ブランクがあっても貿易事務として復帰できる3つの理由
転居・出産・育児・介護など、ライフステージの変化に伴い、貿易実務の現場から離れたけれど、もう一度貿易事務職として働きたい!そんな方にとって、気になるのは「お仕事を休んでいる期間に、貿易取引を取り巻く環境が大きく変わっているのか」「復帰後の業務についていけるのか」「ブランクがあってもOKな求人はあるのか」といった点ではないでしょうか。
今回は「貿易事務職としてもう一度働きたい」と考えている方に向けて、仕事復帰に関する情報や、お仕事を探す前に知っておくと役立つ情報をご紹介します。
- 目次
- 貿易事務の経験・知識は、ブランクがあっても活かせる
- 理由①貿易取引の大枠の仕組み自体は大きく変わらない
- 理由②一定の求人数があるため、希望に合った勤務形態や仕事内容を選ぶことができる
- 理由③今までの経験で培ったスキルは復帰後も活かすことができる
- 派遣で段階的に貿易事務への仕事復帰を目指すのもオススメ!
貿易事務の経験・知識は、ブランクがあっても活かせる
貿易事務の主な業務は、海外から商品を輸入したり、国内から海外へ商品を輸出したりする際に必要な事務手続きをすることです。
貿易手続きを円滑に進めるためには、専門用語の理解、通関や物流、申請書類に関する知識、英語を読み書きする力が求められ、国内取引とは異なる取引の流れを把握しながら社内外の関係者との調整力も必要とされます。
経験者の方は、貿易取引に関する知識や現場の業務の一連の流れがわかっているものですが、長く現場から離れていると、「過去の知識・スキルをそのまま活かせるのか」「また同じように働けるのか」と不安になる方もいらっしゃるようです。
しかし、貿易事務のお仕事では、たとえブランクがあったとしても「専門知識のある経験者」は重宝される傾向にあります。貿易事務の実務経験がある経験者は、即戦力として現場ですぐに活躍できるため、経験者に対する採用企業の評価は高くなるのです。
ここからは、貿易事務経験者がお仕事復帰しやすい3つの理由を、さらに掘り下げてご紹介していきましょう。
※関連記事:『貿易事務職の「商社・メーカー系」と「物流・フォワーダー系」の仕事内容の違いについて解説!』
理由①貿易取引の大枠の仕組み自体は大きく変わらない
貿易取引を取り巻く環境は、10~20年前に比べると、あらゆる面でデジタル化が進みました。
書類の発送には時間がかかるため、オリジナル(原本)ではなくデータで送られてきた貿易書類を使って取引することが増えたり、税関の通関手続きや銀行の決済手続きがネット上で行われるようになったりと、時代とともに貿易実務も変化しています。
しかし、現在の貿易取引の方法は、長年の貿易取引のなかで体系化されたもの。そして、世界各国共通で行われているものなので、一国の事情だけで大きく変わることはありません。
よって、仮にブランクがあったとしても、貿易実務に携わっている期間に学んだ、貿易取引の流れや貿易輸送の仕組みといった貿易に関する知識を活かすことができるということです。
もちろん、会社によって取り扱う輸出入商品は変わりますが、貿易実務の現場で働いてきた知識と経験のある方は、そのスキルを新しい現場でも十分に発揮することができるでしょう。企業側も、これまで身につけてきた実務経験を評価してくれるはずです。
ただし、インコタームズ(Incoterms/貿易条件)などの国際規則や法令は、アップデートされていることがあります*。復帰時には、最新の貿易実務本などで最新事情をおさらいしておくと良いでしょう。
*2019年9月10日、ICC(国際商業会議所)は、10年ぶりの改定となるインコタームズ2020を発表。2020年1月1日に発効されます。
理由②一定の求人数があるため、希望に合った勤務形態や仕事内容を選ぶことができる
貿易事務は、メーカー・商社、フォワーダー、物流・輸送会社など、貿易関連の幅広い業界から、常に一定の求人ニーズがあるお仕事です。そのなかでも経験者は、現場ですぐに活躍できる即戦力として、採用において優遇されることが多く、選べるお仕事の幅も広い傾向にあります。
そのため、たとえ数年ブランクがあっても、これまでの実務経験をPRすればしっかり評価してもらえるでしょう。人数が少ない中小企業では、特に即戦力として重宝されるはずですよ。
