派遣社員が退職するときの手順って?「退職届は必要か」など気になる疑問にもお答え!

現在、派遣社員として就業している場合「仕事を辞めたくなった」または「退職しなければいけない」という状況になった際には、どのような手続きを行う必要があるのでしょうか。
一言で退職といっても「次回の契約更新はせず、派遣期間満了に合わせて退職する」ケースもあれば、「やむを得ない事情により、契約期間中に退職しなければならなくなった」というケースもありえます。退職を考えはじめたときは、事情や状況に合わせた「退職の手順」を理解して、できるだけスムーズに退職の手続きを進めましょう。
今回は、派遣社員の退職の手順について、よくある疑問点にもお答えしながら、詳しくご説明します。
※関連記事:『派遣社員の手取りはいくら!?給料の計算方法と注意点とは 』
派遣社員の退職の手順とは
派遣社員は、就業先に直接雇用される正社員や契約社員とは異なり、派遣会社が雇用元となります。派遣の場合、直接雇用とは異なる部分が多いため、退職の手続きや手順に悩んでいるという方も多いようです。
前提として、派遣社員が契約を結んで就業を開始した以上、やむを得ない場合を除いて契約の中途解除は基本的にできません。3ヶ月、6ヶ月などの一定期間で最初に契約した雇用期間は、全うするようにしましょう。そのうえで、次の更新のタイミングに、契約更新をせずに退職する旨を伝えるのがスムーズな方法です。
これまでお世話になった派遣先や派遣会社と良好な関係を保ち、不要なトラブルを避けるためにも、派遣社員の退職の手順は知っておきたいもの。そこでここからは、具体的な退職の手順について、詳しくご紹介します。
①派遣会社へ退職の意思を伝える
まずは、派遣会社の営業担当へお仕事を辞めたい旨を伝えましょう。なお、最初に退職の意思を伝えるのは派遣会社であって、就業先の会社ではありません。派遣社員は雇用契約を派遣会社と結んでいるため、退職など雇用契約に関する話は、まず派遣会社へ相談するようにしましょう。
なお、退職意思を伝える際は、契約更新日の1ヶ月前までに伝えることが大切です。派遣会社が後任のスタッフを検討したり、就業先企業も引き継ぎの準備をしたりする必要があるため、退職を考えたらできるだけ早い段階で連絡するようにしましょう。
②契約満了の手続きを行う
派遣会社の営業担当が就業先に退職の意向を伝え、派遣先と派遣会社の双方の間で「次回の契約更新はなし」の合意をとり、契約満了の手続きを進めていきます。
契約満了の手続きや就業先への連絡は、基本的に派遣会社の営業担当から行うので、安心してくださいね。なお、就業先の社員の方に退職を伝えるタイミングや範囲は、自分で判断せず、派遣会社や就業先の上司と相談の上、行うようにしましょう。
③引き継ぎをしっかりと行う
最終出勤日などの詳細が決まったら、業務の引き継ぎを進めていきます。引継ぎの方法ですが、後任の方に直接引き継ぐケースもあれば、業務マニュアルにまとめて引継ぐケースもあり、就業先の状況によってさまざま。
そのため、引継ぎを行う「相手」「方法・手段」「期間」「内容」をあらかじめ確認して、計画的に進めると良いでしょう。
※関連記事:『【派遣社員の引き継ぎ】後任への引き継ぎのコツとマニュアル作成ポイント』
④退職
最終出勤日は、引継ぎのやり残しがないか確認し、取引先や関係部署への挨拶も忘れずに。お世話になった方へ感謝の気持ちをしっかり伝え、気持ち良く退職するようにしましょう。
退職後に就業しない方は、自身での社会保険手続きが必要な場合もありますので、注意してくださいね。
退職の際に気になる疑問
派遣社員を辞めるにあたって「本当に辞められるのか」「退職届は必要か」など、不安や疑問はつきものです。正社員・契約社員と派遣社員では雇用形態が異なるため、退職の際に必要なことも違ってきます。ここでは、いくつかの代表的な疑問についてご説明します。
契約期間中でも退職できる?
前述の通り、派遣社員は雇用契約を結んで就業を開始した以上、やむを得ない場合を除いて、一方的な理由で契約の中途解除をすることはできません。万が一、契約を中途解除するとなった場合、派遣先や派遣会社にも大きな影響を与えるほか、信頼関係を失う可能性があるためです。
まずは、期間満了まではしっかりと就業することを前提として、退職について考えるようにしましょう。次回の更新をしない(退職する)ことを決めた場合は、契約更新日の1ヶ月前までに派遣会社の担当者へ申し出てください。
ただし、どうしても「やむを得ない事由」が発生した場合、契約期間中であっても退職することは、法律上可能です。例えば、急な家族の介護や家族の転勤・転居、自身の病気治療・療養などが想定されます。万が一、このような状況が発生した場合は、どのような対応を取るか派遣会社の担当者にすぐに相談にするようにしましょう。
退職届は不要?
正社員の場合、退職するときには退職届を提出するのが一般的です。ですが派遣社員の場合、基本的に退職届は必要ありません。契約期間満了のタイミングで、更新しない旨を派遣会社に伝えれば、退職に関する手続きは派遣会社が行ってくれます。
退職の挨拶は必要?
