「税関」は全国に何カ所あるかご存じですか?
貿易取引では税関の許可を必ずもらい、輸出入の手続きを行います。貿易実務の仕事をされている方にとって、「税関」はお馴染みの公的機関と言えるでしょう。
日本は島国のため各地に港や税関がありますが、全国に何カ所あって、どのような役割を果たしているのかを解説します。
税関は全国に9つ、支署や出張所も各地域にある
日本の地域には多数の港や空港がありますが、国際貨物が運ばれる拠点となると、その中の一部です。
それでも、国際海上輸送網の拠点となる港(重要港湾)は102カ所、国際空輸送網の拠点となる空港(拠点空港)は28カ所もあるのです。
※関連記事:『日本には貿易港がいくつあるか知っていますか?』
税関は、これらの港や空港に到着する輸入貨物、またはこれから発送される輸出貨物を監視し、輸出入許可を出すという役割を担っています。
9つの地域に税関を設置
日本では、函館、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、門司、長崎、沖縄地区の9つの地域に税関が設置され、各税関はそれぞれの地域を管轄しています。
*沖縄地区以外の8つの税関は、財務省の地方支分部局という位置づけにあります。
税関名 | 管轄 |
---|---|
函館税関 | 北海道、青森県、岩手県及び秋田県 |
東京税関 | 山形県、群馬県、埼玉県、千葉県(一部)、東京都、新潟県及び山梨県 |
横浜税関 | 宮城県、福島県、茨城県、栃木県、千葉県(一部)及び神奈川県 |
名古屋 税関 |
長野県、岐阜県、静岡県、愛知県及び三重県 |
大阪税関 | 富山県、石川県、福井県、滋賀県、京都府、大阪府、奈良県及び和歌山県 |
神戸税関 | 兵庫県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、徳島県、香川県、愛媛県及び高知県 |
門司税関 | 山口県、福岡県(一部)、佐賀県(一部)、長崎県(一部)、大分県及び宮崎県 |
長崎税関 | 福岡県(一部)、佐賀県(一部)、長崎県(一部)、熊本県及び鹿児島県 |
沖縄地区 税関 |
沖縄県 |
各税関には支署や出張所などがあり、税関支署が68カ所、税関出張所と税関支署出張所が計109カ所、税関監視署、税関支署監視署が計10カ所あります。(2017年7月現在)
国家予算の1.5倍!貿易取引の全てが税関を経由
「そんなにも支署や出張所があるの?」と驚いた方もいらっしゃるかと思いますが、2017年の日本の貿易額(輸出入総額)は約153兆6000万円。
これは、日本の国家予算の1.5倍(日本の2017年度一般会計予算は約97.4兆円)にも上る金額で、それらの貿易取引における貨物がすべて税関を通っている、と考えると納得されるのではないでしょうか。
※参照:「財務省貿易統計」
各税関は、管轄している地域の支署や出張署と業務を分担して、「税=税金の徴収」と「関=関所/通関手続き」にまつわる業務を迅速に遂行しているのです。
全ての税関で通関ができるわけではない
国際輸送の拠点とされている港や空港では、各税関が通関業務を行っています。しかし、すべての貨物の通関ができるわけではないということもぜひ覚えておいてください。
たとえば、植物防疫法や家畜伝染病予防法などの法令で規制されている物品(規制対象品)については、植物防疫所や動物検疫所のある港や空港(の保税地域)でなければ通関できません。
そのため、もしみなさんの会社が規制対象品だとわかっている物品を輸出入する場合は、輸出しようとしている港や空港で通関できるのか確認することをオススメします。
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