経験者であれば選べるお仕事の数も多い貿易事務の求人ですが、長年のブランクで復帰に不安がある場合は、下記のようなポイントでお仕事を探してみてはいかがでしょうか。
アシスタント業務からスタートできるお仕事
貿易関連の部門が細分化されている商社・メーカーでは、貿易書類のチェックや入力作業などの「アシスタント業務」からスタートできるお仕事もあります。貿易取引の流れや貿易書類の処理をおさらいしつつ、最新の貿易知識・スキルを磨いていけば、段階的な復帰も目指せます。
前職に近い仕事内容のお仕事
貿易事務は、勤務する業界や部署によって、対応する仕事内容が異なるケースが多いため、前職と同じような業界や仕事内容のお仕事を探すと、業務にも慣れやすいでしょう。
時短勤務や週3~4勤務のお仕事
「復帰後すぐにフルタイムで働くのには不安がある…」という方は、時短勤務や週3~4勤務のお仕事を探してみてはいかがでしょうか。時短勤務や週3~4勤務で働き、慣れてきた後にフルタイムのお仕事にチャレンジするのもひとつの方法です。
残業なし、または残業少なめのお仕事
フルタイム勤務を希望する方であっても、「復帰後すぐに残業が続くと、ついていけるか…」と心配になることが多いようです。そんなときは、「残業なし」または「残業少なめ」のお仕事を探してみてください。
なお、派遣のお仕事を探す場合は、派遣会社の担当に自分の希望を伝え、条件に近いお仕事を案内してもらうことも可能です。職場復帰の際は無理をせず、自分のペースに合ったお仕事を探してみてくださいね。
※関連記事:『子育てをしながら貿易事務のお仕事に就くことは可能?』
理由③今までの経験で培ったスキルは復帰後も活かすことができる
貿易事務は、さまざまな立場の関係者と連携しながら、貿易取引を進めていくお仕事。たとえブランクがあったとしても、今までの貿易実務の経験で培ったスキルは、復帰後も活かすことができます。
では、貿易知識以外で、どのようなスキルが復帰後に活かせるのでしょうか。詳しくご紹介していきましょう。
コミュニケーションスキル
貿易事務は、取引先の海外企業だけでなく、社内の営業担当や入出庫担当、輸送・通関業務を代理で行うフォワーダーなど、日々さまざまな立場の人々の間に立って、業務を進めるお仕事。そのため、多くの人と適切なやりとりを行うコミュニケーションスキルが求められます。
タイムマネジメントスキル
タイムマネジメントスキルとは、「時間管理」や「段取り」に関するスキルのこと。貿易事務の現場では、わずかな遅れが大きな損失につながってしまうことも珍しくありません。常に期限を意識しながら、段取りよく業務を進めることが大切です。
調整力
貿易事務には、社内外の担当者と連絡を取り合いながら、書類や商品の流れを把握しつつ、業務を進めていく「調整力」も求められます。商習慣の違いや時差がある海外の担当者をはじめ、さまざまな関係者の間に立って、無理のないスケジュールを組み、時間内に業務を完遂させるスキルも求められます。
上記の3つのスキルは、貿易事務にとって基本とも言えるスキル。そのため、貿易事務経験者の方であれば、復帰後に現場で実務に携わることで、次第に勘を取り戻せるでしょう。
※関連記事:『【適性診断】私は貿易事務に向いている?適性や必要なスキルをチェック!』『貿易事務の経験を積むことで、どのようなキャリアパスが描ける?』
派遣で段階的に貿易事務への仕事復帰を目指すのもオススメ!
久しぶりにお仕事に復帰するときは、誰でも不安があるものです。しかし、貿易事務の経験がある方は、これまでのキャリアや知識を活かして、復帰後もすぐに活躍できるはず。今回ご紹介した「3つの理由」を参考に、職場復帰を目指してみてくださいね。
ブランク期間が長いという方は、PC操作や書類処理のスピードなど、貿易事務の感覚を取り戻すのに時間がかかる場合があるかもしれません。その場合、就業サポートが整っている、「派遣」という働き方も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
派遣なら、貿易事務のアシスタント業務や貿易関連の部分業務からスタートできるお仕事もありますので、段階的にお仕事の幅を広げていくことも可能です。
パソナでは、他にもさまざまな貿易事務のお仕事をご案内しているほか、就業前の貿易事務基本研修といったサポート体制も充実しています。「どのように仕事復帰を目指したら良いの?」「自分に合った勤務形態で働きたい」とお悩みの方は、ぜひ一度ご相談くださいね。