キャリアアップ

2019/05/20

貿易事務の経験を積むことで、どのようなキャリアパスが描ける?

著者: パソナ キャリアコーチ(貿易担当)

貿易事務の経験を積むことで、どのようなキャリアパスが描ける?

英語を使った専門事務職として、人気のある貿易事務のお仕事。貿易実務の専門知識が求められることから、一般事務と比べて給与水準が高いのが特徴で、主な勤務先には、商社、メーカー、フォワーダー(通関業者・海貨業者)、船会社・航空貨物代理店などがあります。

そんな貿易事務職ですが、お仕事を続けていくことでどんなキャリアを築けるのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、貿易事務の経験を積むことで、どのようなキャリアパスを描けるか詳しくご紹介していきます。

目次
貿易に関する専門知識と経験は、一度身につければ次の転職でも有利に
貿易事務の経験を積むことで、どんなスキルが身につくの?
貿易事務職のキャリアパスって?
将来は貿易事務の経験をどう活かす?まずは理想のキャリアを考えてみよう

貿易に関する専門知識と経験は、一度身につければ次の転職でも有利に

貿易に関する専門知識と経験は、一度身につければ次の転職でも有利に

貿易事務が“専門性が高い事務職”と言われる理由は、貿易取引(輸出入取引)が国内取引とは異なる特有の方法で行われている点にあります。

貿易事務職の業務内容は、業界や会社によって異なりますが、商社やメーカーなど貿易取引の当事者(買主・売主)側企業で働く場合、取引相手と交わす契約書や受発注書、輸送や通関で必要となる貿易関連書類の作成や内容確認、英語によるメールのやりとり(コレポン※)が主な業務になります。

コレポンとは、英語の「correspondence(コレスポンデンス)」の略で、貿易実務では「外国語(主に英語)で海外の取引先と文章でやりとりすること」を指します。

このような業務を円滑に進めるためには、「貿易実務で使う専門用語の理解」「国際物流や書類に関する知識」「読み書きを中心とした基本的な英語力」などが必要となります。

そのため、一度経験を積んで貿易実務の知識・スキルを身につければ、次の転職の際にも、貿易取引の流れを理解している「経験者」として優遇されやすくなります。

例えば、貿易事務として経験を積んだ後に、出産・育児といったライフイベントで一度職を離れたとしても、経験者が優遇される貿易事務職はお仕事復帰がしやすいのです。

このように、貿易事務職はその専門性から、一度経験を積めば次の転職で有利になったり、お仕事復帰がしやすかったりと、長期的なキャリア形成が可能な職種と言えるでしょう。

貿易事務の経験を積むことで、どんなスキルが身につくの?

貿易事務の経験を積むことで、どんなスキルが身につくの?

貿易事務の実務経験を積むことで、貿易事務の専門知識以外にも、高度な「コミュニケーションスキル」や「英語力」、「タイムマネジメントスキル」や「調整力」を身につけることができます。以下で、身につくスキルについて詳しくご紹介していきます。

コミュニケーションスキル

貿易事務は、取引先の海外企業はもちろんのこと、社内の営業担当や入出庫担当、輸送や通関業務を代理で行うフォワーダー(通関業者・海貨業者)など、日々さまざまな立場の人々の間に立って、業務を進めるお仕事。そのため、相手の状況を把握しながら、適切なやりとりを行うコミュニケーション力が磨かれるでしょう。

英語力

貿易事務は、海外企業とメールを交わしたり、(売買契約書など)英語で書かれた書類を作成・確認したりするため、ある程度の英語力が求められる職種です。

ただ、一般的には英会話スキルよりも、英語の読み書きのスキルが重視されています。貿易取引では、やりとりの履歴を文面で残す必要があるため、英文のライティングや読解力が求められるのです。

とはいえ、受発注、発送連絡のメールや取引条件、貿易書類などは、ある程度パターン化されているのが特徴です。英文はテンプレートにしたり、貿易事務の関連書籍に掲載されている参考フレーズを参考にしたりと、業務や学習を通して、英語力も鍛えられることでしょう。

