為替手形(Bill of Exchange)とは?役割や記載内容を解説!
今回は、L/C(Letter of Credit/エルシー/信用状)を使った取引(以下、L/C取引)で作成する「為替手形(Bill of Exchange)」について、役割をはじめ、何を記載する必要があるのか、そして為替手形作成時における注意事項について具体的に解説します。
為替手形ってそもそも何?
貿易取引において、「為替手形」は、輸出者が買取り業務(代金の回収業務)を行うときに作成し、輸出者が輸入者にお金を指定銀行に支払うように指図した手形のことです。
貿易決済で使われる為替手形は、私製のフォームを使う場合もありますが、通常は輸出地の銀行(L/C取引では買取銀行)が用意したフォームに必要事項を記載して作成します。
為替手形の記載事項
では、為替手形のサンプルとともに、記載事項を見ていきましょう。
① 手形(INVOICE)番号:手形振り出す輸出者の整理番号
② 手形金額
③ 手形の振出地と振出日
④ 手形期限:At sightは一覧払い(手形を呈示されたら直ちに支払わないといけない)の意。XXXは空欄を消す処置 *1
⑤ 波線部分は、「第1券で支払がなされたら、第2券は無効となる」という表示*2
⑥ 受取人:輸出地銀行(買取銀行)のこと
⑦ 手形金額(英字)
⑧ L/C発行依頼人:輸入者(名宛人が請求するべき先)
⑨ L/C発行銀行
⑩ L/C番号
⑪ L/C発行日
⑫ 名宛人:L/C発行銀行となる(輸入者の支払保証をしているため)
⑬ 振出人:輸出者
*1 :手形は支払期限を指定することができます。上図のXXXの部分に「(At) 30 days after (sight)」 (「一覧後30日払い」の意)と記載すれば、支払人の支払期日は「手形が提示された日から30日後まで」ということになります。
*2 :為替手形は、2通(2券)作成します。これは、輸出地の銀行から取立(とりたて)銀行(L/C取引の場合はL/C発行銀行)に、到着遅延や紛失に備えて2便に分けて送るためです。文言にもある通り、第1券(the First Bill of Exchange)で決済がなされると、第2券は無効となります。
為替手形について知っておきたいこと
L/C取引において為替手形を作成するときは、L/C に記載されている内容と照らし合わせ、その内容を完璧に記載しなくてはなりません。誤字や誤記の修正は認められず、誤字があれば銀行から手形買取を拒否されてしまうため、作成にあたっては特に慎重さが求められます。
かつては、為替手形の作成にはタイプライターが使われていたのですが、今は手書きで作成した手形も多く流通しています。やり方は会社によって異なるため、その会社で初めて作成するときは必ず確認しましょう。
余談ですが、日本で振り出される手形には印紙税法が適用されます。記載された金額が10万円未満は非課税なので印紙が不要ですが、10万円以上であれば、印紙税額が200円かかります(印紙は添付して、印鑑や振出人のイニシャルなどで消印します)。また、第2券には印紙の貼付は必要ありません。
貿易実務に携わる方はぜひ覚えておいてくださいね。
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