年5日の有給休暇取得が法律で義務化!派遣社員が上手に有給休暇を消化するための方法とは?

年次有給休暇は一定の条件を満たせば雇用形態を問わず付与されるものです。もちろん、派遣社員の方も年次有給休暇を取得することができます。
ですが、「就業先が変わったら年次有給休暇はなくなってしまうの?」「どこに申請すれば良いの?」「半休(半日休暇)は取得できるの?」など、派遣の年次有給休暇についての不明点をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、派遣社員が年次有給休暇を取得する際の条件や申請方法、注意点などについて詳しくご紹介します。
※関連記事:『派遣社員の手取りはいくら!?給料の計算方法と注意点とは 』
- 目次
- 派遣社員の年次有給休暇の取得条件って?
- 年5日の年次有給休暇取得が義務化されたって本当?
- 年次有給休暇の申請方法って?
- 年次有給休暇をスムーズに取得するための3つの注意点
- 就業先を辞める前にまとめて年次有給休暇を取得する場合の4つの注意点
- 計画的な年次有給休暇の消化を心がけよう
派遣社員の年次有給休暇の取得条件って?
年次有給休暇とは、働く人の心身の疲労回復を目的とした「賃金が発生する休暇」のことです。
労働基準法によると、労働者は次の2つの条件を満たせば、年次有給休暇を取得することができると定められています。
年次有給休暇が付与される要件
①雇入れの日から6ヶ月間継続勤務している
②全労働日の8割以上勤務している
この法律は、正社員や派遣社員、パートなどすべての雇用形態の人に適用されます。
年次有給休暇の付与日数
年次有給休暇は雇用元から付与されるため、派遣社員の場合、勤務開始から6ヶ月間の継続勤務をした時点で、派遣会社から10日間の年次有給休暇が付与されます。
その後は下記の表の通り、勤務年数が長くなるごとに年次有給休暇の日数が増え、6年6ヶ月以上続けて勤務すると、上限となる年20日の年次有給休暇が付与されます。
継続勤務年数 | 0.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 | 6.5以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
付与日数 | 10 | 11 | 12 | 14 | 16 | 18 | 20 |
なお、パートや時短勤務など、週の所定労働日数が4日以下(年間の所定労働日数が216日以下)、かつ労働時間が30時間未満の方の年次有給休暇付与日数は、以下の表の通りです。
週所定 労働日数 |
1年間の 所定 労働日数 |
付 与 日 数 |
継続勤務年数 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
6ケ月 | 1年 6ケ月 |
2年 6ケ月 |
3年 6ケ月 |
4年 6ケ月 |
5年 6ケ月 |
6年 6ケ月 |
|||
4日 | 169日~216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 | |
3日 | 121日~168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 | |
2日 | 73日~120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 | |
1日 | 48日~72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
*週以外の期間によって労働日数が定められている場合
※参考元:厚生労働省『年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説』
年次有給休暇の有効期限
実は年次有給休暇には有効期限があり、取得後2年以内に使わなければ消滅してしまいます。
前年度に取得しなかった年次有給休暇は翌年度に繰り越すことができますが、2年を越えるとせっかくの休暇がなくなってしまうことに。そのため、年次有給休暇は計画的に使っていきましょう。
年5日の年次有給休暇取得が義務化されたって本当?
年次有給休暇は、要件を満たせば誰もが取得できるものです。しかし、日本は年次有給休暇の取得率が国際的にもきわめて低く、職場や同僚などへの遠慮から休暇を取りにくいという状況がありました。
そんな状況を打破するために、2019年4月からすべての雇用元は「年次有給休暇の日数のうち年5日は、時季を指定して取得させること」が義務付けられました。
これはつまり、「付与された年次有給休暇のうち5日は、付与された日から1年の間に(必要があれば雇用元が取得時季を指定して)必ず取得させなければならない」ということ。
なお、義務化された年5日の年次有給休暇の時季指定については、「雇用元が労働者の要望を聞き、できる限り希望に沿った取得時季になるよう努めなければならない」とされています。
ただし、就業先企業の繁忙期などで業務に大きな支障をきたす場合には、雇用元が「年次有給休暇の時季変更権」という権利を使って、別の時季に変更してもらう場合もあります。
このように年次有給休暇を取得する場合は、雇用元とも相談しながら、計画的に消化する必要があります。
年次有給休暇の申請方法って?
雇用元と実際の就業先企業が分かれている派遣社員の場合、年次有給休暇の申請をどこにするか迷ってしまう方も多いようです。
ここでは、派遣社員が年次有給休暇を使うときの申請先や方法について、ご紹介します。
年次有給休暇の申請先
派遣社員が実際に働くのは就業先企業ですが、雇用元はあくまで派遣会社。そのため、年次有給休暇を派遣社員に付与するのも派遣会社です。
そのため、年次有給休暇の申請は派遣会社に対して行いましょう。
このとき、状況によっては、派遣会社への申請前に就業先企業へ年次有給休暇を取得する旨を伝えたり、就業先企業との日程調整・相談が行われたりする場合もあります。日程の変更があった場合は、あらためて派遣会社への連絡や申請が必要です。
申請方法
申請の手順は派遣会社によって異なりますが、パソナの場合は登録スタッフ専用のMYPAGE上にある「有給休暇」の項目から申請ができます。また、残日数の確認や申請日の取り消しなどもすべてMYPAGE上から操作できます。
なお、年次有給休暇を取得した日の給与は【1日の所定労働時間×1時間あたりの賃金(時給)】で計算します。
派遣会社によっては、半休も取得可能に!
