タンカー、バルカーって何?コンテナ船以外の貨物船の種類
現在貿易取引で使われる船のうち、一番よく使用されているのはコンテナ船ですが、今回は、それ以外の貿易船(タンカー、バルカー、専用船)の種類をご紹介します。
※ちなみに、上の写真はLNG船と呼ばれる専用船です。
外観を見ただけではわからない、船内に特徴のある貨物船
これから紹介する貨物船は、輸送する貨物の特徴に合わせて開発され、より輸送しやすいように、積み卸ししやすいようにと発展してきた専用船。
外観には特別特徴のない船もありますが、船内にはその船特有の仕組みがあるので、今日は船の断面図と合わせてご紹介します。
タンカー
タンカーとは、液体を輸送するためにタンク構造の船倉を持つ船のこと。様々な種類がありますが、ここでは代表的なものを3つほどご紹介しましょう。
原油タンカー(石油タンカー)
その名のとおり、原油(精製前の石油)を運ぶ専用船。
甲板上にはパイプラインが通っていて、船倉のタンク(複数の区画に仕切られている)にスムーズに原油を出し入れできるようになっています。また、万が一の事故に備え、側面や底面は二重構造になっています。
ちなみに、原油タンカーは輸送効率を高くするため大型の船も多く、VLCCと呼ばれる大型タンカーは一度に20〜30万トン以上の原油を輸送することができます。
ケミカルタンカー
プラスチックの原料となる石油化学品・硫酸など、液状の化学品を運ぶ専用船です。
原油タンカーに似た構造ですが、さまざまな化学品を積むため一般的にタンクは小さめで、その数が多いのが特徴です。
また、タンクごとに独立してポンプなどが設置されていたり、タンク自体も化学品による腐食を防ぐためにステンレスを用いたり、特殊なコーティングが施されたりと工夫されています。
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LNGタンカー
LNG(液化天然ガス)タンカーは、天然ガスをマイナス162℃に冷却し液化したLNGを運ぶ専用船。
タンクには超低温を保てるよう特殊な材質が用いられ、断熱構造も非常に優れています。
温度管理装置はもちろん、万が一の事故などに対応できるよう、先端技術を駆使した装置が備えられています。
自動車専用船
自動車、バス、トラックなどを輸送する専用船。
船倉は何層ものデッキにわかれていて、バスなどの大型車両を積むためのデッキは、車高に合わせて上下させることができる船もあります。
例えるなら、ショッピングモールの横に設けられた駐車場(パーキングビル)のような構造をしています。貨物である自動車は、専門ドライバーが運転して積み降ろしします。
木材専用船
木材を輸送するための専用船は、船倉内だけでなく甲板上にも積まれて運ばれることが多いです。
木材専用船には、甲板に積んで木材をしっかり固定できるよう船の両端に支柱が建てられ、ワイヤーなどの固定器具も備わっています。
ちなみに、多くの木材専用船はクレーンを装備。これは、木材を積み込む場所が積み込むための設備がない場所が多く、一般的にいかだで沖合に運ばれた木材をクレーンで積み取る必要があるからだそうです。
バルカー(ばら積み船)
バルカーは、鉄鉱石や石炭などの鉱産物、とうもろこしや小麦などの穀物、ウッドチップなど 、梱包されていない“ばら積み貨物”を輸送するための専用船。船内は下図のようになっており、青色の船倉部分に貨物を入れて輸送します。
一般的に、バルカーは海上輸送中に貨物が動きにくく、かつ偏らないようにする目的で、船倉上部にトップサイドタンクと呼ばれる三角形のバラストタンク(海水が入っているタンク)が設置されていることも特徴のひとつ。
他の船にも底部にはバラストタンクが設置されていますが、流動性が高い貨物を運ぶことの多いバルカーには、トップサイドタンクが設置されているのです。
ちなみに、バルカーとひとくちに言っても、鉄鉱石の輸送に使われる船、穀物の輸送に使われる船ではそれぞれ仕様が少しずつ異なります。
例えば、鉄鉱石など重いものは船倉を狭くして、高く積み上げられる構造になっています。
それぞれの貨物にあわせて、搬出入などの作業がしやすいよう船自体に工夫が凝らされている専用船があるということも、ぜひ知っておいてくださいね。
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