キャリアアップ

2020/02/27

派遣社員として経理の決算業務に携わるためには?決算業務を覚えてキャリアアップを目指そう!

著者: パソナ キャリアコーチ(経理担当)

派遣社員として経理の決算業務に携わるためには?決算業務を覚えてキャリアアップを目指そう!

段階的に知識と経験を身につけることで、着実にスキルアップできる経理のお仕事。

専門性の高さから実務経験が問われやすい経理職ですが、転職の際に重視されることが多いのが「決算業務」に携わった経験。そんな決算関連の業務ですが、派遣のお仕事で携わるチャンスも十分にあります!

今回は、「決算業務」に派遣社員として携わる場合、具体的にどのような業務を行うのか、どのような就業先で決算業務の経験を積めるのか、詳しくご紹介します。

目次
決算業務とは?
決算業務に携わることで身につくスキルや業務の流れをご紹介!
どの程度のスキル・経験があれば決算業務に携わることができる?
派遣社員として決算業務に携わるメリット
決算業務に携わるチャンスがある就業先って?
知識と経験を活かして、決算業務に挑戦しよう!

決算業務とは?

決算とは、決められた一定期間(通常1年間)の会社の業績を書類にまとめ、株主に報告したり、税務署に申告したりすること。

経理における決算業務とは、月次決算および年次決算に関連した一連の経理業務を指します。まずは、決算の目的や、決算業務の具体的な内容についてご紹介します。

決算の目的

決算の主な目的は以下の4つです。

  • 株主への業績報告
  • 納税申告
  • 会社の経営業績を数値化する
  • 銀行からの融資を有利に進める

企業における経理の決算業務

月次決算

月次決算とは、毎月の営業成績や財政状態をあきらかにするため、月ごとに行う決算のこと。

外部に発表するためのものではありませんが、日々変わりゆく経営状態を把握し、経営方針を定めるためにも、月次決算は重要。

四半期決算や年次決算の基礎にもなることから、円滑な経営を行うために正確性とスピード感が求められます。

年次決算

通常、企業は事業年度を1年間に定めて経営を行い、その期間の経営状況を総括して内外に発表しています。それを年次決算と呼び、企業によっては四半期や半期の決算がある場合もあります。

決算は、企業のその年における経営成績の最終発表となり、外部の関係者はこの発表を判断材料にし、その企業への投資や発注を決めるなど、影響力があるものです。

年次決算で経理が取りまとめる情報は膨大で、経理にとって1年で最も大きな仕事といえるでしょう。

年次決算の主な業務は、下記の3つです。

  • 決算整理仕訳の計上、記帳ミスをチェックする試算表の作成
  • 経営者や株主に報告するための決算書「貸借対照表(B/S)」「損益計算書(P/L)」の作成
  • 法人税・消費税といった税の申告・納税

決算業務に携わることで身につくスキルや業務の流れをご紹介!

決算業務に携わることで身につくスキルや業務の流れをご紹介!

たくさんの細かい業務を工程別に実行していく決算業務。ひとくちに「決算業務に携わる」と言っても、決算業務を補助的にサポートするレベルから、一連の決算業務が一人で完結できるレベルまでさまざまです。

ここでは決算業務に携わることでどのようなスキルが身につくのか、一般的な決算業務の流れについてご紹介します。

月次決算の一連業務

1.残高確認

現金・預金の帳簿残高と実際の残高の確認をします。

2.月次棚卸

商品の在庫を点検・計量して棚卸表を確認します。

3.仮勘定の整理

仮勘定(仮受金や仮払金)などの暫定的な数字を本来あるべき形に振り替えます。

4. 経過勘定の計算

経過勘定(前払費用や前受収益、未払費用など)を正式な会計にします。

5.減価償却などの計上

1年間でかかる減価償却などの費用を計算し、12分の1を月次費用として計上します。月によっては、賞与、退職給付費用、固定資産税、各種保険料なども同じように計上します。

6.月次計算票の作成

決算書関連の資料を作成する上で、ベースとなる月次計算票を作成します。

※関連記事:『月次決算の流れを把握して、デキる経理に

年次決算の一連業務

1.勘定の整理

・現金・預金残高の照合
・棚卸し、売上原価の算出と売上げの計上
・試算表の作成
・減価償却、売掛金・貸付金等の確認
・見越しと繰延べの処理など

2.決算書の作成

  • 貸借対照表(B/S):資産と負債の確認
  • 損益計算書(P/L):費用と収益の確認
  • キャッシュフロー計算書:現金の流れの確認
  • 株主資本等変動計算書
  • 販売費及び一般管理費明細書:諸経費の確認
  • 個別注記表、事業報告書 など

3.税金の計算

法人税と消費税をはじめとして、法人住民税や法人事業税など各種税金を計算します。

4.各種税務書類の準備

法人税申告書、勘定科目内訳書、消費税申告書など、法人税と消費税に関係する書類を作成します。

どの程度のスキル・経験があれば決算業務に携わることができる?

どの程度のスキル・経験があれば決算業務に携わることができる?

