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2019/10/14

【為替相場】TTSレートとTTBレートの違いって?貿易為替について学ぶ!

貿易実務における海外企業との取引では、外国通貨を使用することも多いため、為替に関する知識が求められます。

しかし、慣れないうちは、「売り相場・買い相場」「TTS・TTB」という単語は知っていても、業務のなかで「ドルを円に換えるときはどっちだったっけ…」と混乱してしまうこともあるでしょう。

そこで今回は、貿易実務に欠かせない為替相場の基礎知識についてご紹介します。

目次
外国為替と「売り相場」「買い相場」について
電信送金の為替レート「TTS」と「TTB」
なぜTTSとTTBの違いがピンとこないのか?
TTS、TTBだけじゃない!対顧客為替相場のいろいろ
為替レートの知識を身につけて、貿易実務のエキスパートに!

外国為替と「売り相場」「買い相場」について

皆さんも海外旅行に行く場合、日本円をその国の外貨に換えて持っていくことがありますよね。そのような、「異なる通貨の交換・売買」のことを「外国為替」と呼びます。

そんな外国為替は、それぞれの通貨の市場における「需要と供給のバランス」によって、日々値段の相場が変わります。その交換の相場は、「外国為替相場(為替相場、為替レート)」と呼ばれているのです。

外国為替相場には、「売り相場」と「買い相場」という2つの相場があり、“銀行が”その外貨を売るときの相場を「売り相場」、買うときの相場を「買い相場」と言います。

貿易取引では、輸出入者どちらかの国の通貨、または第三国の通貨(米ドルなど)で商品価格を設定して商品の売買を行うため、外国為替相場が取引にも大きく影響します。とりわけ、日本の貿易取引では、米ドルやユーロなど外国通貨(外貨)で取引されるケースが多くあります。商社などにおける貿易実務では、商品価格の設定や仕入れ価格の算出する際に、外国為替相場を見ることはよくあります。

電信送金の為替レート「TTS」と「TTB」

貿易取引の決済にはいくつかの方法がありますが、電信送金(T/T送金)決済はそのひとつです。電信送金はいわゆる銀行口座振込のことですが、この電信送金決済で採用される為替レートをTTSレート、TTBレートと言います。

TTSレート(Telegraphic Transfer Buying rate/対顧客電信買相場)

金融機関が顧客から外貨を買い取る相場。また、顧客が金融機関に外貨から円貨に交換する相場。

TTBレート(Telegraphic Transfer Selling rate/対顧客電信売相場)

金融機関が顧客に外貨を売るときの相場。また、顧客が金融機関に円貨から外貨に交換する相場。

銀行などの金融機関は、その日(時間)の実勢相場もとにTTSレート、TTBレートを決定しているのですが、例えば、その日の金融機関同士で取引される米ドルの為替レートが1ドル=110円だとすると、一般的にTTSはこれに1円プラスした111円になります。TTBはこれから1円マイナスした109円になります。

この1円が為替手数料であり、手数料が上乗せされた相場を「対顧客相場」といいます。(手数料分は金融機関の収益になります。)

ちなみに、電信送金で受け取った米ドルを日本円に交換するときは、(銀行が米ドルを買うことになるので)米ドルのTTBレートが起用され、逆に、銀行口座にある日本円を米ドルに交換するときは、(銀行が米ドルを売ることになるので)米ドルのTTSレートが適用されます。

一般的に、日本の輸出者は輸入者から外貨で代金を受け取ることが多いのでTTBレートをよくチェックしており、輸入者は逆にTTSレートを見ています。

*余談ですが、銀行によって円建ての口座で外貨を取り扱えるかどうかは異なります。一般的に、銀行は通常の(円建ての)銀行口座のほかに外貨建ての口座を開設することができ、外貨建ての口座に入れたままにしておくことも可能です(その外貨を円建ての口座に換えるときにはTTBレートが適用されます)。

※関連記事:『T/T送金って何?貿易取引における送金方法の種類

なぜTTSとTTBの違いがピンとこないのか?

では、ここで、皆さんに質問です。皆さんが海外旅行の前に日本円を米ドルに換える場合、米ドルはTTSとTTB、どちらのレートで交換されるでしょうか?

日本円を米ドルに換える場合、皆さんの立場からすると日本円を売って米ドルを買うことになりますが、銀行の立場から言えば、“日本円を買って米ドルを売ることになる”ため、「米ドルのTTSレート(対顧客電信売相場)」が採用されます。

私たちには日本円を売って米ドルを買うという感覚があるので、「買うんだからTTB?」と勘違いしてしまいがちですが、TTS・TTBはあくまで銀行側のレート。“銀行が”売る・買うレートだということをしっかり認識すると、間違いにくくなるでしょう。

TTSレートのSは「Selling(=売る)」、TTBのBは「Buying(=買う)」。TTSは“銀行が外貨を売るときのレート”で、TTBは“銀行が外貨を買うときのレート”と覚えてくださいね。

TTS・TTBレートは、貿易実務の現場で商品価格の設定や仕入れ価格の概算を算出するなど、さまざまな場面で使うので、この2つの違いをしっかりと理解しておきましょう。

TTS、TTBだけじゃない!対顧客為替相場のいろいろ

ところで、貿易取引での決済では、TTS、TTB以外の為替相場が適用されることもあります。例えば、信用状(L/C)決済など荷為替手形決済では、銀行が一定期間資金を立て替えておくため、「立替金利」が発生するケースもあり、そのような場合に用いられる為替相場も存在します。

では、実際にどのようなレートがあるのか表を作成しましたのでご覧ください。

*補足
銀行が適用する相場:レートの名称
相場の立て方:金融機関が各レートをどのように立てているかの詳細
高い←基準→低い:市場仲値が1ドル=110円の場合、上に行くほど111円112円と高くなり、下に行くほど109円108円と低くなります。

この表は貿易決済の種類をすべて把握していないと難しく感じられるかと思いますが、市場仲値、現金売相場・買相場以外のレートは、貿易取引で利用する決済方法に関係する為替相場です。

貿易取引には、冒頭でご紹介した電信送金決済のほか、信用状付荷為替決済(L/C決済)、D/A決済、D/P決済があり、決済方法によって為替相場が変わります。今回は為替相場をメインにご紹介しているため、それぞれの決済の内容については触れませんが、決済方法について詳しく知りたい方は、ぜひ以下のコラムをご覧ください。

※関連記事:『貿易取引における「商品代金の決済方法」をまとめてみました』『「信用状(L/C)」取引における輸出者の代金回収の流れとポイント』『為替手形(Bill of Exchange)で記載すること

為替レートの知識を身につけて、貿易実務のエキスパートに!

商社やメーカーの貿易実務では、決済手続きに関して経理の方が担当していることも多いため、今回ご紹介したような為替相場の名前をすべて覚える必要はありません。

ですが、貿易実務者が為替相場の知識を身につければ、取引で動くお金の流れをより正確に把握できますし、貿易実務のエキスパートとしてステップアップできることは間違いないでしょう。

また、最初は為替相場の違いを難しく感じても、日々の業務の中で、貿易取引がいかに為替相場によって利益が変わってくるかを実感すれば、おのずと自社の決済方法やその為替相場についても興味が湧いてくるのではないでしょうか。

ぜひスキルアップに向けて、為替相場に関する知識も身につけていってくださいね。

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貿易業界で働くための貿易用語チェックリスト【入門編】

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参考サイト

 

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