【貿易】「船積依頼書(Shipping Instruction)」の役割や記載内容を知ろう
貿易の輸出者ならぜひ知っておきたい「船積依頼書」、別名「シッピングインストラクション(S/I/Shipping Instruction)」。今回は、「シッピングインストラクション」の役割や記載内容をはじめ、B/L(Bill of Lading/ビーエル/船荷証券) との違いについて、分かりやすくご紹介します。
なお、貿易実務の現場では、「船積依頼書」よりも「シッピングインストラクション」という言い方をする方が多いため、ここからは「シッピングインストラクション」に統一して、説明していきます。
「シッピングインストラクション」はB/LやWaybillの元になる書類
貿易取引において、貨物を輸出する際、輸出者はフォワーダー(Forwarder)に通関手続きや船積手続きを依頼します。その際、貨物の内容がわかるインボイス(Invoice/送り状)とパッキングリストとともに、「シッピングインストラクション」を提出することが求められます*。
*一般的に輸出者が作成する書類ですが、輸出者の依頼を受けたフォワーダーが作成することもあります。どちらが作成するかは、輸出を行う会社とフォワーダーの間で取り決められています。
この「シッピングインストラクション」とは、フォワーダーを経由して船会社や航空会社(航空貨物代理店)が発行するB/L(Bill of Lading/ビーエル/船荷証券) やWaybill(貨物運送状/ウェイビル/運送状)に記載される情報のベースとなる書類です。一般に、同名欄がある場合はそのまま記載されます。
信用状取引では、輸入者が申請し、信用状発行銀行が作成した信用状(Letter of Credit/L/C)に記載されている内容通り(信用状条件通り)に正確に記入しないと、輸出者自身も商品代金を受け取ることができません。そのため、作成する際は、間違いがないよう、十分に注意しましょう。
ちなみに、「シッピングインストラクション」に決まった様式(書式)はありませんが、主要項目はほぼ共通しています。実際に何が記載されているのか、主要項目を見ていきましょう。
「シッピングインストラクション」の主要項目
- ① 作成日
- ② 荷送人(Shipper)
- ③ B/LやWaybillに記載する荷受人(Consignee)
- ④着荷通知先(Notify Party)
- ⑤ インボイス番号
- ⑥ 船会社/航空会社名
- ⑦ 船腹予約番号
- ⑧ 船名/航空便名
- ⑨ 船積/出航予定日
- ⑩ 荷受地
- ⑪ 船積港
- ⑫ 荷揚げ港
- ⑬ 荷渡し地
- ⑭ 荷受地への搬入日、運送手段、運送会社
- ⑮ 運賃支払い *Prepaidは輸出者が支払い、Collectは輸入者が支払う
- ⑯ 商品明細 *品目名、数量、重量、荷印、梱包状態(荷姿)など
- ⑰その他の特記事項
- ⑱ 荷送人(Shipper)のサイン
- *上記記入事項の他、フォワーダー名や請求先を記載することもあります
シッピングインストラクションの記載例(信用状取引の場合)
どの記入項目も正確に貨物を輸出する際には必要な重要項目ですが、とりわけ注意すべき項目を2点ご紹介します。
荷受人③と着荷通知先④
信用状取引で用いられる指図式B/Lを作成する際の記載例になります。指図式では、荷受人(Consignee)を「To Order」や「To order of shipper」と記載するため、貨物の運送先がわからないことから、着荷通知先(Notify Party)に輸入者名を記載します*。
*Sea Waybill、Air Waybillは記名式のみのため、Consigneeは輸入者名を記載します。
※関連記事:『B/LのConsignee(荷受人)欄に書かれている「TO ORDER」の意味、 わかりますか?』『貿易の現場でよく耳にする「裏書(Endorsement)」とは?』
運賃支払者⑮は「Prepaid」「Collect」を選択
運賃(Freight)の支払いは、輸出者と輸入者の売買契約時に合意したインコタームズ(貿易条件)によって決まります。輸出者が支払う場合は「Prepaid(前払い)」輸入者が支払う場合は「Collect(後払い)」をチェック、または記入しましょう。
「シッピングインストラクション」とB/Lの記載内容の差異って?
理解を深めるために、ぜひ一度、「シッピングインストラクション」の記載内容と、『「船荷証券(B/L)」の記載内容はじっくり確認!』でご紹介したB/Lの記載を比べてみてください。
B/Lについてご紹介したときは、荷受人や着荷通知先が記名式(荷受人が輸入者名)になっています。そして、「シッピングインストラクション」の記載内容では、指図式B/L(荷受人がTo Order)を依頼する内容になっています。微妙な差異ですが、信用状取引ではこの違いが重要になるため、注意が必要です。
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