厚生労働省によると、「年次有給休暇は1日単位で取得することが原則」としていますが、2020年4月より「半休(半日単位の年次有給休暇)」の取得を可能とする派遣会社も増えてきました。
派遣会社によって異なりますが、パソナでも2020年4月から半日単位(0.5日)での年次有給休暇の取得が可能となりました。
なお、半休の場合、年次有給休暇を取得した日の給与は【日額(1日の所定労働時間×1時間あたりの賃金)÷2(半分)】となります。
派遣会社によって半休取得の可否や規定が異なるため、気になる方は事前に確認しておいてくださいね。半休について詳しく知りたい場合は、下記の記事もご覧ください。
※関連記事:『派遣社員は半休を取れる?同一労働同一賃金の制度についてもご紹介!』
年次有給休暇をスムーズに取得するための3つの注意点
ここまで、年次有給休暇の取得条件や申請方法などについてご紹介してきましたが、希望通りに年次有給休暇を取得するためには、知っておきたいいくつかのポイントがあります。
今回は、年次有給休暇をスムーズに取得するための3つのポイントをご紹介していきます。
①年次有給休暇の残日数を正確に把握する
今年は年次有給休暇を何日取得し、あと何日残っているのか。正確な日数を把握していない方は、意外と多いようです。計画的に取得するためにも、まずは、自分の年次有給休暇の残日数を派遣会社に確認しておきましょう。
なお、パソナの場合は、スタッフ専用の「MYPAGE」から簡単に残日数を確認できます。
②なるべく就業先の繁忙期を避ける
基本的に、年次有給休暇は本人の好きな日に取得することが可能です。とはいえ、雇用元にも時季変更権があるため、就業先の繁忙期の年次有給休暇取得はなるべく避けると良いでしょう。
繁忙期を避ければ、お休みに入る前の業務引継ぎもスムーズに行えるはずです。
③就業先との日程調整を行う
年次有給休暇を取得する場合、就業先の企業における業務の調整や引継ぎが必要となります。派遣会社へ年次有給休暇取得の申請を行う際は、必ず就業先企業にも報告して、取得日程の確認・調整をしましょう。
周りに迷惑を掛けず、気持ち良くお休みを取るためにも重要なポイントです。
就業先を辞める前にまとめて年次有給休暇を取得する場合の4つの注意点
派遣の場合、契約満了で現在の就業先を退職する前に、まとめて年次有給休暇を取得する方も多いようです。
残りの年次有給休暇をまとめて取得する場合は、次の4つのポイントに注意しましょう。
①年次有給休暇は、契約期間内で消化する
基本的には、派遣契約期間を超えて年次有給休暇を取得することはできないため、契約期間内に取得する必要があります。
契約終了までに年次有給休暇を取得したいと考える場合は、引継ぎのスケジュールなども考慮する必要があるため、派遣会社や就業先と相談して日程を決めましょう。
②年次有給休暇を買い取ってもらうことはできない
年次有給休暇は、労働者が心身の疲労回復をすることを目的としたもの。そのため、年次有給休暇の買い取り行為は本来の目的から逸脱することになってしまいます。
労働基準法でも、通常の年次有給休暇の買い取り行為は原則禁止されています。
③土日祝日などの休日は年次有給休暇として消化できない
引継ぎや残務などでの出勤が必要で、契約満了までにすべての年次有給休暇を取得することがむずかしそうなとき、土日などの休日を年次有給休暇にしたいと考える人は多いかもしれません。
しかし、年次有給休暇は、労働義務のある日についてのみ請求できるものです。
就業先が土日祝日を「休日」と定めている場合や、契約書で「休日」と定められている日に年次有給休暇を取得することはできません。
④次も同じ派遣会社でお仕事する場合は、年次有給休暇を持ち越せる
契約満了後も同じ派遣会社でお仕事をする場合は「継続勤務」となるため、年次有給休暇を持ち越すことが可能です。
ただし、お仕事をしていない期間がしばらく空く場合は年次有給休暇が消滅してしまいます。その期間は派遣会社によって異なるため、必ず就業規則などを確認しておきましょう。
パソナの特別有給休暇制度
パソナでは、派遣の雇用契約終了後、1年以内に再びパソナからお仕事をスタートした方を対象に、未使用の年次有給休暇の残日数(最大10日)を、新しい契約の開始日に付与する「特別有給休暇制度」を設けています。
特別有給休暇の残日数も、通常の年次有給休暇と同様にMYPAGEの「有給休暇連絡」からご確認いただけます。
※関連記事:『最大1年間持ち越しOK!パソナ独自の「特別有給休暇」制度って?』
計画的な年次有給休暇の消化を心がけよう
年次有給休暇は、法律で認められた労働者の権利であり、心身のリフレッシュのためにお休みを取得できる制度です。
ただし、直前になってから引継ぎや業務調整で慌てることがないよう、取得の際は事前に準備をしておくのがベター。まずは自分の年次有給休暇が何日残っているかを確認し、余裕を持って計画的に取得していきましょう。
なお、パソナでは1年以内にパソナから就業することになった方が、残っていた過去の年次有給休暇を取得できる、独自の特別有給休暇制度を設けています。パソナでの派遣のお仕事を考えている方は、ぜひこちらもチェックしてみてくださいね。