「保税蔵置場」で行うことのできる作業とは?
貿易の際、輸出入する貨物が必ずお世話になる場所といえば「保税蔵置場」。今回は、ここで行える作業についてご紹介します。
最近の貿易取引では、保税蔵置場をはじめ保税地域を活用する機会が増えているようですので、貿易に携わる方は知識を深めておきましょう。
「保税蔵置場」はすべての輸出入貨物が通過する場所
保税蔵置場で行える作業についてお話する前に、保税蔵置場についてのおさらいから始めましょう。
保税蔵置場は、国際貨物船や空港の近くに設置されている特別地域で、外国から輸入された貨物や、これから外国へと輸出される貨物が蔵置されている場所です。
保税蔵置場には、フォワーダー(Forwarder)など港湾地区で海運貨物を取り扱う業者(海貨業者)や航空貨物代理店の営業所や倉庫、作業所(上屋=うわや)もあります。
輸出者や輸入者がフォワーダーを通して行う輸出入申告は、この保税蔵置場に貨物が搬入されてから行うのが原則となっており、すべての輸出入貨物が通過する場所でもあります。
基本的に輸出貨物・輸入貨物は、一度保税蔵置場に搬入されるとその後自由に作業することはできないのですが、一定条件を満たすことで簡単な作業を行うことができるようになります。
*作業は通常、フォワーダーや航空貨物代理店の作業所で行われます
税関への届け出、税関長の許可のもとで行うことができる7つの作業
保税蔵置場で行うことのできる作業は関税法基本通達で記載されており、全部で7つあります。
保税蔵置場でどんな作業が認められるかについての最終判断は、税関の関税法基本通達の解釈にもよるため、作業を行う必要がある場合は個別にフォワーダーや税関に確認が必要になります。そこで、ここでは関税法基本通達の記載内容をご紹介します。
内容の点検
貨物を開披して、その内容品の品質もしくは数量の点検、またはその機能について簡単な点検を行うこと。
改装
包装を改める行為を言い、一部積戻しのための分割包装等を含む。
仕分け
貨物を記号、番号別、荷主、仕向地別またはその名称等級別等に分類、選別すること。
その他の手入れ
貨物の記号、番号の刷換え、その他貨物の現状を維持するために行う、さびみがきなど(関税法第71条に抵触する原産地表示および第69条の11に抵触する商標を抹消する行為等含む)。
見本の展示
注文の取集め等のため、蔵置貨物の一部を一般の閲覧に供すること。
簡単な加工
単純な工程によるもので、加工後において加工前の状態が判明できる程度のもの。
その他これらに類する行為
輸出しようとする貨物の内容の破損部分または不良品をこれと同種の完全品と交換すること等(関税法第69条の2に抵触する商標の抹消行為を含む)。
以上の7つの作業のうち、「内容の点検」「改装」「仕分け」「その他の手入れ」については、税関の保税取締部門へ届け出を出すことで作業を行うことができ、「見本の展示」「簡単な加工」「その他これらに類する行為」については、税関長の許可が必要となります。
一般的には7つの作業はすべて済ませてから保税蔵置場へ搬入することが望ましいのですが、輸出者・輸入者の立場で貿易実務をしていると、時に作業が必要だと判断する場面が訪れることもあります。
そんなときは、まずフォワーダーへ問い合わせるのがオススメ。保税蔵置場で貨物を取り扱うフォワーダーはこれまでの経験も交えて、相談にのってくれるでしょう。
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