当するケースが多いのが特徴です。

例えば、各種貿易書類の作成業務からスタートして、商社・メーカー・運輸業界での船積書類(インボイス、パッキングリスト)作成や、船会社での船荷証券(B/L)作成などの実務経験を積んでから、徐々に貿易取引全体に携わる業務へとステップアップするという方法もあります。

これから貿易事務職を目指す方は、まずは細分化された貿易業務のサポートから始めてみてはいかがでしょうか。パソナは、貿易事務に特化したオリジナルの研修・講座やeラーニングを実施し、あなたのスキルアップを応援しています。

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参考サイト:

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