コンテナの陸上輸送料金「コンテナ・ドレージ」はどの区間でかかるの?
今回は、「コンテナ・ドレージ」という輸送料金についてご紹介します。フォワーダー(Forwarder)からの請求書に記載されていることも多い貿易用語ですので、すでにご存じかもしれませんが、ここでは貿易初心者向けに少しかみ砕いて解説していきましょう。
コンテナは陸上において専用トレーラーで輸送される
みなさんは、港からコンテナが運ばれる現場を見たことがありますか?
コンテナ船で運ばれた20フィートコンテナや40フィートコンテナは、陸上ではコンテナ専用の牽引自動車・トレーラーで輸送されます。上の写真はそのトレーラーですが、いわゆるトラックとは異なり、コンテナを荷台に載せて引っ張って(牽引して)走っていますね。
この輸送で発生する輸送料金を「コンテナ・ドレージ(Container Drayage)」と呼びます。
一般に輸出地では、工場・倉庫から港(保税地域)へ、輸入地では港(保税地域)から倉庫・店舗へ運ぶため、「コンテナ・ドレージ」は貿易取引の海上輸送において必ずかかる費用です。
*フォワーダーの請求書の記載は会社によって異なるため、「コンテナ・ドレージ」と記載されていないこともあります。
日本では、海上運賃に比べて「コンテナ・ドレージ」の費用がかかるため、貿易事務の方はフォワーダーに確認するなどして、その金額を把握しておくことが大切です。
とりわけ輸入者は、インコタームズCIPやDAPなど運賃は輸出者が支払う貿易条件であっても、輸入地の港からのコンテナ輸送費用(コンテナ・ドレージ)は輸入者負担だということを覚えておきましょう。
*インコタームズ2010では、DDP条件以外の場合は輸入地の港からの輸送費は輸入者負担になります。ただし、海上輸送においてDDP条件が使用されることは一般的ではないため、原則として輸入地の「コンテナ・ドレージ」は輸入者が支払うことになります
輸入地の港から遠隔地に輸送しなければならないときには、思いのほか金額が高くつきますのでご注意ください。
実は「コンテナ・ドレージ」は往復料金で計算されている
最後に「コンテナ・ドレージ」の雑学的なお話も、併せてご紹介します。
「コンテナ・ドレージ」は通常、往復料金になっています。コンテナを運ぶトレーラーは専用トレーラーということもあり、出発地から目的地に移動したあと、再び出発地に戻るためです。輸入地では、輸入者の指定場所で貨物を降ろしたあと、空になったコンテナを持ち帰ることも多いので、往復料金となっています。
「コンテナ・ドレージ」はすべて往復料金で設定されているため、フォワーダーから往復料金を請求されることはありませんが、こうした貿易の雑学も常識として覚えておきましょう。
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