派遣とアルバイトの違いとは?メリット・デメリットや掛け持ちについて解説
働き方の多様化や自分のライフスタイルに合わせた働き方を考えると、派遣で働く方が良いのかアルバイトで働く方が良いのかという選択肢で悩むこともあるかもしれません。それぞれの違いやメリット・デメリットを解説しつつ、さらに派遣とアルバイトの掛け持ちは可能なのかについても解説します。それぞれのパターンにおける知識を深め、自分にはどのような働き方が合っているのかを見つけ出すヒントにしてみてください。
派遣とアルバイトの違い
まずは、派遣とアルバイト、それぞれの違いを見ていきましょう。具体的には「雇用形態」「雇用期間」「給与」が異なります。
雇用形態
派遣は、派遣会社と雇用契約を結び、就業先で勤務する働き方です。雇用元は派遣会社となりますが、業務指示は就業先が出します。一方、アルバイトは自身が希望する就業先で面接を受けて、採用されたら直接雇用契約を結びます。業務指示や給与なども就業先から受ける働き方です。
雇用期間
派遣は、労働者派遣法によって雇用期間が定められており、就業先の同一の事業所で勤務できる期間は、原則3年までです。しかし、アルバイトは雇用期間について制限がありません。期間を設けていないお仕事もあれば、1日限定や夏休みの間だけといったような短期間でのお仕事もあります。
給与
派遣は雇用元の派遣会社からお給料が支払われ、派遣会社の福利厚生を利用します。一方アルバイトは、就業先から支払われます。
なお、派遣とアルバイトの違いをもっと詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
※関連記事:派遣とアルバイトの違いとは?働き方・給与の違い、それぞれのメリットとデメリットを紹介 | みんなの仕事Lab-シゴ・ラボ-
派遣とアルバイトのメリット・デメリット
それでは、派遣とアルバイトには、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。表にまとめてご紹介します。
メリット | デメリット | |
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派 遣 |
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ア ル バ イ ト |
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派遣とアルバイトのメリット・デメリットについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
※関連記事:今さら聞けない!?働き方ごとのメリット・デメリットを知っておこう | みんなの仕事Lab-シゴ・ラボ-
派遣とアルバイトの掛け持ちは可能?
派遣とアルバイトどちらのメリットも捨てがたく、「両立させたい」と考える方もいるかもしれません。派遣とアルバイトの掛け持ちは可能なのか、ここで詳しく見ていきましょう。
派遣は仕事の掛け持ちが可能
厚生労働省が公開している「副業・兼業の促進に関するガイドライン」には「副業・兼業が自社での業務に支障をもたらすものかどうかを今一度精査したうえで、そのような事情がなければ、労働時間以外の時間については、労働者の希望に応じて、原則、副業・兼業を認める方向で検討することが求められる」と記載されています。そのため、近年は多くの企業で掛け持ちが認められるようになっています。
なお、労働基準法三十八条には「労働時間は事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」と記載されており、働く場所が異なっても労働時間は基本的に1日8時間となります。たとえば、「事業所Aに4時間勤務し、その後事業所Bで5時間勤務した場合」は、時間的に後から労働契約を締結している事業所Bで法定時間外労働が1時間発生します。
ただし、法的に問題はなくとも、掛け持ちによるパフォーマンス低下の恐れがあることなどから、派遣会社が就業規則で副業を禁止していることもあります。そのため、掛け持ちでお仕事をする際は、あらかじめ派遣会社の規則を確認しておきましょう。
掛け持ちのメリット
派遣とアルバイトを掛け持ちすることで、さまざまなメリットがあります。
収入の増加
お仕事を掛け持ちすると、収入源が増えるため収入の増加が見込めます。また、週の前半は昼間に働き、週の後半は夜間に働くというように、昼と夜でシフトを調整して働くことも可能です。ただし、シフトを組む際は自身の体調などを考慮しましょう。無理なシフトを組んでしまうと、お仕事に支障が出てしまう恐れがあります。
お仕事の経験機会の増加