※関連記事:『貿易実務を解説!輸出入業務の流れや現場で求められる英語力・資格について

タイムマネジメントスキル

タイムマネジメントスキルとは、「時間管理」や「段取り」に関するスキルのこと。貿易事務の現場では、わずかな遅れが大きな損失につながることも珍しくありません。時間厳守が鉄則である輸出入の現場に身を置くことで、常に期限を意識しながら段取りよく業務を進めるスキルがしっかりと身につくでしょう。

調整力

貿易事務は、社内外の担当者と連絡を取りあい、「誰が」「誰に」「何を」「いつ」「どこから」「どこに」という全体の流れを把握しつつ、業務を進行させる調整力が求められます。よって、さまざまな商習慣や時差のある海外の担当者をはじめ、あらゆる立場の人にとって無理のないスケジュールを組み立て、時間内に業務を執行させるスキルが磨かれます。

※関連記事:『貿易事務に転職するなら、どの程度の英語レベルが必要ですか?』『理想の自分を描こう!貿易事務からのキャリアプラン

貿易事務職のキャリアパスって?

貿易事務職のキャリアパスって?

貿易取引の流れは、取り扱う商品が変わってもそれほど大きく変わることはなく、同業他社へ転職しても、その知識を活かしてキャリアを積むことができます。そこで、ここからは貿易事務職の経験を活かせるキャリアパスについてご紹介します。

分野に特化した貿易実務のエキスパート

貿易事務の専門性は、「商品(モノ)を円滑に輸出入するための手続きを行う」という点ですが、特定の商品の知識を深めれば「〇〇系の商材に強い貿易事務」というエキスパートになることもできます。取り扱う商品によっては、食品衛生法や植物防疫法、薬事法、国内外の規制といった法律の知識が必要となります。それらの知識を深めることで、より専門性の高い貿易事務として活躍することができるでしょう。

※関連記事:『貿易事務職の「商社・メーカー系」と「物流・フォワーダー系」の仕事内容の違いについて解説!

通関士

通関や輸出入手続きの知識を極めて、その道のプロフェッショナルである国家資格「通関士」の資格をとり、通関士として働くことも可能です。また、「通関士」の資格を持っていると、海外の工場から直接製品を仕入れている「通関部署」のある企業や流通業などへの転職にも有利になります。

バイヤーや営業など他職種へ転身

貿易事務の専門性を活かして、海外の商品を現地で仕入れるバイヤー職や営業職へキャリアチェンジなど、新たなキャリアを築くことも可能です。

※関連記事:『通関士ってどんな資格?どんな仕事?

将来は貿易事務の経験をどう活かす?まずは理想のキャリアを考えてみよう

貿易事務として働くことで、どのようなスキルを身につけることができるのか、どんなキャリアパスが描けるのか、イメージはつかめたでしょうか。

貿易事務未経験の方は、専門知識が必要な職種というイメージが先行して、チャレンジするのに勇気がいるかもしれません。ですが、誰もが最初は未経験。例えば、貿易実務の一部を担当する業務サポートからスタートして、経験と知識を深めながら、貿易事務職としてステップアップしていく方法もあります。

そして、貿易実務の現場特有の経験ができるのも、貿易事務職の魅力のひとつ。

例えば、さまざまな国の方々とやりとりで、取引相手国の文化・商習慣に触れる機会も多いため、異文化理解を深めることができます。英語力アップさせたい方にとっては、「働きながら自分のスキルを高めていける職種」という点も大きなメリットになるのではないでしょうか。

ゆくゆくは貿易事務の経験・知識を活かして、他の分野へのチャレンジやキャリアチェンジすることも可能。ご自身の目指す方向を見つけて、あなたらしいキャリアを築いていってくださいね。

「もっと専門性を高めたい」「どんな勉強をしたら良いの?」とお悩みの方は、ぜひ一度パソナのキャリアコーチにご相談ください。

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