「マスターエアウェイビル」と「ハウスエアウェイビル」の違いは?
今回は、航空輸送の時に必ず発行される「エアウェイビル」についてご紹介します。貿易担当者が知っておきたい2種類のエアウェイビルの役割や違い、書類の流れなど、基本的な部分を解説していきましょう。
そもそもエアウェイビルって?
エアウェイビル(Air Waybill/AWB)とは、航空輸送の際に、航空会社(または航空貨物代理店)が発行する書類のこと。
簡単に言えば、「誰が(どこから)」「誰に(どこに)」「何を」運んでいるのかが記載された、航空貨物専用の運送状です*。航空輸送貨物は、目的地でこのエアウェイビルに記載されたConsignee[受荷主]に引き渡されます。
*エアウェイビルには、航空会社と荷主との間の貨物の「輸送契約書」としての機能もあります。
航空輸送の手配には、
① 航空会社またはその代理店に直接申し込む方法
② フォワーダー(利用運送事業者/混載業者)に依頼する方法
の2種類があるのですが、一般的に商社や貿易会社は②の方法で航空輸送を手配することが多いです。
というのも、②の方法は、フォワーダーが複数の会社(荷主/輸出者)からの貨物を大口貨物にまとめ、フォワーダー自身が代表荷主となって航空会社または代理店に輸送を依頼するのですが、フォワーダーは航空運賃の規定(安く仕入れる制度)に詳しく、①よりも運送料を抑えられる(可能性が高い)というメリットがあるためです*。
*他にも、フォワーダーに依頼すれば、輸出通関など輸送に関わるさまざまな手続きを引き受けてくれるところもメリットになります。ちなみに、航空利用運送事業を得意としないフォワーダーは、提携先の航空利用運送事業者[混載業者]に荷主から引き受けた航空輸送を依頼することもあるようです。
この②の方法で航空輸送が手配された時に登場するのが、「マスターエアウェイビル」と「ハウスエアウェイビル」です。
「マスターエアウェイビル」と「ハウスエアウェイビル」の違い
では、ここからは図と合わせて説明していきます。
フォワーダー(利用航空運送事業者/混載業者)を利用して航空輸送を行う場合、フォワーダーは、複数の会社(荷主/輸出者)の貨物をまとめて大口貨物に仕立て、代表荷主となります。
その代表荷主であるフォワーダーが、航空会社から発行されるエアウェイビルが「マスターエアウェイビル(Master Air Waybill/MAWB)」です。
その後、フォワーダー自身も、それぞれの輸出者に対する運送人の立場から、それぞれの会社(小口荷主)に対してエアウェイビルを発行します。これを「ハウスエアウェイビル(House Air Waybill/HAWB)」と言います。
これら2つのエアウェイビルは全く同じものではないため、通常エアウェイビルは「マスター」なのか「ハウス」なのか、書面上に記載されています(HAWBと略されて記載されているものもあります)。
ただし、輸出者や輸入者の立場では、受け取ったエアウェイビルが「マスターエアウェイビル」か「ハウスエアウェイビル」のどちらであるかは、あまり大きな問題にはなりません。ですが、フォワーダーの方はしっかりと確認して区別していますので、貿易実務に携わる方はぜひ知っておきましょう。
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