用語

2023/10/11

決算書の「△三角」や「▲黒三角」の意味は?マイナス表記の記号や使い方を解説

著者: パソナ キャリアコーチ(経理担当)

決算書の「△三角」って何を意味するの?▲マークの意味や使い方についてご紹介

企業の決算書に記載されている「△(白三角)」「▲(黒三角)」を見たことはあるでしょうか?

経理業務に馴染みのない方や、経理のお仕事を始めたばかりの方は「数字の前に付いている△はどういう意味?」と疑問に思われているかもしれません。また、新聞やニュースなどの株式情報でも「△(上向き白矢印)」や「▼(下向き黒矢印)」が使われることもあります。

今回は、決算書で目にする「△」マークの意味や使い方など、決算書に関する基礎知識を紹介します。

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目次
決算書の三角はマイナス(赤字)を表す
株価の△はプラス、▼はマイナスを表す
Excelで決算書や請求書に△を表記する方法
どうしてマイナスを△で表すようになったの?
そもそも「決算書」って何が書かれた書類?
まずは業務経験を積んで、キャリアアップを目指そう!

決算書の三角はマイナス(赤字)を表す

△(白上向き矢印)記号は、上を向いているためにプラスを連想させやすいのですが、決算書における△は、マイナスを意味します。つまり、下の図は2期連続で営業利益が赤字であるということです。

個別経営成績(数値はイメージです)

売上高 営業利益
 
29年3月期
28年3月期
百万円
45,045,176
44,005,345

5.4
10.6
百万円
45,045,007
44,005,345

△ 4.7
△13.6

白三角「△」と黒三角「▲」に違いはある?

△(白上向き矢印)ではなく、▲(黒上向き矢印)で表されることもあります。
基本的には同じ意味で、明確な違いは定義されていません。日本企業の経営書類では△(白三角)を使うのが一般的とされています。

日本経済団体連合会の貸借対照表のひな型でも、マイナスを示す記号として△が用いられています。

※参考資料:会社法施行規則及び会社計算規則による株式会社の各種書類のひな型(改訂版)|一般社団法人 日本経済団体連合会

白三角「△」が使われている決算書の例

決算書では、△は以下のように使われています。

貸借対照表(数値はイメージです)

資産(百万円) 前年度 当年度
流動資産
現金
受取手形・売掛金
棚卸資産
合計流動資産
 
133,879,187
70,376,567
46,680,990
250,936,744
 
142,981,105
75,213,613
51,222,464
269,417,182
固定資産
有形固定資産
建物・構造物
・建物附属設備
無形固定資産
減価償却累計額
合計固定資産
 
175,957,898
 
70,923,466
4,193,529
△18,947,451
232,127,442
 
184,814,160
 
73,361,196
4,061,359
△16,715,356
245,521,359
その他の資産
のれん
合計その他の資産
 
1,245,050
1,245,050
 
856,080
856,080

丸かっこ「()」でマイナスを表すケースも

欧米企業の決算書では、マイナスを丸かっこ「()」で表すのが一般的です。外資系企業で経理業務を担当する場合は、以下のように丸かっこ「()」表記を用いる可能性が高いでしょう。

欧米企業の貸借対照表(数値はイメージです)

2021 2022
Current Assets
Cash
A/R trade
Inventories
$1,712,950
913,889
480,406
318,655
$1,839,101
976,020
513,425
349,656
Fixed Assets
Property/Plant/Equipment
Intangible Assets
Accumulated Depreciation
$1,100,474
1,201,127
28,626
(129,339)
$1,175,203
1,261,582
27,724
(114,103)

また、欧米企業では決算時期が12月の企業も多く日本企業とは事業年度も異なります。
こうした国際会計基準(IFRS)の知識が求められるお仕事は、近年グローバル化を進めている企業も増えているため、多くなってきています。

国際会計の専門知識はIFRS(国際会計基準)検定を受験し、合格することで国際会計基準の知識と理解力を証明することができます。外資系企業などへの転職を検討中の方はぜひ挑戦してみてください。

