欧米のコミュニケーションスタイルは日本と何が違う?
貿易事務には、海外の方のコミュニケーションスタイルを理解し、対応していく姿勢が求められます。今回は、日本特有のコミュニケーションスタイルについて、欧米と比較しながらご紹介します。
日本には世界的に特殊なコミュニケーションスタイルがある
欧米型の特徴をお話する前に、まずは、一般的に言われている日本のコミュニケーションスタイルをご紹介しましょう。
・結論は後にまわし、説明(理由)を前に持ってくる
・遠回しで曖昧(婉曲的)な表現を好む
・衝突や対立を避けるため、意見の違いを表明することに抵抗を持つ
・聞き手に言葉以外の意味を察する能力を求める
こちらを読まれて「自分はちょっと違うかな…」と思われた方もきっといらっしゃるでしょう。
しかし、「空気を読む・読まない」という言葉に代表されるように、日本では相手の行動や言葉から察する能力を求める傾向があり、言い換えれば、話し手がダイレクトな表現をしないという特徴があります。
これは、日本が海に囲まれた島国であること、また、長い歴史においてほぼ単一民族で社会が形成されていることが大きな要因だと考えられています。こうした背景を持つ国は世界的に珍しいため、日本のコミュニケーションスタイルは他ではあまり見られず特殊だと言われています。
また、日本語には、主語・主体がなく曖昧なままでも話せる言葉という特徴があり、「私は~」「それが~」「誰が~」と言わずとも、お互い自然と察し合っています。この互いに察し合う姿勢が、日本特有といわれるコミュニケーションスタイルを育てたのか、それともこのスタイルが日本語を形作ったのかは不明です。
しかし、いずれにしても主語・主体を明確にさせる英語とは大きく異なりますので、おのずとコミュニケーションの取り方にも影響があるとされています。
欧米では論理性、客観性が求められる
英語圏をはじめ、ヨーロッパの言語(ラテン語)圏でのコミュニケーションスタイルは、先ほどお話した日本の特徴である4点を反対に考えると、その傾向が見えてきます。
・結論を先に話し、理由(説明)は後にまわす
・ロジカルでダイレクトな表現を好む
・意見の違いを明確にし、話し合う(討論する)
・聞き手に言葉(文脈)そのもので理解を求める
上記のようなコミュニケーションスタイルは、中国をはじめ、他地域にも共通しています。とりわけビジネスの取引においては、そのやりとりに論理性や客観性のある発言、コミュニケーションが必須。
欧米では、相手の気持ちを推し量ったりすることは少なく、「言わないとわからない」のが前提。そして、貿易の現場はほぼ英語でやりとりされ、国際的なビジネスの現場でも英語でのコミュニケーションスタイルを理解して対応することが大切です。
日本でもビジネスを行う上では論理的な表現が求められ、日常生活でのコミュニケーションよりはずっと欧米的な表現をすることも増えています。それでも日本に住んでいれば「察し合う」スタイルに慣れ親しんでいますし、バチッと欧米型へ切り替えるのはなかなか難しいこと。
もちろん、海外の取引相手も、彼らなりに日本のコミュニケーションスタイルを理解しようとしているでしょうし、おたがい歩み寄ることができれば一番です。
しかし先ほども述べたように、国際ビジネスの現場は基本的に英語です。よって、私たちがその欧米型のコミュニケーションスタイルを理解し、対応していく姿勢が求められているのです。
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