掛け持ちは、さまざまな知識・スキルを身に付ける機会にもなります。それぞれが全く別の職種であれば、多くの経験が積めるでしょう。複数の仕事を同時期に経験できるため、「ひとつの仕事だと飽きてしまう」という方にはおススメの働き方と言えます。
なお、休みの日や予定が入っていない日、業務の種類によってはちょっとした空き時間などに働くことで、時間を有効活用することも可能です。掛け持ちによって気分転換や気分の切り替えができるため、「基本は派遣社員として働き、気分転換で短期のアルバイトをする」という働き方も検討すると良いでしょう。
掛け持ちのデメリット
一方、派遣とアルバイトの掛け持ちには、以下のようなデメリットも存在します。
体調や仕事の管理を徹底する必要がある
お仕事を掛け持ちすると、その分スケジュールの管理が難しくなります。副業・兼業に精を出すあまり本業がおろそかになってはいけません。仕事が被らないように常に調整する必要があります。
また、お仕事を両立させるため、プライベートの時間は削られていきます。無理をして疲れてしまうと、けがや事故につながる恐れもあります。体力やスケジュール管理に不安がある方には、あまりおススメできない働き方と言えるでしょう。
確定申告を行う必要もある
基本的に、年末調整は派遣会社が行いますが、掛け持ちをしている場合は自身で行わなければなりません。派遣会社で雇用保険に加入し年末調整をしてもらい、もうひとつの会社の分は自分で行います。就業先で源泉徴収票をもらい、確定申告を行います。
なお、国税庁は、「2か所以上から給与の支払を受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人」は、確定申告が必要だとしています。そのため、アルバイトの収入が20万円を超える場合は、自分で確定申告をしなければなりません。
派遣とアルバイトの掛け持ちの注意点
派遣とアルバイトを掛け持ちする際は、さまざまな点に注意が必要です。雇用保険や年末調整といった作業が発生することはもちろん、掛け持ちする職業の種類も気を付けましょう。
同業他社との掛け持ちは避ける
派遣会社の就業規則で禁止されていない限り、派遣とアルバイトの掛け持ちは問題ありません。ただし、同業他社との掛け持ちは避けましょう。企業にとって自社技術や商品開発の内容、決定事項など社内秘密情報が競合企業に漏えいすることは、絶対に避けたい事態です。漏えいしてしまうと、場合によっては、多額の損害に発展する恐れもあります。そのため、競合他社と掛け持ちをしていることが明らかになれば、トラブルに発展してしまうかもしれません。
このようなトラブルを避けるためにも、「競業避止義務」と「秘密保持義務」を徹底しましょう。競業避止義務とは、競合にある同業他社へ転職しないという義務のことです。一般的に、自社の利益を侵害するような副業・兼業は認められていません。また、秘密保持義務とは、業務上知り得る情報を外部に漏らしてはいけない義務のことです。たとえば、事業所Aで得た顧客情報を事業所Bでの業務に利用する、といった行為は秘密保持義務違反として副業・兼業の禁止または制限などを受けることとなります。派遣会社によっては、秘密保持研修を行っていることもあります。
雇用保険はメインの派遣会社で加入
雇用保険は、厚生労働省が管掌している制度です。「1週間の所定労働時間が20時間以上であること」「31日以上の雇用見込みがあること」といった条件を満たしている場合は強制的に加入することとなっています。これは、派遣とアルバイトを掛け持ちしていても同様です。
なお、雇用保険の加入は1社のみとされています。そのため、生活に必要な分の収入を得ているメインの派遣会社で加入するのが一般的です。
年末調整は自分で行う
派遣会社によっては年末調整を行わないケースもあるため、その場合は派遣会社から源泉徴収票をもらって、自分で確定申告を行います。確定申告には「給与所得の源泉徴収票」や「収支内訳書」「副業の収入を証明する書類」などが必要です。難しく感じてしまうかもしれませんが、インターネットで入力する場合は見本が表示されており、税額が自動で計算されるため簡単に行えます。ほかにも、郵送や税務署に直接持っていくという選択肢もあるので、税金の未納を防ぐためにも、しっかりと確定申告を行いましょう。
まとめ
派遣とアルバイトにはそれぞれ違いや特徴があり、自分のライフスタイルやキャリアプランに合わせてどちらを選ぶのが良いのか検討する必要があります。また、収入アップや幅広い仕事の経験を積むために掛け持ちという選択肢もありますが、その場合には就業規則や時間・体力面を注意深く見て検討する必要があります。派遣やアルバイトの知識や理解を深めることで、自分に合った働き方を見つけてみてください。
参考サイト: