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2016/04/04

「船荷証券(B/L)」と「荷渡し指図書(D/O)」の関係

著者: パソナ キャリアコーチ(貿易担当)

「船荷証券(B/L)」と「荷渡し指図書(D/O)」の関係

今回は、貨物の引換証でもある「船荷証券(B/L/Bill of Lading/ビーエル) 」と、交換時に受け取る「荷渡し指図書(D/O/Delivery Order/ディーオー)」の関係や、それぞれの役割についてにご紹介します。貿易実務に携わる方は、ぜひ仕組みを覚えておいてくださいね。

B/Lと交換に受け取る「荷渡し指図書(D/O)」

B/Lは、輸出地の船会社が発行し、その後、輸出者から輸入者へと渡って、輸入者が貨物を受け取る際の“貨物の引換証”になります。しかし、B/Lと貨物が“直接”交換されるわけではなく、「荷渡し指図書(D/O)」と貨物が引き換えられているのです。
*一般的に、貿易業界では「荷渡し指図書」をD/O(ディー・オー)と略して呼ぶことが多いです。

下図も参考にしながら、輸入者が貨物を引き取るまでの流れを見てみましょう。

B/Lと交換に受け取る「荷渡し指図書(D/O)」

④輸入者から依頼を受けたフォワーダー(Forwarder)が⑤輸入者のB/Lを船会社に提出して⑥D/Oを受け取り、⑦そのD/Oを船会社の倉庫(コンテナヤード/CY、コンテナ・フレイト・ステーション/CFS)などに提示することで、輸入者は⑧貨物を引き取ることが可能になります。つまり、B/Lは“間接的に”貨物の引換証になっているのです。
※D/Oの入手(現場ではD/O交換と呼ぶことも)には、必ずB/Lが必要です。また、B/Lを提示するだけでなく、海上運賃やサーチャージなど諸費用の支払いが必要になります。

D/Oの提示先は貨物の管理場所で異なる

D/Oは、「荷渡し指図書」という日本語名が表している通り、貨物の引き渡し(=荷渡し)を指図する書類です。船会社からD/Oを受け取ったら、次は、船で運ばれた貨物を管理している業者にD/Oを提示して貨物を引き取ります。

貨物の管理場所は、コンテナ船の場合・在来船の場合・その貨物の種類によって異なります。よって、D/Oの提示先も異なります。

コンテナ船の場合

コンテナ船の貨物は、FCL(Full Container Load/エフシーエル)貨物ならコンテナヤード/CY、LCL(Less than Container Load/エルシーエル)貨物ならコンテナ・フレイト・ステーション/CFSと、保税地域に貨物が運ばれるため、CYもしくはCFSのオペレーターにD/Oを提示して貨物を引き取ります。

※関連記事:『「FCL」と「LCL」の違いを説明できますか?

在来船の場合

在来船の貨物は、「総揚げ」と「自家取り」の場合でD/Oの提示先が異なります。

船会社が一括して陸揚げする総揚げの場合は、船内荷駅業者(Lading Agent)に提示し、輸入者の責任で荷揚げする自家取りの場合は、船長に提示して、貨物を引き取ります。

※関連記事:『在来船貨物の流れを理解しよう

 

ここまでB/LとD/Oについてご説明してきましたが、一般的に商社や貿易会社では貨物の引き取りをフォワーダーに依頼するため、貿易事務の業務ではD/Oを取り扱うことはありません。

ですが、貿易に携わる方は、輸入地では船会社がB/LをD/Oに交換しているということ、貨物の引き取りにはD/Oが必要だということはぜひ覚えておきましょう。ご説明した貿易用語が分からないという方は、下記の記事も参考にしてくださいね。

※関連記事:『貿易事務の現場でよく使う!知っておきたい基本の「貿易用語」とその略語

 

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参考サイト:

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