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2017/12/14

私たちの身のまわりに使われる「鉱物資源」 ~ベースメタル編~

著者: パソナ キャリアコンサルタント(貿易担当)

私たちの身のまわりに使われる「鉱物資源」 ~ベースメタル編~

かつて『日本とオーストラリアの貿易は相性抜群!? 何が取引されている?』でも触れた、鉄鉱石・銅などの「鉱物資源」についてご紹介します。これは資源のない日本が輸入に頼っているもののひとつですので、貿易事務として知っておきたい知識。今回は、鉱物資源の中の「ベースメタル」について取り上げます。

私たちの生活に欠かせない「鉱物資源」

鉱物資源は別名「地下資源」とも呼ばれ、学術的には、鉄・銅・鉛・ステンレスなどの金属の原料となる「金属資源」と、石灰石・岩塩などの「非金属資源」に分類されています。

ただ、一般的に「鉱物資源」は前者を指すことが多く、この記事でも鉱物資源=金属鉱物資源として読み進めてください。

そもそも「鉱物資源」とは?

私たちの身のまわりには、少し見渡しただけでも金属が使われているものがたくさん存在します。

例えば、車や電車などの乗りもの・家やマンションなどの建築物・生活に欠かせない電化製品・電気を街や家に送り届けるための電線・電化製品や車などに使用されるモーター・電池などのバッテリーなども鉱物資源が使われています。

ちなみに、鉱物資源の中でも「銅」は使用量が多い金属のひとつ。主に電気に関わるさまざまなものに使用され、ひとつの家に約100kgも使われていると推定されています。

鉱物資源は、みなさんが学校でも教わったであろうFe(鉄)・Au(金)・Cu(銅)など、特定元素をもとに開発されるものになります。では、ここで、鉱物資源の一覧を見ていただきましょう。

鉱物資源の全体像(元素の周期表)

鉱物資源の全体像(元素の周期表)

久々に「すいへーりーべーぼくのふね…」という言葉(元素記号の覚え方)を思い出された方もいるかもしれません。この懐かしい!? 周期表に鉱物資源の元素があり、上図でも示したように、金属は一般的に3つの種類にわけられます。
*レアアースは、レアメタルの中に含まれます

ベースメタル

鉄・銅・鉛・アルミニウムなど生産量も多く、人の生活を支えるさまざまなものに大量に使用される金属です。

貴金属

金・銀・白金(プラチナ)・パラジウムなど、8元素を指します。耐腐食性を持つのが特徴(酸化によって劣化する<さびる>ことのないもの)。工業製品をはじめ、みなさんにもお馴染みの宝飾品に使われています。

レアメタル

直訳すると、レア=稀な、メタル=金属。経済産業省は“地球上の存在量が稀であるか、技術的・経済的な理由で抽出困難な金属のうち、現在工業用の需要があり今後もあるもの”と定義しています。

希少な非鉄金属を指し、電子材料・磁石材料(機能性材料)・構造材料などとして産業利用されています。レアメタルのうち、17希土類元素をレアアースと呼んでいます。

身のまわりに使われている「ベースメタル」の調達先

では、ベースメタルがどのようなものに使われ、どこから調達(輸入)されているのかをお話しましょう。
*「レアメタル」については『私たちの身のまわりに使われる『鉱物資源』~レアメタル編~』でご紹介しています。

今回取り上げるのは、鉄・銅・鉛・亜鉛・アルミニウムの5つ。これらはすべて地殻から掘り出され、その鉱石から成分を抽出し、時には他元素と化合した合金として使用されています。

非常に身近な素材ですし、みなさんも何に使われているか知っているものもあると思いますが、意外な使用用途もあるので、ぜひ御一読ください。

鉄は鉄鉱石から抽出されます。いわゆる鉄というのは、鉄成分(Fe)だけでなく炭素(C)が化合されたもので、炭素量によって強度や硬度が変わります。

ちなみに炭素量が約0.02%未満のものを純鉄、0.02%~2.14%のものを鉄鋼、2.14%を鋳鉄(ちゅうてつ)と言い、みなさんの身のまわりにある鉄は、鉄鋼または鋳鉄になります。
*炭素の量が少ないほどやわらかく、多いほど硬くなります。硬くなるほど金属疲労を起こしやすく、衝撃に対して弱くなるのも特徴。鉄鋼会社では炭素量を調節し、用途に合わせた鉄を製造しています

鉄鋼は、家・ビル・橋などのさまざま建築材料や、線路・車輪・車・電化製品・スチール缶などに使われおり、鋳鉄は鉄鍋や鉄器に使われています。

【鉄鉱石の主な輸入先】オーストラリア・ブラジル・南アフリカなど

銅は人類が初めて利用した金属とも言われ、現代でも生活・インフラに欠かせない金属です。銅そのものの姿(自然銅)で採掘されることもありますが、一般的には銅鉱石から産出されています。

銅は、電気や熱の伝導性が高い・抗菌性がある・加工しやすい・腐食しにくい(酸化すると膜をつくり内部を守る)という特徴から、電線や電化製品などに使われています。

また、日本の硬貨(アルミニウムの1円玉以外のすべて)は銅と他元素を化合させた銅合金でつくられています。

【銅精鉱*の輸入先】チリ・ペルー・オーストラリア・カナダ・インドネシアなど
*鉱石には1~2%ほどしか成分が含まれないため、鉱石を精製して含有量を高めた状態(=精鉱)で輸入されることが多い(鉛・亜鉛も同様)

鉛は硫黄と化合した方鉛鉱とよばれる鉱物で、自然界に存在することが多く、鉛鉱石といえば一般的に方鉛鉱を指します。

日本において、鉛はバッテリー分野での使用が大部分を占め、その他は、はんだ・クリスタルガラス・防音材・X線遮蔽材などに使用されています。

【鉛精鉱の輸入先】オーストラリア・ペルー・アメリカ・ボリビアなど

亜鉛

亜鉛は、鉛と同じく硫黄と化合した鉱石である閃亜鉛鉱という鉱物から産出します。鉄・アルミ・銅に次いで4番目に消費量の多い金属でありながら、他のベースメタルのようにパッとわかるような姿では存在していません。

しかし、鉄鋼材の酸化を防ぐためのメッキ加工などに使用される(亜鉛がさびることにより鉄がさびにくくなる)*など、他元素と化合させた亜鉛合金は、日用品・家電製品・通信機器などの精密部品、はたまた軟膏薬・UVローション・サプリメントなど、さまざまなものに活用されています。
*亜鉛によってメッキ加工された鉄鋼はトタンと呼ばれます

なお、アクセサリーなどにも使われる真鍮は、銅との合金です。

【亜鉛の輸入先】オーストラリア・ペルー・アメリカ・ボリビアなど

アルミニウム

アルミニウムは、主にボーキサイトと呼ばれる赤褐色の鉱石からつくられています。
*アルミニウム新地金は、ボーキサイト鉱石を精練したもの

身近にある代表的なアルミニウムといえば、1円玉やアルミホイルですが、鉄と同じくらい使用用途が広く、飛行機や電車など、輸送機の機体はアルミニウム合金が使用されていることが多いです。

【アルミニウム新地金の主な輸入先】オーストラリア・ニュージーランド・ロシア・アラブ首長国連邦・サウジアラビア・ブラジルなど

 

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参考サイト

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