スキッド梱包の意味とは?パレットとの違いや、梱包方法の選び方を紹介
貿易関連のお仕事の中には海上輸送の手配に関わる機会も多いでしょう。海上輸送を手配する際に梱包方法に関する情報を間違って伝えてしまうと、輸出許可が降りないこともあります。スムーズに商品を送るためにも、梱包方法を正確に把握することが大切です。
今回は海上輸送の梱包方法で代表的な「スキッド」と「パレット」の違いや、選び方、書類への記載方法を紹介します。
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輸出梱包の種類
日本の貿易での代表的な輸送手段は、一度に大量の貨物を運べる「海上輸送」です。社団法人日本船主協会の調査によると、重量ベースでは世界の貿易量の90%を、日本では99.6%を海上輸送が占めています。そのため、貿易事務のお仕事でも海上輸送の手配に関わる業務は多いです。
梱包方法の種類
海上輸送の梱包は、「ケース梱包」「クレート梱包」「スキッド梱包」「パレット梱包」の4種類が代表的です。このうち、スキッド梱包とパレット梱包は荷物の周りを覆わない梱包方法です。通気性に優れていて結露が発生しにくく、海上輸送に適しています。ちなみに、貿易実務でよく使われる「荷姿」とは、梱包方法のことを意味する言葉です。
輸送形態の種類
海上輸送で使われる貨物船には、原油、液化ガス、鉄鉱石、自動車などの決まった貨物を運ぶ「専用貨物船」や「在来船」「コンテナ船」などがあります。現在一般的な貨物輸送でもっとも利用されているコンテナ船は、梱包した貨物をコンテナに積んだ状態で、船へと運び込みます。
コンテナを手配する形態は、自社でコンテナ1本を貸し切るFCL (Full Container Load)と、1つのコンテナに複数社の荷物を相積みするLCL (Less Than Container Load)の2種類です。
LCLの場合、輸送する小口貨物はCFS(Container Freight Station)と呼ばれる施設で集積・保管・混載します。そのため、売主(輸出者)は船社やNVOCC(社外の船舶を利用して運航する輸送事業者)を通して CFSへ荷物の搬入を申請する際に、梱包方法を伝える必要があります。
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LCLではスキッドとパレットの間違いに注意
CFSでは事前に売主が発行した書類(パッキングリストまたはインボイス)と実際の貨物が合っているか、NACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)で照合を行います。実際の梱包方法と書類に記載された内容に違いがあると、輸出許可が降りないことがあるので注意が必要です。
梱包方法の中でも「スキッド」と「パレット」は見た目が似ているため、データ登録時に間違えやすいので二つの違いについて理解しておきましょう。
スキッドとパレットの構造の違い
スキッドとパレットの構造について解説します。
スキッドの構造
スキッドは漢字の「井」の字の形をした、すのこのような見た目の台です。底に板がないことが特徴で、その構造から「下駄」とも呼ばれています。運搬時に片面からのみフォーク(フォークリフトのツメの部分)を差し込める二方差しタイプがほとんどで、荷物の大きさに合わせて作るためサイズは規格化されていません。
パレットの構造
スキッドと同じく、すのこのような形状をしていますが、底に板があり両面使用できることが特徴です。二方差しタイプ、四方差しタイプがあり、海上輸送に限らず陸上輸送や倉庫での保管など、さまざまな場面で使われています。国際輸送における日本の標準サイズのパレットはJIS規格で1,100mm×1,100mm×144mmと定められています。
梱包方法の選び方
貨物の輸送手段を手配する際、梱包方法をスキッド梱包とパレット梱包のどちらを選んだら良いのでしょうか。それぞれの梱包方法に向いている荷物の特徴を解説します。
スキッド梱包が向いている貨物
ダンボールに入らない荷物や、機械類など大型のものはスキッド梱包が向いています。スキッドを活用すると、大きな荷物の輸送を行うことも可能です。また、パレットと比べると使われている木材の量が少なく安価なことから、買主(輸入者)からの返送を求めない「ワンウェイパレット」としての利用にも向いています。
パレット梱包が向いている貨物
パレットは天板部分が平らなため、ダンボールなどで個装された荷物をまとめるのに適しています。ダンボールを複数個積んでいき、透明なストレッチフィルムを巻き付けて固定すると、梱包後も外から中身を確認しやすいです。買主が倉庫に保管する際も商品確認や在庫管理がしやすいため、食品や日用品、衣類など、大量にストックするような商品の梱包に向いています。
パッキングリストへの梱包方法の記載方法
梱包方法はパッキングリストで、【個数+積込個数単位コード】と表記されます。積込個数単位コードは、スキッドは「SD」パレットは「PT」です。例えばスキッドを10台分輸出する場合、表記は「10SD」になります。これをもとに税関で通関士が梱包方法を確認し、輸出申告書に記載をします。
まとめ
フォワーダーや税関がコンテナへの積み込みや輸出申告をスムーズに行うためにも、売主がパッキングリストやインボイスに梱包方法を正しく記載することが大切です。ダンボールに梱包できないような大型の商品にはスキッド、ダンボールなどで個装される小型の商品の梱包にはパレットが用いられるケースが多いので、商品ごとのサイズや適した梱包方法を理解しておくと良いでしょう。
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