「信用状(L/C)」の内容に問題があったときはどうするの?
今回は、「L/C(Letter of Credit/エルシー/信用状)」の条件に変更があった場合の手順についてご紹介いたします。
本来、輸出者も輸入者も、条件変更をせずに取引が完了することを望んでいますが、貿易にはハプニングがつきもので、変更せざるを得ないこともあります。そんなとき、慌てずに対応できるよう流れを理解しておきましょう。
「信用状(L/C)」の内容に問題を見つけたらすること
L/Cは、輸入者が自身の取引銀行に発行を依頼し、輸入地の通知銀行を経由して輸出者に送られるものです。L/Cを受け取った輸出者がチェックする内容に不備があった、また、変更しなければならない場合の対応について、さっそくご説明しましょう。
輸出者は、L/Cに記載されている内容(L/C条件)をチェックした結果、輸入者と交わした契約内容と違っていたり、無理な条件を発見したりしたときは、すぐに輸入者にL/C条件を変更(アメンド*)してもらわなければなりません。
*「変更」は英語で「Amendment」であるため、貿易業界では「変更」を「アメンド」と呼ぶことがあります
また、輸出地のハリケーンや台風などの天候の悪化、製造工場の従業員のストライキなど、契約時には予期しなかった状況の変化で、発行されたL/C条件のままでは履行できなくなった場合も、輸出者から輸入者に信用状条件の変更を願い出ます。
では実際に、輸出者が輸入者に条件変更を依頼する手順を下の図でご覧ください。
さて、この図の流れに見覚えはありませんか?
L/C発行の流れと、ほとんど同じであることに気づきましたでしょうか。L/C条件の変更も、輸入者から輸入地、輸出地と2つの銀行を経由して輸出者へと通知書が届けられます。
つまり条件変更は、輸出者(受益者)、輸入者(申請者)、開設銀行、通知銀行という4当事者すべての同意があって初めて可能になるのです。
ちなみに少し実務的な話になりますが、L/Cの条件変更は開設銀行の手数料が発生します。ですから、輸出者の都合での変更する場合、輸入者は輸出者にその手数料を負担してもらうよう要求することがありますし、その逆のパターンもあります。
そのような交渉も含め、変更手続きは時間と手間がかかります。しかし、すべての当事者が同意している変更なので、変更後のL/Cも通常のL/Cと同じ扱いになり、輸出者・輸入者双方がL/Cを使用するメリットを失わずに取引できるのです。
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