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2023/04/21

インコタームズ(貿易条件)「DAT」「DAP」「DDP」3つの規則や違いを解説

著者: パソナ キャリアコーチ(貿易担当)

インコタームズ(貿易条件)「DAT」「DAP」「DDP」3つの規則を解説

インコタームズ(貿易条件)の中には「DAT」「DAP」「DDP」という3つの規則があります。
それぞれ輸入国側の指定場所(ターミナル)に引き渡した時点で費用、危険の負担が移転する、輸出者の負担範囲が条件ですので、しっかり覚えておきましょう。

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目次
インコタームズとは?
「DAT」「DAP」「DDP」ってどんな貿易条件?
DAT(ターミナル持込渡し)/Delivery at Terminalとは?
DAP(仕向地持込渡し)/Delivery at Placeとは?
DDP(関税込み持込渡し)/Delivery Duty Paidとは?
「DAT」「DAP」「DDP」で契約する際のポイント
まとめ

インコタームズとは?

「DAT」「DAP」「DDP」の解説の前に、まずはこれら3つが含まれるインコタームズ(貿易条件)を理解する必要があります。インコタームズ(International Commercial Terms)とは、世界で最も利用されている貿易取引の国際規則 のこと。国際商業会議所(ICC)によって定義されています。

2019年には10年ぶりの改定となる「インコタームズ2020」が発表され、2020年1月1日より発効されました。

インコタームズは貿易取引に関する国際規則

インコタームズでは、3つの条件を売主(輸出者)と買主(輸入者)の間でどのように取り決めるか定義しています。

1.費用負担の範囲

貿易取引では、商品代金だけでなく運送料や保険慮料、関税などのさまざまな費用が発生します。それを売主(輸出者)と買主(輸入者)のどちらが負担するのかを取り決めます。

2.貨物の引き渡し時期の分岐点

貨物をどこで引き渡すのか取り決めます。

3.危険負担の範囲

貨物の危険負担がいつ売主(輸出者)から買主(輸入者)へ移行するのか取り決めます。

インコタームズの分類条件

インコタームズ2020では、次に紹介する4つの大分類 と、それに基づく11の規則 があります。4つの大分類は次の通りです。

・E型
売主(輸出者)が指定した自社の工場・倉庫などで、商品を受け渡す条件

・F型
売主(輸出者)が輸出地のターミナルなど、買主(輸入者)が指定する運送人までの費用・リスクを負担する条件

・C型
売主(輸出者)が輸出地の港までの費用・リスクを負担。それ以降は買主(輸入者)が負担する条件

・D型
売主(輸出者)が引き渡し場所までの費用・リスクを負担する条件

「DAT」「DAP」「DDP」ってどんな貿易条件?

それでは、売主(輸出者)が引き渡し場所までの費用・リスクを負担するD型における3つの規則「DAT」「DAP」「DDP」について、規定する「危険負担」と「費用負担」の分岐点を見ていきましょう。

「DAT」「DAP」「DDP」ってどんな貿易条件?

DAT(ターミナル持込渡し)/Delivery at Terminalとは?

DATは、輸入港、または輸入国におけるターミナル(埠頭、港湾地区の倉庫、コンテナヤード、鉄道の駅など)において、到着した輸送手段(船や飛行機など)から荷下ろしした商品を買主(輸入者)に引き渡した時点で危険、費用負担が移転する規則です。

*荷下ろしの危険、費用負担は、売主(輸出者)にあります。

DAT(ターミナル持込渡し)/Delivery at Terminalとは?

DAP(仕向地持込渡し)/Delivery at Placeとは?

DAPは、輸入港、または輸入国におけるターミナル(埠頭、港湾地区の倉庫、コンテナヤード、鉄道の駅など)において、輸入通関前の輸送手段(船や飛行機、トラックなど)の上で荷下ろしの準備ができた状態で買主(輸入者)に引き渡し、その時点で危険、費用負担が移転する規則です。

*荷下ろしの危険、費用負担は、買主(輸入者)にあります。

DAPは、港や空港のターミナルに荷下ろしした商品を、さらにほかの場所へ輸送して、仕分けするような場合に適しています。「指定仕向地」には配送センターなどが使われます。

DAP(仕向地持込渡し)/Delivery at Placeとは?

DDP(関税込み持込渡し)/Delivery Duty Paidとは?

DDPは輸入国側の「指定仕向地」で、輸入通関後に危険と費用負担が移転する規則です。輸入通関手続きに必要な費用や関税、その他税金、輸送中の商品ダメージなども売主(輸出者)負担になります。

インコタームズの11規則の中で、DDPは売主の負担が最大で、買主(輸入者)の負担が最小の規則。売主が輸入国内での通関費用、輸送費用を負担する規則は、この条件だけです。ただ、もし売主(輸出者)がフォワーダーを通しても、輸入国で許認可取得や通関許可を取得できないような場合は、DDPを避けてDAPを使用する方がいいでしょう。

DDPとよく比較されるDDU (Delivered Duty Unpaid)は、仕向地持ち込み渡し(関税抜き)条件と呼ばれ、買主(輸入者)が関税を支払います。インコタームズ2000の条件でしたが2010年版に更新されて、DAPへ統合 されています。

DDP(関税込み持込渡し)/Delivery Duty Paidとは?

余談ですが、DDPは、FedEx、DHL、UPSなど、ドアツードアの配達を行うクーリエを利用して、少量の商品やサンプルを発送するときにも使用されています。
*関税は買主(輸入者)が払う場合はDAPを使用。

「DAT」「DAP」「DDP」の契約する際のポイント

DAT、DAP、DDPで契約する際のポイントを紹介します。それぞれの違いを整理しておきましょう。

関税の負担

ひとつめのポイントは「買主(輸入者)の国での関税を誰が負担するのか」ということです。買主(輸入者)が関税を負担するならDAT、またはDAPでの契約になります。この場合、輸入地での通関業務や関税の支払いは、すべて買主(輸入者)負担となります。

対して、関税を含めた商品の輸送に関するすべての費用を売主(輸入者)が負担するならDDPの契約に。DDPは、インコタームズの中で売主(輸出者)の費用負担や責任範囲が最も広いのが特徴です。

製品の積み込みと積み下ろし

商品をどこで買主(輸入者)に引き渡すか、すなわち輸送リスクが移転する場所も重要なポイントです。なぜなら輸送で事故が起きやすいのは、荷下ろし時だからです。
DAP、DDPの場合は、指定地における荷下ろし作業時のリスクは買主(輸入者)が負担します。DATだけは、荷下ろし作業時のリスクは売主(輸出者)が責任を負います。

まとめ

インコタームズには4つの分類があり、D型にはDAP、DAT、DDPという3つの規則があります。それぞれ危険負担と費用負担の分岐点が異なるため、違いをきちんと理解することが必要です。貿易事務のお仕事をする上でも欠かせない基礎知識のひとつなので、しっかり覚えておきましょう。

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