出港日が決まったら「船積通知(S/A)」を送ろう
「船積通知(S/A)」とは、貿易取引の出荷日(船や飛行機の出港日)が決まった後に、輸出者が輸入者に対して必ずすべきことのひとつ。
今回は、貿易を円滑に進めるためにも、また、互いに信頼し合う気配りの意味でも、忘れてはならない「船積通知」について詳しくご紹介します。
輸出者は輸入者に「船積み完了」を通知しよう
貿易取引では、国内の取引同様に商品の納期も取り決めますが、契約時に確実な出荷日(船や飛行機の出港日)が決まっていることは多くありません。
そのため輸出者は、実際に貨物を出荷する船便(航空便)が確定したら、輸入者へスケジュール等を連絡します。これを「船積(ふなづみ)通知/Shipping Advice(略:S/A)」と言います。
輸出者が輸入者に通知する内容に決まりはありませんが、一般的に通知した方が良いのは以下の内容です。これらの情報を、輸出者は輸入者にメールやFAXでお知らせしましょう。
・船名(Name of Vessel *航空輸送の場合はFlight Name)
・出港予定日(ETD / Estimated Time of Departureの略)
・積荷港(Port of Loading)
・入港予定日(ETA / Estimated Time of Arrivalの略)
・荷揚港(Port of Discharge)
・売買契約書番号(Sales Contract No.)
・商品名、数量(Product Name, Number of Packing)
輸出者はこれらの情報をフォワーダー(Forwarder)から入手しています。
一般的に貿易業を行う商社や貿易会社は、商品の輸出通関など、出荷手続きをフォワーダーと呼ばれる国際物流の専門業者に依頼して行っています。そのため輸出者は、船便(航空便)のスケジュールも、フォワーダーから連絡を受けることになるのです。
輸出者が輸入者にS/Aを送るタイミングは、出港日が確定した直後がベスト。とりわけすぐに貨物が到着する航空便や、船便でも2〜4日ほどで船が到着する中国や韓国、台湾のアジア圏への通知は、出港日が確定した後すぐにしておきましょう。
というのも、輸入者は到着予定日が早めにわかると、貨物到着後の段取りに余裕ができて助かるのです。
ただ、欧米への海上輸送など、輸送に3週間〜1ヵ月半ほど時間がかかるような場合は、出港日のスケジュールが決まってすぐではなく、実際に船会社が船積み完了したことを証明するB/L(Bill of Lading/ビーエル/船荷証券)、またはSea Waybillが発行されたあと、書類送付とともにお知らせすることもあります。これは、もともと輸送期間にスパンがあるので、B/L発行後の通知でも、輸入者に段取りの余裕があるためにできるのです。
※関連記事:『「B/L」「Sea Waybill」「Air Waybill」の違いをまとめてみました』
輸出者から「船積通知(S/A)」が来ないとき、輸入者はどうする?
S/Aは輸出者の義務とされていますが、法や規則で決まっていることではないため、会社によってはお知らせがないことも多々あります。
また、B/Lなど船積書類を送ることでS/Aを行ったと考える会社も多いようです。先にも述べたように、B/Lは船積み完了を証明する書類のため、B/Lの送付はS/Aと言えるのです。
ただ輸入者も「スケジュールは決まったかな?」と気になるときや、「まもなく船積みしないと、納期に間に合わなくなるな…」という時には、臆することなく輸出者に対してS/Aを求めましょう。
*Shipping Adviceは輸出者側からの言葉なので、輸入者がS/Aを英語で表現するときは、Shipping scheduleやShipping informationと言った方が伝わりやすいです
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