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2017/06/19

「為替予約」以外の為替変動リスク対策について一挙紹介!

著者: パソナ キャリアコンサルタント(貿易担当)

「為替予約」以外の為替変動リスク対策について一挙紹介!

かつて2017年のトランプ大統領就任の際なども、為替相場が大きく動いて話題になりましたが、こうした変動は輸出入者にとってはリスクとなります。では社会情勢の変化による変動リスクを減らすために、会社ではどのような対策を立てておくべきなのでしょうか。

為替変動については「為替変動リスク対策の定番『為替予約』の方法を知ろう!でも一度解説しましたが、今回はその他の方法をいくつかご紹介します。

輸出者・輸入者が自身の裁量でできる、4つの為替変動リスク対策

「(先物)為替予約」という為替変動リスク対策は、銀行との取引によってリスクを減らす方法ですが、今回ご紹介するのは“輸出者や輸入者が自分自身の裁量で行う”方法です。さっそく、代表的な4つの対策についてご紹介していきましょう。

①日本円(自国通貨)で取引する

為替変動リスクは、そもそも外国通貨のレートが変動するから引き起こされるので、自国通貨で取引すれば為替リスクがありません。

例えば、日本の企業が輸入する立場にある時、売買取引を円建てで行えば外貨を日本円に交換する必要がないので、まさに究極のリスク対策となります。

ただ、その代わりに海外の取引先(輸出者)が為替リスクを負うことになるので、リスクに見合う商品価格の値引きなどを要求される可能性があります。

②リーズ・アンド・ラッグズ(Leads and lags)*

輸出者・輸入者自身が相場の動きを見て、外貨の決済時期を早めたり遅めたりしながら為替相場の変動に対応する方法です。ただ、外貨の相場予測は難しいため、確実なリスク対策ではありません。

また、輸出者は輸入者へと出荷した貨物の商品代金をなるべく早く回収したいことから、輸出者と輸入者の間にしっかりした信頼関係がないと成立しない方法です。
*リーズ(leads)は早めること、ラッグズ(lags)は遅らせることの意

③為替マリー(Exchange Marry)

輸出した商品代金を外貨で受け取り、その外貨で輸入した商品代金の支払いにあてる方法です。債権(受取外貨)と債務(支払外貨)を同時に持っていれば、組み合わせること(マリー)で為替変動による差益と差損を相殺するのです。

ただ、実際にはよほど大きな商社でなければ外貨の債権債務を同時に(同額程度)持っているということは無いため、全ての企業が行える方法ではありません。

④ネッティング

輸出、輸入の両方の取引がある相手と、一定期間の輸出額と輸入額を相殺する方法です。相殺しきれなかった分(残額)は為替変動リスクがありますが、金額が小さくなる分、リスクも軽減されます。

支払いと受け取りを相殺するネッティングは、本来なら複数回発生する送金が一度になり、銀行へ支払う手数料を削減できるため、同じ企業グループの会社など信頼できる会社との取引において利用されています。

※関連記事:『ネッティングという決済方法を知っていますか?

最も利用されている対策は「為替予約」

4つの方法を比較すると、それぞれの為替変動リスク対策は会社によって“できる・できない”があることがわかります。その点、(先物)為替予約という方法は、企業規模にかかわらず、どの輸出入者でも行えるので(逆説的な説明になりますが)最も利用されていることも納得できますね。

※関連記事:『『為替予約』は為替変動リスク対策の定番!

また、商社や貿易会社では、それまでの経験から為替変動リスク対策をとっていることが多く(あえて為替リスク対策をしていないケースもあります)、貿易事務担当者が「どのリスク対策をとるか」などと判断することは滅多にありません。しかし、貿易取引では必須の知識ですので、ぜひ覚えておきましょう。

 

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参考サイト

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