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2017/11/06

「D/P、D/A決済」に潜む、輸出者のリスクを知ろう!

著者: パソナ キャリアコーチ(貿易担当)

「D/P、D/A決済」に潜む、輸出者のリスクを知ろう!

今回は、貿易取引で利用される支払い方法のひとつ、D/P、D/A決済のリスクについてご紹介します。どんな決済方法なのか、基本的な知識は「D/P、D/A決済の仕組みを理解しよう」をご覧ください。

「D/P、D/A決済」の流れを把握しよう!

今回のお題は「D/P、D/A決済の輸出者のリスク」ですが、その前に、ふたつの決済について、簡単に流れをおさらいします。その上で何が輸出者のリスクになるのか、ご自身でも考えてみてくださいね。

■D/P決済(Document Against Payment)

輸出者は商品を送ったあと、貨物の引換券となるB/L等の船積書類と為替手形を、銀行を通して輸入者に送付。輸入者は“手形金額を支払って”書類を受け取る(代金を支払わなければ書類を受け取ることができない)。

■D/A決済(Document Against Acceptance)

輸出者は商品を送ったあと、貨物の引換券となるB/L等の船積書類と支払い期日を記載した為替手形を、銀行を通して輸入者に送付。輸入者は“手形金額を期日までに支払うことを約束して”書類を受け取る(銀行に支払い約束をしなければ書類を受け取ることができない)。

輸出者の立場から見れば、いずれもB/Lという“貨物の引換券”の役割を果たす書類は“輸入者に代金を支払ってもらうための書類”となり、D/P決済のときには輸入者にB/Lを渡すときに商品代金を支払ってもらう、D/A決済のときには輸入者にB/Lを渡すときに商品代金の支払いを約束してもらう、ということがこの決済方法のキモとなります。

簡単にいえば、輸出者と輸入者のあいだで、B/Lと商品代金の交換が行われるということです。(輸入者はB/Lを受け取らなければ貨物を引き取ることができません。B/Lと商品代金は同等の価値があります。)

こうした仕組みから、D/P、D/A決済は、輸出者にとって輸入者に商品を送ったのに商品代金を支払ってもらえない…というリスクが少ないと考えられ、貿易取引では昔から利用されてきました。

輸入者が船積書類を受け取らず、支払いを拒否するというリスクが潜む

しかし、D/P、D/A決済には、輸入者が船積書類の引き取りを拒否し、その代金の支払いも拒否する…というリスクが潜んでいます。

つまり、輸出者がすでに貨物を送ったにもかかわらず、輸入者が突如「申し訳ないけれど、商品はもういらないんです。だからお金も支払いません」あるいは「お金が支払えないので商品もいりません…」となるリスクがあるのです。

もちろん常識的に考えて、売買取引において輸入者が気分でそのようなことをいうことはありません。ですが、輸入国の経済状況(為替相場など)が急激に変化したり、輸入者自身の経営状況が悪化したり、というときに不測の事態が起こる可能性があります。

D/P、D/A決済は、B/Lと商品代金の交換をベースに成り立っている決済方法ですから、輸出者は、輸入者に書類の引き取りを拒否されると商品代金を受け取ることもできなくなるのです。これが、D/P、D/A決済における輸出者のリスクです。

こうした事情から、D/P、D/A決済は、同じ荷為替手形決済でも、輸入地の銀行が輸入者の支払うべき金額を保証する「信用状決済」ほどの安心感はありません。(信用状決済では、たとえ輸入者が倒産したとしても、輸入地銀行が商品代金を支払います。)

貿易の現場では、このような不測の事態が起こることも理解したうえで、D/P、D/A決済を行っている会社もありますし、信用調査をしっかり行い、両者納得の上でこの決済方法を採択している会社もあります。

関連記事:「取引相手先の信用状態を調べる『信用調査』とは?

心配し出すとキリがない…ことではありますが、貿易実務の仕事をされている方、今まさに貿易の勉強をされている方には、D/P、D/A決済には、輸出者にこんなリスクがあるということを知っていただければと思います。

「D/P、D/A決済」に、こんなリスクが潜んでいることをご存じでしたか?「知っていた!」という方も「知らなかった!」という方も、ぜひ頭のスミに入れておいてくださいね!

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