株価の△はプラス、▼はマイナスを表す

株価の△はプラス、▼はマイナスを表す

株価の場合、決算書とは反対に上向きの「△」はプラスを意味します。また、掲載される媒体によって記号の塗り方や色が変わることも。ここでは、参考までにご紹介しましょう。

新聞

・プラス:△(上向き白矢印)
・マイナス:▼(下向き黒矢印)

WEBサイト

・プラス:(赤の上向き矢印)
・マイナス:(青の下向き矢印)

決算書と逆の意味なので混同しやすいですが、ぜひ覚えておきましょう。

Excelで決算書や請求書に△を表記する方法

Excelでも「セルの書式設定」から、△表示を選択できます。以下の画像のようにセルの書式設定から設定可能で、()(丸括弧)も選べますので、ぜひ覚えておきましょう。
Excelの書式設定では−(マイナス)も選択できますが、経理業務では基本的に使われません。

セルの書式設定>表示形式>数値>負の数の表示形式

どうしてマイナスを△で表すようになったの?

マイナスの金額を△で表すのは、日本独自のルール。大正時代、税務署の指導でスタートしたとされていますが、その由来には以下のような説が存在します。

  • -(マイナス)は、別の数字などに書き換えられてしまう可能性が高いので、偽造防止のために後から数字を書き換えられにくい△を用いるようになった
  • 数字と区別しやすくするため
  • ギリシャ文字のデルタ(Δ)が由来
  • 微分と同じ「差分」という意味で三角を使っていた
  • △がいつのまにか派生して「マイナス、赤字」の意味になった

そもそも「決算書」って何が書かれた書類?

そもそも「決算書」って何が書かれた書類?

経理としてのお仕事をはじめたばかりの方は、伝票の起票や仕訳処理などの業務がメインとなるため、決算書を見る機会はあまりないかもしれません。

決算書は、株主などの出資者や金融機関、税務署、ステークホルダー(利害関係者)らが、企業の経営成績や財務状態を判断するための材料となる、いわば「会社の通信簿」といった書類。
税務署への開示義務などがあるため、すべての企業で作成が義務付けられています。税法では「決算書」、証券取引法では「財務諸表」、会社法では「計算書類」と呼ばれるのが特徴です。

決算書は、いくつかの書類で構成されており、なかでも「財務三表」と呼ばれる代表的な資料は次の通りです。

財務諸表の種類

貸借対照表(B/S:Balance Sheet)

企業が事業活動を行うにあたり、元手(株主などから集めた資本)がどれくらいあり、資金をどれだけ、何に使ったのかを明らかにするためのもの。「B/S」=バランスシート(Balance Sheet)とも呼ばれています。貸借対照表で「調達したお金(貸方)」と「お金の使い道(借方)」のバランスを見ることで、企業の財務状況や経営状況の安定度がはかれます。

損益計算書(Profit and Loss statement)

「P/L」と表記されることもある損益計算書は、企業の1年間の利益を表したもの。決算日など、ある時点における「収益(売上)」から、その収益を得るために使った「費用(原価)」を差し引き、その期間中にどれだけの儲け(利益)が出たのかをまとめた資料です。

多くの場合、損益計算書に記される期間は1年間ですが、決算日の変更や合併などがあった場合は、1年未満で損益計算書を作成することもあります。

キャッシュフロー計算書(C/F)

キャッシュフロー計算書は、会計期間中の現金の流れをまとめ、収入と支出を管理するための資料です。キャッシュフロー計算書には、「期首と期末の現金を比較することで、期中のお金の動きを読み取ることができる」という特徴があります。

まずは業務経験を積んで、キャリアアップを目指そう!

決算書に「△」という表記が使われるようになった由来は諸説ありますが、経理のお仕事をするうえで、「△=マイナスを意味する」というのは、経理の基礎知識です。今回紹介した内容は、ぜひ覚えておいてくださいね。

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参考サイト

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