FTA、EPA、TPPの違い、わかりますか?

数年前から、新聞やテレビ、ネットニュースなどで、TPPやFTAという言葉がよく聞かれるようになりました。

「日本と海外の貿易取引に影響があるらしい」「一部の商品に関税がかからなくなる」など、何となくはわかるけれど、実はしっかり理解できていない……という方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、FTA、EPA、TPPを比較しながら、条約の違いなどについて解説していきます。

FTA、EPAって何?その違いは?

世界の貿易額は年々増加しており、1990年代前半までは輸出総額・輸入総額ともに5兆ドル(今の日本の7倍程度)にしか満たなかったものが、2005年に10兆ドルを超え、2013年には18兆ドルを超え……と、約20年で4倍近くも増えています。

この貿易量の増加の一因として挙げられるのが、FTAやEPAです。

FTA(Free Trade Agreement/自由貿易協定)

国と国(または地域)のあいだで関税をなくして、モノやサービスの自由な貿易を進めることを目的とした協定のこと。

EPA(Economic Partnership Agreement/経済連携協定)

FTAを基礎としながら、関税の撤廃だけでなく、知的財産の保護や投資ルールの整備なども含め、さまざまな分野で経済上の連携を強化することを目的とした協定。

EPA(Economic Partnership Agreement/経済連携協定)

日本ではEPAの推進に積極的に取り組んでおり、2002年にシンガポールとEPAを締結したのを皮切りに、メキシコ・マレーシア・チリ・タイ・インドネシア・ブルネイ・フィリピン・スイス・ベトナム・インド・ペルー・オーストラリア・モンゴル・TPP12・TPP11・日EU・ASEAN全体と、2019年1月現在では18カ国の地域とEPAを締結しています。また、RCEP・ トルコ・コロンビア・日中韓との交渉もしています。

※参考:税関『EPA交渉の状況(2019年1月現在)

ちなみに世界各国でも、日本と同じようにFTAやEPAを推進しており、2018年12月時点で発効されているFTAは、309件もあります。

※参考:ジェトロ『世界と日本のFTA一覧(2018年12月)

知っ得!マメ知識
もともと、世界の貿易ルールを決める国際機関としてWTO(World Trade Organization/世界貿易機関)があり、加盟国の間で自由に貿易できるようにするため交渉が開始されました。ですが、WTOでは161の国と地域の全会一致が原則で、先進国と開発途上国が対立し進展しなかったために、WTOではFTA、EPAを例外的に認め、特定の国や地域の間で貿易を推進することになりました。

よくニュースで取り上げられるTPPとは?

TPPとは、太平洋を囲む12カ国(オーストラリア・ブルネイ・カナダ・チリ・日本・マレーシア・メキシコ・ニュージーランド・ペルー・シンガポール・アメリカ・ベトナム)の経済連携協定(EPA)。Trans-Pacific Partnership(環太平洋パートナーシップ)の頭文字をとって、TPPと呼ばれています。

もともとは、2006年にニュージーランド・シンガポール・チリ・ベトナムの4カ国で発効されたEPA(パシフィック4)でしたが、2008年にアメリカやオーストラリアが参加を表明し、その後日本も加わって、上記12カ国で交渉が始まり、2015年10月には大筋で合意にいたっています(アトランタ閣僚会合)。

*その後、2017年1月に米国が離脱を表明。2017年11月のダナンでの閣僚会合で、米国を除く11か国によるTPPにつき大筋合意に至り、2018年3月チリで「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(TPP11協定)」が署名。2018年12月30日には発効に至りました。

TPPのメリット・デメリットについてはニュースにおまかせすることにして、基本的に国と国のあいだで結ばれていたEPAが、環太平洋という広い地域で経済連携を目指そうと取り組むのは初めてのことです。

またTPPは、FTAで謳われる物品の関税の撤廃・削減やサービスの貿易自由化にとどまらず、非関税分野(投資、競争、知的財産)のルールづくりや、環境・労働などの新しい分野の内容を取り決める協定として交渉されていることも大きな特徴です。

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参考サイト

 

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