派遣先の就業環境や状況によっても異なりますが、社会人のマナーとして退職時には、業務でお世話になった人たちへ「退職の挨拶」をするのが一般的。先ほどもご紹介した通り、退職の旨を伝えるタイミングは派遣会社や就業先の上司と相談の上、1~2週間程度前に退職を伝えることが多いようです。
最終出勤日は、朝礼など退職の挨拶を行う場面に備えて、短い挨拶の言葉やスピーチを用意しておくと良いでしょう。挨拶の場がない場合は、夕方頃に直接またはメールで感謝の気持ちを伝えるようにしてくださいね。
なお、お菓子などのお礼の品を渡すのは、あくまで気持ちなので必須ではありませんが、もし用意する場合は個包装のものを選び、お礼の言葉とともに手渡しすると良いでしょう。
※関連記事:『派遣満了時の挨拶のタイミングやマナーって?』
派遣社員が辞めるときの退職理由の伝え方って?
ご紹介してきた通り、派遣のお仕事の退職を考えた時は、派遣の契約満了が近づいたタイミングで、まず雇用元である派遣会社へ相談することが大切です。
派遣会社は派遣社員の退職理由について、就業先へそのまま伝えるわけではありません。話しづらい内容であったとしても、派遣会社には辞めたい理由や事情をできるだけ正直に伝えるようにしましょう。
ここでは、派遣社員が退職を考えたときの事情・理由別に、派遣会社への「退職理由の伝え方」の例をご紹介します。
人間関係の悩みがある、トラブルに巻き込まれてしまった
就業先で人間関係のお悩み・トラブルが発生してしまい、退職を考えるケースもあるようです。
このような場合は、お悩みを一人で抱え込まずに、まずは派遣会社の営業担当へ具体的な内容を相談しましょう。派遣会社は、問題解決のためのアドバイスや就業先企業との調整・交渉など、問題解決に向けて動いてくれるでしょう。早めに相談することで問題が解決し、退職せずに済む場合もあります。
営業担当に直接相談しづらい場合は、専用の相談窓口を設けている派遣会社もあるので、ご自身の登録している派遣会社のサポート窓口を確認してみてくださいね。
※参照元:株式会社パソナ『キャッチ・ザ・ハート』
仕事内容に関する悩みがある
「実際働いてみて思っていたお仕事と違った」「仕事内容が自分のスキルレベルに合わないと感じる」など、お仕事の内容に関するお悩みで、退職を考える方も少なくありません。
例えば、契約で決められている仕事内容と大きく異なる業務を任されている場合は、派遣会社から就業先企業へ改善の打診を行うといったケースもあります。
また、もっとレベルの高い業務に挑戦したいという場合は、次のお仕事案内のときに、ご自身のレベルに合わせてよりハイレベルなお仕事を紹介してもらえる可能性も。
状況によって対応策も変わってきますので、「仕事内容に関してどんな悩みがあるのか」「どうして辞めたいのか」というポイントを伝えながら、派遣会社の営業担当に相談するようにしましょう。
待遇(給与)への不満がある
派遣社員は雇用契約を派遣会社と結んでいるため、待遇面の不満から退職を考えている場合も、まずは派遣会社へ相談すると良いでしょう。
仕事内容や業務レベルを踏まえて、派遣会社が就業先企業との交渉を行い、給与アップが叶う可能性もあります。
また、退職の意思が変わらない場合でも、「お仕事の成果が評価され、待遇にも反映されるお仕事をしたい」といった要望をしっかり伝えておきましょう。派遣会社へ待遇への要望を伝えることで、次のお仕事案内の際の参考にしてもらえるはずですよ。
※関連記事:『知りたい!派遣で時給アップを叶えるための4つのポイント』『派遣の時給ってどれくらい?相場が知りたい!』
将来を見据えてキャリアアップをしたい
将来的なキャリアアップを見据えて退職を考えた場合は、自身の将来設計や今後希望する職種について明確にまとめておき、その旨を派遣会社へ伝えると良いでしょう。
この場合も、一度相談をすることで働き方や現状の業務内容について、検討・交渉してくれる可能性もあります。退職の相談をする前に、派遣会社で実施しているキャリアコンサルティングを受けるのも◎。
※関連記事:『派遣のキャリアコンサルティングでよくある「お悩み相談」って?5つの問題解決策をキャリアコンサルタントがお教えします』
また、将来的に直接雇用(正社員・契約社員)での就業を希望する場合は、紹介予定派遣という働き方も検討してみてくださいね。
※関連記事:『「紹介予定派遣」って何?メリットや特徴から派遣社員・正社員との違いまでご紹介!』
家庭の事情(結婚、転居、家族の介護など)
結婚や妊娠、転居、自身の病気、家族の介護など、やむを得ない家庭の事情で退職を考えるケースもあります。この場合も、退職を考えた時点で、事情を派遣会社へ相談すると良いでしょう。
転居の場合は、現在のお仕事が契約満了となった後、転居先のエリアで新しいお仕事を案内してもらえる可能性もありますよ。
退職を考えたら、まずは派遣会社に相談しよう
今回ご紹介したように、派遣社員の退職の手順は、正社員・契約社員の場合と異なる点が多くあります。
一番の違いは、退職をする旨を最初に「派遣会社の担当者に連絡をすること」。派遣社員の雇用元は派遣会社になりますので、派遣先ではなく「まず派遣会社に相談する」ということを頭に入れておくと良いでしょう。
退職理由は人それぞれですが「辞めたいと思った理由」や「辞める必要があること」を派遣会社に正直に伝えるようにしましょう。派遣会社の担当者に相談することで、退職をしなくても問題が解決するケースもあります。
もし契約満了でお仕事を辞めることになったとしても、担当者と上手く意思疎通が取れていれば、次のお仕事にもつながりやすくなるはず。退職を考えた際は、一人で抱えこまずに相談してみてくださいね。