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2015/10/05

【インコタームズ】コンテナ運送向きの条件FCA・CPT・CIP

著者: パソナ キャリアコーチ(貿易担当)

【インコタームズ】コンテナ運送向きの条件FCA・CPT・CIP

貿易取引に欠かせない世界共通のルールである「インコタームズ(Incoterms/貿易条件)」。インコタームズ2010の11の規則の中で、「FCA、CPT、CIP」という3つの規則は、すべての輸送形態に適した規則ですが、コンテナ貨物の海上輸送や航空輸送でよく使われています(実は航空輸送も、通常はコンテナに積まれて運ばれています) 。そこで今回は、コンテナ輸送に適した、「FCA、CPT、CIP」の3つの規則についてご紹介します。

目次
コンテナ輸送に適したFCA、CPT、CIP規則
FCA(運送人渡)/Free Carrier (…named place)
CPT(輸送費込)/Carriage Paid To (…named place of destination)
CIP(輸送費保険料込)/Carriage and Insurance Paid To (…named place of destination)

コンテナ輸送に適したFCA、CPT、CIP規則

さっそくですが、それぞれの規則が規定する「危険負担」と「費用負担」の分岐点を、下図で見ていきましょう。

FCA・CPT・CIP

この3つの規則の共通点は、売主(輸出者)が運送人に商品を引き渡した時点で、買主(輸入者)に危険負担が移転するということ。運送人に引き渡す場所は、上図では「運送人施設」としましたが、航空輸送の場合には“フォワーダーの倉庫や空港のターミナル”、海上輸送の場合は“保税地域のコンテナターミナル”と、さまざまなケースがあります。

FCA、CPT、CIP規則の具体的な内容をご説明しながら、使用例もご紹介していきましょう。

FCA(運送人渡)/Free Carrier (…named place)

FCAは、輸出地における指定場所で、買主(輸入者)が指定した運送人に商品を引き渡したときに、危険負担、費用負担が、売主から買主に移転する規則です。

危険負担は、指定地がCYの場合は、コンテナをCYのゲートに搬入した時点、指定地がCFSの場合は輸送手段の上で(例:トラック荷台の上で)運送人に引き渡した時点で移転します(売主は荷卸しの責任を負いません)。

FCA

CPT(輸送費込)/Carriage Paid To (…named place of destination)

CPTは、輸出地において売主によって指名された運送人に商品を引き渡した時点で、売主から買主に危険負担が移転する規則です。ただ、引き渡し義務が完了したあと、指定仕向地までの輸送費用については、売主が負担します。

危険負担の分岐点は、FCAと同じく、CYの場合は、コンテナをCYのゲートに搬入した時点、指定地がCFSの場合は輸送手段の上で(例:トラック荷台の上で)運送人に引き渡した時点で移転します(売主は荷卸しの責任を負いません)。

*CPTでは、指定仕向地を記載するので、危険負担の分岐点となる運送人への引き渡し場所は明記されます。必要であれば契約する際に確認しておきましょう。

CPT

CIP(輸送費保険料込)/Carriage and Insurance Paid To (…named place of destination)

CIPは、CPTと同じく、輸出地において売主によって指名された運送人に商品を引き渡した時点で、売主から買主に危険負担が移転する規則ですが、指定仕向地までの輸送費だけでなく、保険料についても売主が負担します。

*CIPで売主(輸出者)に義務づけられている保険条件は、最低限の填補範囲であるICC約款(C)と規定されています。買主(輸入者)がそれより広い填補範囲の保険条件を求めてくる場合は、契約段階で合意しておく必要があります。

危険負担の分岐点は、FCAやCPTと同じく、CYの場合は、コンテナをCYのゲートに搬入した時点、指定地がCFSの場合は輸送手段の上で(例:トラック荷台の上で)、運送人に引き渡した時点で移転します(売主は荷卸しの責任を負いません)。

CIP

CPTとCIPの危険負担と費用負担の分岐点が異なることについて、貿易事務未経験者のみなさんの中には、「港で引き渡しは済んでいるのに、輸送費用を払うのは変だな…」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。しかし実務上、輸出地での海上輸送や航空輸送の手配は、輸出者側がしやすいということもあり、インコタームズではご紹介したような規則が設けられているのです。

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