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2017/01/23

「輸出通関手続き」はどのように行われているの?

著者: パソナ キャリアコーチ(貿易担当)

「輸出通関手続き」はどのように行われているの?

国際輸送になくてはならない「フォワーダー(Forwarder)」とは、輸出入者の代わりに、通関や船積み手続きを代行する業者のことです。では、フォワーダーは、どのように「輸出通関手続き」を行っているのでしょうか?今回は、フォワーダーが行っている手続きの流れについて分かりやすくご紹介します。

フォワーダーが行う輸出通関手続きの流れ

日本から海外へ貨物を輸出するためには、税関より輸出許可を得なければなりません。輸出許可申請の手続きは煩雑なため、通常、輸出入者はフォワーダーに依頼し、フォワーダーが代理で手続きを行っています。
フォワーダーが行う輸出通関手続きの流れ

①依頼者から必要書類・情報をもらう

まず、フォワーダーは、通関手続き依頼者(インコタームズ「EXW」条件の時は輸入者、それ以外は輸出者)から、船積み依頼書*(S/I/Shipping Instruction)インボイス(Invoice)パッキングリスト(Packing List)、その他必要な許可証などの書類を受け取ります。

*船積み依頼書(S/I)は、依頼者からもらったインボイス、パッキングリストをもとにフォワーダーが作成する場合もあります。

②貨物を保税地域に搬入

依頼者の貨物を保税地域に搬入します。

③輸出申告書(E/D)を作成

必要に応じて依頼者から預かった書類をもとに、貨物の状態や数量などを確認し、「輸出申告書(E/D/Export Declaration)」*を作成します。

「輸出申告書(E/D)」は、船積み依頼書(S/I)、インボイス、パッキングリストに記載された情報(船積港や荷降港、利用する船便名、商品価格*、数量など)のほか、HSコードと呼ばれる税番(輸出統計品目表の番号)を記載する必要があります。

*輸出申告書で申告する貨物の価格は、輸出船積み以降のコストを含まない価格である、FOB(Free on Board)建てで記載することがルールとなっています。インボイスの価格がFOB価格以外の場合でも、FOB価格に直して記載することが求められており、ときにはインボイスとの差額を、輸送費や貨物海上保険料の領収書などを税関に提示して説明することもあるようです。

※参考:税関『輸出統計品目表

④税関への輸出申告

貨物を搬入した保税地域を管轄する税関に輸出申告を行います。なお、輸出申告は、フォワーダーの社内に居る通関士が行います。通関士は申告書を作成・確認して税関に申告手続きを行いますが、近年では「NACCS」と呼ばれるシステムを使い、オンラインで手続きができるようになりました。

※参考:独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)『輸出入・港湾関連情報処理システム(NACCS)のメリット:日本

⑤税関での書類審査・貨物検査

輸出申告に基づき税関で提出書類を確認し、必要な検査を行ないます。税関での審査・検査が問題なければ、輸出許可書が発行されます。

なお、輸出通関時に税関から貨物の現物検査を受けることがありますが、フォワーダーや依頼者に無断で検査が行われることはまずありません。フォワーダーは税関からの連絡を受けたら依頼者に伝え、時には代理人として貨物検査に立ち会います。

「現物検査は依頼者が自ら立ち会うべきでは?」と思われる方も居るかもしれませんが、依頼者が検査日・時間に合わせ、港の保税地域での検査に立ち会うことは実務上難しい場合が大半。フォワーダーの存在は輸出入者にとって、なくてはならない存在なのです。

⑥貨物の搬出、積み込み

問題なく通関が完了したら、保税地域から貨物を搬出し、船や飛行機へ積み込まれます。

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