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2018/04/02

「信用状(L/C)」と「売買契約書」の関係を理解しよう!

著者: パソナ キャリアコーチ(貿易担当)

「信用状(L/C)」と「売買契約書」の関係を理解しよう!

信用状(Letter of Credit/L/C/エルシー)」とは、貿易決済になくてはならない書類の一種。これまでもL/Cについてはご紹介してきましたが、今回は“L/C取引で売買契約をするときの注意事項”について、L/Cと売買契約書との関係と、重要となるポイントを解説します。

目次
まずL/Cの役割、L/Cを利用するメリットを理解しよう
輸出入者はL/Cの記載事項を考慮して売買契約を結ぶ必要がある
自社の売買契約書を見直し、L/C取引になった際にも作業しやすくしておこう!

まずL/Cの役割、L/Cを利用するメリットを理解しよう

L/Cを端的に表現するならば、“貿易取引において輸出者(売主)と輸入者(買主)が抱えるリスクを回避し、円滑に取引を進めるために利用されている、銀行が発行する支払い確約書” です。

<それぞれに想定されるリスク>
・輸入者が後払い(貨物を受け取った後で支払う)するケース
→輸出者は、輸入者が確実に支払ってくれるか不安
・輸入者が前払いするケース
→輸入者は、輸出者にきちんと貨物を送ってもらえるのか不安

L/Cを用いて取引すると、輸入地の銀行(L/C発行銀行)が輸入者の支払いを確約する、つまり、たとえ輸入者が商品代金を支払えなくなった場合でも、銀行が代金の保証をしてくれるため、輸出者は安心して商品を輸出できるメリットがあります。

輸入者にとっても、輸出者から確実に希望した商品を受け取ることができる、つまり、輸出者が契約通りの貨物を出荷したと銀行が認めてからの支払いになるというメリットがあります。

輸出者・輸入者ともに、自分たちが抱えるリスクを回避できるのが、L/C取引の最大の特徴。大きなお金やたくさんの貨物が動くことも多い貿易取引において、この特有の取引方法が利用されているのです。

※関連記事:『信用状取引における輸出入者と銀行の関係を理解しよう

輸出入者はL/Cの記載事項を考慮して売買契約を結ぶ必要がある

では、本題であるL/Cと売買契約書との関係と、重要となるポイントについて解説します。
*売買契約書の英名はさまざまな表記がありますが、一般的に輸入者の注文書(Purchase Order)、輸出者の受注書(Sales Contract)のどちらかが用いられ、いずれも双方が署名していれば売買契約書となります

L/Cは、輸出者との売買契約に基づき、輸入者が銀行のL/C開設依頼書を作成し、銀行に発行してもらうもの。“売買契約書の内容が集約されたもの”といっても過言ではありません。

売買契約書は、輸出者と輸入者の二者で交わします。しかし、L/C取引では第三者である銀行がその内容にお墨付きを入れる形になるので、契約内容がしっかりと守られることになるのです。

実際、銀行はL/Cに記載されている内容(書面)の一言一句に非常に厳格で、“輸出者はL/Cに記載された内容通りの船積書類や為替手形を提出し、貨物の出荷を証明しなければ商品代金を回収できない”など、ルールを徹底しています。

仮に売買契約内容を変更しなければならない場合、L/Cを利用しないときは二者間で話し合い、契約書の書面修正で対応できるケースもあります。しかし、L/C取引のときは、契約書だけでなく銀行を介してL/Cの修正も行う必要があるため、手続きに手間がかかるのです。
L/Cの記載内容を修正(アメンド)するには手数料がかかります

つまり、L/Cの元となる売買契約書は、輸出入者双方が後で修正しなくても良いよう、しっかり話し合った内容を記載することが重要なのです。

ではここから、L/Cの記載内容について確認していきましょう。

輸出入者はL/Cの記載事項を考慮して売買契約を結ぶ必要がある

3 L/Cの有効期限
4 L/Cの提示先(受益者の所在国)
5 発行依頼人(Applicant)
6 受益者(Beneficiary)
7 L/Cの通知方法
8 通知銀行
9 L/C金額
10 確認L/Cや譲渡可能L/Cにする要否
11 発行銀行から買取銀行への決済方法
12 受益者が代金を受領するための決済条件(手形条件)
13 分割積みの可否
14 積替えの可否
15 船積港と荷降港
16 船積期限
17 商品の明細
18 貿易条件
19 手形買取に必要な船積書類の種類と通数
20 船積書類の種類以外の手形買取条件
21 その他備考

* 1、2、22〜26は、本記事においては不要なので省略しています

シンプルな売買契約では、輸入者(L/Cの5)、輸出者(6)、商品の明細(17)、インコタームズ(18)、商品代金(9)、荷降港(15*)、納期(16*)の情報だけでも、契約としては成立します。しかしL/C取引では、その他の事項も取り決めておかなければなりません。

*売買契約では、どこに貨物を届けるか(荷降港)について取り決めるのが一般的ですが、輸出者の船積港を記載しないケースがあります。また、通常は荷降港にいつ貨物を届けるか(納期/到着予定)についても取り決められますが、輸出者の船積期限という視点で話し合わないこともあります

つまりは、売買契約時にL/Cの内容を把握した上で話し合っておけば、開設するときにロスがないので、両者ともに取引をスムーズに進めることができます。結果として、お互いの信頼関係の強化にもつながるでしょう。

自社の売買契約書を見直し、L/C取引になった際にも作業しやすくしておこう!

貿易の売買契約書には決まった様式がなく、輸出入者はこれまで会社が使用してきたものを使うことがほとんど。しかし、L/C取引では上記の記載内容を細かく決定する必要があるため、長年使用している契約書以上の情報を得なければならないこともあります。そのような場合には、

・売買契約書自体をアレンジする
・(アレンジが難しい場合)売買契約成立後、メールで相手先に情報を再確認してからL/Cを開設する

といった流れで進めるという方法もあります。取引相手との交渉の現場に行く方なら、L/C取引に必要な情報確認のためのチェックリストを用意するのもオススメです。

今回ご紹介した通り、L/Cの内容修正には手間や費用がかかりますし、スムーズに取り決められた方が輸出入者双方の負担が軽くなります。貿易実務に携わっている方はぜひ、L/Cの記載事項についてしっかりと把握しておきましょう。

 

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参考サイト:

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