「三国間貿易」でのインボイス(送り状)作成で気をつけるポイントは?
貿易自由化という時代背景もあり、さまざまな企業が行うようになった「三国間(さんごくかん)貿易」。二者間で貿易取引を行う場合とのインボイス(Invoice/送り状)作成時の違いなど、三国間貿易を行う際の書類作成のポイントについて詳しくご紹介します。
なお、三国間貿易の仕組みや三国間貿易の注意点について先にお読みいただくと、理解がいっそう深まりますよ。
輸出者と仲介者が作成するインボイスの相違点
まずは三国間貿易の仲介者であるA社(商品の売主)、輸出者のB社(商品の荷送人)、買主のC社(商品の荷受人・輸入者)を例に、「三国間貿易」の書類の記載内容について見ていきましょう。
「三国間貿易」では、2つのインボイス(X)(Y)が流通します。
二者間で取引する場合は、輸出者(Shipper)と売主(Seller)、そして輸入者(Consignee)と買主(Buyer)が一致するのですが、「三国間貿易」では、それぞれの立場によって売主や買主が変わってくるため、インボイスの記載内容も(X)と(Y) では異なります。
具体的に言えば、輸出者B社が作成するインボイス(X)は以下のようになりますが、
・輸出者(Shipper)…B社(自社)
・売主(Seller)…B社(自社)
・輸入者(Consignee)…C社
・買主(Buyer)…A社
仲介者A社が作成するインボイス(Y)では、売主と買主が変わるのです。
・輸出者(Shipper)…B社
・売主(Seller)…A社(自社)
・輸入者(Consignee)…C社
・買主(Buyer)…C社
*輸出者(商品の荷送人)と輸入者(商品の荷受人)は変わりません。
「三国間貿易」のインボイスでは買主と売主の欄を作成し記載する
明細書、納品書、請求書の役割を兼ね備えたインボイスには、輸出者と輸入者を記載します。二者間で貿易取引を行う場合はそれでこと足りるのですが、「三国間貿易」では下図のように、売主(Seller)と買主(Buyer)の欄を設けて、三者それぞれの立ち位置を明確に記載しなければなりません。
インボイスに記載されている情報は、それぞれの国の通関もチェックしており、その他の船積書類とつじつまが合っているかなども確認しています。
その際、インボイスに記載されている三者の関係性が不明確だと、税関からいろいろと質問を受けることになり、通関が長引いてしまうこともあります。そのため、インボイスを作成する際は、細心の注意を払いましょう。
また、通常は輸入者C社の国の税関は仲介者A社からのインボイス1枚を提出すれば良いのですが、場合によっては仲介者A社と輸出者B社のインボイス提出を求められることもあります。その際はC社に見られないことを条件に、C社のフォワーダーに書類を送るなどして税関へ提出しましょう。
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