決算業務の基本的な流れについてご紹介しましたが、実際に決算務に携わるためには、どの程度のスキル・経験があればチャレンジできるのでしょうか。月次決算・年次決算それぞれのレベル感や業務内容について確認していきましょう。

月次決算

基本的な日常経理業務をマスターした後、徐々に月次決算業務の補助業務を行い、慣れてくると試算表・決算書作成などの月次決算業務を任されるようになります。

年次決算

月次決算の一連の業務をマスターし、経理として2~3年程度の実績を積めば、次のステップとして年次決算の補助業務に携わることができるでしょう。

決算書(財務諸表)作成、連結決算、納税申告などができるようになれば、年次決算の一連業務を任されるはず。ゆくゆくは、会社の経営に関わる管理会計に携わるチャンスも。

決算に関連する+αの知識

決算業務に関わるなかで、税務、連結決算、ディスクロージャー(情報公開)、国際会計基準など決算に関連した+αの専門知識を身につけておくと、今後のキャリアがさらに広がる可能性も。

専門分野のスペシャリストを目指す方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

税務

税務とは、法人税や所得税、消費税など税金の申告に関する業務のこと。正しい納税のためには、正確な計算や複数の帳簿作成を行うスキル、税務・税法に関する知識が必要になります。

ディスクロージャー

ディスクロージャーとは、「経営内容をはじめとする企業情報を、株主や取引先などに公開すること」の総称。

上場企業の場合、決算時に業績・財務情報などを開示(法廷開示)することが、法律で義務付けられており、これにより企業は投資家の信頼を得ることができます。

必要となる3つの法定開示書類「会社法計算書類等」「決算短信」「有価証券報告書」の作成に関わることで、ディスクロージャーに関する専門知識も磨かれるでしょう。

連結決算

連結決算とは、親会社の会計と子会社・孫会社の会計をまとめ、グループを単一の組織として行う決算方法のこと。

内部取引を整理して、企業グループ全体の業績を正しく把握し、報告することが必要です。この連結決算業務に対応できる経理人材は、多くの企業から求められています。

国際的な会計基準

主に外資系企業では、日本基準の決算書に加え、海外の親会社へ報告するためにIFRS(国際会計基準)で作成した決算書(連結パッケージ)を準備する必要があります。

IFRS(国際会計基準)の知識を身につければ、外資系企業での活躍も夢ではありません。

派遣社員として決算業務に携わるメリット

ここまで、決算業務の流れや業務で求められるスキルについてご紹介してきましたが、派遣社員の方が決算業務に関わることで、どのようなメリットがあるのでしょうか。

経理としてのスキルアップにつながる

これまでお伝えしてきたように、決算業務は会社の1年の総まとめを行う、経理にとって最も重要な業務。

現在、日常経理業務レベルを担当している方は、次のレベルとして月次決算の補助業務などに挑戦することで、確実にスキルアップできるでしょう。

月次決算補助をマスターしたら、次は月次決算→年次決算補助→年次決算という形で、段階的なスキルアップができるというのもポイントです。キャリアアップとともに、待遇アップも期待できますよ。

段階的なキャリアアップができる

決算業務に関する知識を身につけていけば、派遣社員としてまずは月次決算の補助・アシスタント業務からスタートし、月次決算担当→年次決算補助担当→年次決算担当というように、段階的なキャリアアップも可能になるでしょう。

さらに、年次決算業務をマスターした後は、財務や税務、国際会計など専門分野の知識を身につけることで、キャリアアップのチャンスがさらに広がるはずですよ。

即戦力として活躍できる

多くの企業が決算を迎える2月~5月は、企業の規模や業種を問わず、経理の求人数が増えるシーズンでもあります。

仕訳から決算書作成まで担当できる経理人材を求める企業は多いため、年次決算に関する知識・経験があれば、お仕事選びの幅をさらに広げることができるでしょう。

決算業務に携わるチャンスがある就業先って?

決算業務に携わるチャンスがある就業先って?

派遣で働く経理職の方が、決算業務にチャレンジすることには多くのメリットがあります。では、実際にどのような就業先であれば、決算業務に携わることができるのでしょうか。

まず、大手企業では、経理部門のなかでも役割分担が細かく分かれていることが多いため、決算業務に携わる部門の求人を探してみると良いでしょう。

勘定科目の整理や試算表の作成からスタートできるお仕事もあるため、「レベルに合わせて着実に経験を積みたい」という方には大手企業がオススメです。

一方、ベンチャー企業や中小企業では、少人数で経理業務を行っているため、即戦力として決算業務に携わるチャンスが多くあるでしょう。

経営層とより近い立場で、経理の経験を積めるというのも、ベンチャー企業・中小企業ならではのメリット。

月次決算~年次決算に関する一連業務を経験したいという方は、ベンチャー企業・中小企業に挑戦することで、より成長できるはずですよ。

知識と経験を活かして、決算業務に挑戦しよう!

今回は、派遣経理としてさらに経験を積みたい方へ向けて、経理の決算業務に携わるための方法やメリットについてご紹介しました。

必要な知識を身につけて、決算業務ができるようになれば、経理としてスキルアップしたと言えるでしょう。また、決算業務ができる経理担当として、更なるキャリアアップやより良い条件でのお仕事探しができるようになるはず。

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