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2017/12/04

輸出者に貨物を返送する「シップバック(積み戻し)」手続きのこと

著者: パソナ キャリアコーチ(貿易担当)

輸出者に貨物を返送する「シップバック(積み戻し)」手続きのこと

今回は、外国から輸入してきたものの、商品に欠陥があるなどの諸事情で送り返すことになった場合の「シップバック」と、その手続きについて詳しくご紹介します。

どんな事情で貨物を「シップバック」するの?

商品(モノ)を扱うお仕事の経験がある方はご存知でしょうが、カタチあるモノとは、傷がついていたり、汚れていたり、故障していたりすると商品価値を失って、お客さんに売ることができなくなります。

日本ではそのような欠陥商品を受け取った時、会社同士でも、お店と個人でも、返品または交換するのが慣例となっていますが、貿易取引においても、しばしばいろいろな事情で返品ならぬ返送をすることがあります。それが「シップバック」です。

ちなみに、輸出者が輸入者に船や飛行機などで送った(Ship)貨物を返送するので「シップバック(Ship back)」と呼ばれますが、実は貿易実務の現場での通称なので、法律上は「積み戻し」と言います。

「シップバック(積み戻し)」はどんなときに行われる?

貿易取引の場合、輸出者と輸入者がお金をかけて輸送した貨物ですから、シップバックすることは業務的にも金銭的にも損失・損害があります。

<シップバックを検討するケース>
・輸送中に破損し、使いものにならないことがわかっているとき
・塗料などの成分検査や食品検査などで基準をクリアできないとき
・法律上で商品を取り扱う許可が必要なのに、輸入者がその承認を受けていないとき など

つまり、輸入できるけれど(輸入者にとって)商品価値が見込めないとき、または何らかの理由で輸入許可が下りないときに、シップバックが行われるのです。

輸入許可が下りない商品はシップバックするか、廃棄するかのどちらかになります。

※関連記事『保税地域の貨物を廃棄するときに必要な「外国貨物破棄届」「滅却(廃棄)承認申請書」のこと

「シップバック(積み戻し)」するときの手続きを知ろう

では、実際に輸入者が「シップバック(積み戻し)」するときの流れをご紹介しましょう。

①輸出者の合意を得る

最初に覚えておいていただきたいのは、輸入者は自社だけで判断せず、輸出者と話し合ってシップバックの合意を得ることが必要だということ。

そもそも輸入者も輸出者も売買することを前提に契約を結んでいるので、輸入者は輸出者に輸入できない理由を説明する責任もあります。また、その貨物の支払いやシップバックにまつわる費用(どちらが負担するのか)について、交渉する必要もあります。

というのも、輸出者側でシップバックされた貨物を受け入れる体制ができていなければ、返送しても再び返送される可能性もあることから、輸出者の合意はとても重要なのです。

②フォワーダーへ依頼し、申告を行う

シップバックすることが確定したら、フォワーダー(Forwarder)に依頼して船を手配し、税関にシップバックの申告を行います。

申告は法律上、輸出申告に準じる形式で行われることが定められており、ここで輸入者は輸出者の立場に転じ、インボイス(Invoice/送り状)パッキングリスト(Packing List)など必要書類を作成します。

*輸入者が輸出者から入手した船積書類では通関できません。入手した書類をもとに、輸入者は輸出者に向けて立場を逆転させた書類を作成する必要があります

③商品を送り返す

その後、税関による書類審査や、(時には)現物検査などを経て積み戻し許可が下りたら、船・飛行機などで貨物を現地に送り返します。

これで輸入者のシップバック業務は完了となりますが、商品によっては、輸出時には問題なくても輸入時には規制があって、現地(輸出地)の通関手続きがスムーズにいかないケースもあります。

そのため、輸出者と輸入者は、商品をきちんとシップバックできるのかについても事前に話し合い、把握しておく必要があるのです。

先ほども申し上げましたが、貿易取引において「シップバック」は、輸出者にとっても輸入者にとっても、手間も費用もかかってデメリットしかありません。実際に起きてしまったら、なるべく長引かせず、お互いに譲るところは譲り合って解決を図りましょう。

 

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