【インコタームズ】輸入者の負担範囲が大きいEXW
今回は、貿易取引に関するEXWという規則についてご紹介します。EXWとは、インコタームズ(貿易条件)2010の規則のひとつですが、11の規則の中でもっとも売主(輸出者)の負担が少なく、買主(輸入者)の負担が大きい規則です。
※関連記事:『インコタームズ(貿易条件)とは?最新版(2020)の変更点も解説!』
輸入者の負担範囲が広いEXW規則
早速ですが、EXWの「危険負担」と「費用負担」の分岐点を、下図で見ていきましょう。
EXW(工場渡し)/EX Works (…named place)
EXWは、売主が自社の拠点である工場や倉庫などの敷地内で買主に渡し、その後のリスク(危険と費用)はすべて買主が負担します。商品を引き取るためのトラックなどの輸送手段も買主が手配し、積み込み作業の危険負担も買主にあります。
インコタームズの11規則の中で、買主が輸出国での輸送費用、輸出通関の費用を負担する規則はEXWだけです。ただし売主も、関係省庁からの輸出認可取得や、輸出通関を行う際に輸入者に必要な情報を提供する助力義務があります。
EXWを使用するときの注意点
EXWは買主(輸入者)の負担が大きいため、買主がこの条件で契約する時には、注意しなければならないことがあります。それは「買主が輸出国で、輸送や輸出通関の手配をできるのか?」という問題です。
フォワーダー(Forwarder)の中には、海外各地域での流通業務や通関業務の手配も行っている会社もあります。
しかし、もしあなたが買主の立場で、あなたの会社の取引先のフォワーダーが輸出国内で手配ができないのであれば、手配できるフォワーダーを探すか、EXWの使用を避け別条件で再交渉しましょう。
反対に売主の立場であれば、期日内にきちんと商品を生産するということ以外、運送業者や船会社への手配は必要ありません。納品書であり請求書でもあるインボイス(Invoice/送り状)を作成して、買主、または買主が手配したフォワーダーからの連絡を待ちましょう。
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